じ ゅ ら い 亭 日 記 暴 走 編 5

じゅらい亭日記・暴走編5ノ「一」!!(爆)
投稿者> ゲンキ
投稿日> 02月12日(木)15時06分20秒
注*長いです。凶悪に長いです。・・・ゴメンネ!(ビシッ!)


「じゅらい亭日記・暴走編5」


    「恐怖!!戦慄!!○○○○○○○○!!!(分からん!)」




    
    >>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>




     2月4日
     深夜・・・じゅらいは物音に気付く。だが、念のために店内を調べてみたが誰もいなかった。ただ、
     厨房に何かが運び込まれていた事には気付かなかった。


     2月5日
     「じゅらい亭」にて、ミカドが妙な事に気付く。何故かサイフの中身が消えていた。そのせいでお
     代を払えず皿洗いをする羽目になる。


     2月6日
     「じゅらい亭」厨房が大爆発。店内にいたnocと矢神が見に行くが、そこには誰もいなかった。た
     だ、何かの包装紙と黒く焦げた鍋が発見された。


     2月7日
     いつものようにゲンキが暴走。突然周囲に向けて魔王呪法を連打。被害にあったのはクレイン。
     しかし、奇妙な事に・・・この日は、クレインが召喚してもヴィシュヌは現れなかった。そのせい
          か、彼は全治1日(早い)の怪我を負った。


     2月8日
     以下のような会話があった。



     「おいレジェ?燈爽ちゃん最近見ねぇな?」
      と、幻希が久しぶりに店に来ていたレジェに問う。すると、ボーッとしていたレジェがこちらを
          向き答える。
     「ああ・・・・・・燈爽?何だか最近忙しそうなんだよ」
     「忙しい?燈爽ちゃん新しいバイト始めたのか?」
      燈爽はこの「じゅらい亭」で唄うバイトをしている。その歌声は、今では看板娘と並んで店の名
     物になりつつある。
     「うーん・・・?バイト・・・とは違うようなんだよね?それに燈爽だけじゃないみたいなんだ」
      と、レジェが別の席に座って絵を描いているミカドを指す。
     「ほら、ルネアさんも最近見ないと思わない?」
     「あ・・・そういやルネアちゃんも見ねえな・・・」
     「だろ?それに君もれいろうさんやラーシャちゃんと一緒じゃないじゃないか」
     「れいろう?・・・・・・ああ!」
      レジェの言葉に突然幻希が手をテーブルにバン!と叩き付ける。
     「そういえば、あいつら最近変な事してたな!」
     「変な事?」
      レジェが怪訝な顔になる。幻希やれいろう達の行動に「変」ではない事などあったかのか?・・・
     という疑問が脳裏を掠めたのだ。口に出しては言えないが・・・。
     「ああ・・・れいろうとラーシャだけじゃなくヨルンまで一緒だ・・・・・・」
     「それで何してるの?」
      額に指を当てて考える幻希にレジェが問う。すると、彼はキッパリと言った。
     「お菓子作りだ」
     「・・・・・・・・・は?」
      レジェが硬直する。ラーシャやヨルンはともかく・・・れいろうのイメージに一致しない単語だっ
          たからだ。
      そしてこの日分かった事は・・・「じゅらい亭」メンバーの中でも・・・「女性」だけがいない
          という事だった。


     2月9日
     何も無かった。



     2月10日
     じゅらいが看板娘達がいない事に気付く。結局この日は彼一人で店の事をやっていた。


     2月11日
     珍しく店に女性が現れた。広瀬参謀だった。最近登録された新メンバーのクレインとしゃちょーを
     見に来たと言っていた。ただ、ボルツだけが気付いたが彼女からは甘い香りがした。



     2月12日
     メンバーの男達が集まって会議が開かれた。女性陣の謎の行動について話し合うためだ。誰か
     が「暇人だにゃぁ」とぼやいていたが誰も気にしなかった。会議の様子は以下の通りだ。


     「何なんだろうな?」
     「何だろうね?」
     「腹減ったダス」
     ごすっ!
      一人、全く別の事を言ったボルツの顔を隣に座ったゲンキの裏拳がクリーンヒットする。彼はあっ
          さり気絶した。それを見届けゲンキが何かファイルのような物を取り出し言う。
     「えーと・・・僕とボルツが調査したのですが・・・・・・女性達の妨害に遭い大した事は分かり
          ませんでした。何せ風の矢や黒い衝撃波が問答無用で飛んできたりしましたから・・・」
      そしてゲンキがコピーした書類を配る。それに目を通していたメンバー達は妙な顔になる。
     「一応、彼女達が色んなルートで入手した物のリストです。・・・・・・何なんでしょうね?」
     「リストって・・・・・・『チョコレート』・・・としか書かれてませんが?」
      ゲンキの言葉にこのはが言う。確かにゲンキが配った紙には『チョコレート』としか書かれてい
          ない。
     「バレンタインにチョコでもくれるんでしょうか?」
      レジェが怪訝な顔で言う。だが、
     「それならここまで秘密にする必要も無いんじゃないですかね?」
     「そうですね。そもそもこの店に来ている女性が全員・・・というのが変ですね。チョコ作りなら
          そんなに人数はいらないと思うのですが・・・?」
      nocの言葉に矢神が続ける。と、じゅらいがゲンキに質問する。
     「この『チョコレート』だけど・・・どのくらいの量かは分からなかった?」
     「・・・量・・・ですか?うーん・・・遠目に見ただけですけど・・・ダンボール箱がいくつも重
          なってましたねぇ?・・・10・・・いや、20から30箱くらいでしょうか?」
      ゲンキが額のバンダナに手を当て答える。ボルツが気絶したせいで一人で説明しなくてはならな
          いと少しイライラする。自分のせいなのだが。
     「結構な量ですね・・・・・・「じゅ亭」メンバー全員に配ってもかなり余るのでは?」
      クレインが言う。たしかに「じゅらい亭」の女性以外のメンバーに配ったところで無くなる量で
          は無い。
     「と・・・すると・・・一体・・・?」
     「謎は深まるにゃぁ・・・」
      ミカドとフェリの言葉に全員が沈黙する。
      結局、この日も答えは出ないまま・・・会議は終わった。



      2月13日
      13日の金曜日だとかでゲンキがやたらと嬉しそうだった。気のせいかこのはも調子が良いよ
      うだった。じゅらいは今日も一人で忙しそうだった。同情した幻希とレジェ、それにクレインが
            手伝っていた。夜には金曜宴会が行われた。全員が頭から黒いマントをかぶり数字を書いた紙を
            貼り付け、誰が誰なのかを当てるという妙な事をしていた。

      皆が帰ったり酔いつぶれた頃にいくつかの人影が店内に入ってきたが・・・・・・気付く者はい
            なかった・・・・・・そして────。




じゅらい亭日記・暴走編5ノ「二」!!(烈)
投稿者> ゲンキ [max1-10.edinet.or.jp]
投稿日> 02月12日(木)15時10分07秒
注*まだまだ先は長いです。・・・てへっ♪(核爆)


      2月14日
      じゅらいは朝、目覚め・・・驚愕した。
     「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チョコ??!!」
      叫ぶ。眼前には巨大なじゅらいを象った像・・・・・・それも『チョコ製』が、店の天井に届か
          んばかりの威容でそびえ立っていた。
     「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はっ!?」
      突然じゅらいは別の事に気付く。像に呆気を取られて今まで周囲に気を配ってなかったのだが、
     よく見ると昨日の宴会で滅茶苦茶だったはずの店内が綺麗になっている。しかも、全てのテーブル
          の上に料理・・・・・・いや、お菓子の乗った皿が無数・・・並べられている。
     「だ・・・誰が一体こんなことしてお菓子が並んでいつか星の海で・・・・・・」
      混乱してじゅらいがわけの分からない事を言う。だが、それに意外にも答えが返ってきた。
     『わたし達がやりました♪♪♪♪♪』
     「え?」
      ハモリ声にじゅらいが振り向くとそこには看板娘達が・・・・・・。
     スタスタスタ
     「じゅらい様♪今日は『晴れ無体デー』ですよ♪」
      突然無言で近付いて来たじゅらいに時音が言う。
     スタスタスタ
     「姉さん、それを言うなら『バレンタインデー』よ!」
      と、いつものように時音にツッコム時魚。やはりじゅらいは無言だ。
     スタスタスタ・・・・・・ピタ。
     「全く・・・時音姉さんは相変わらずボケボケだなぁ?」
     「陽滝姉さん・・・・・・時音姉さんにボケなんて言っちゃ駄目よ」
     フルフルフル・・・フルフル・・・・・・
     「いいじゃない。本当の事なんだから?」
     「陽滝姉さん・・・・・・」
     「あ・・・・・・あの姉さん達・・・?じゅらい様が・・・・・・」
      悠之が口論でも始めそうになった陽滝と風舞におずおずと告げる。
     「・・・怒ってる」
     ブチッ!!
      まるで悠之の声につられて・・・と言ったタイミングでじゅらいの頭の中で何かが切れた。
     「『バレンタインデー』じゃないっ!!店の事も放り出して何をしてたんだっ!!」
      彼にしては珍しい怒声を上げる。すると彼女等は少し萎縮したようだったがすぐに立ち直り答え
     る。
     「あの・・・・・・メンバーの女性の方々と協力して・・・」
     「あれを作ってたの」
      少しシュンとして時音が言った言葉に時魚が『チョコ像』を指しつつ続ける。それにさらに悠之が
     続けた。
     「じゅらい様・・・これは私達と広瀬さんが発案したことで・・・」
     「・・・・・・・・・広瀬さんが?」
      イキナリ出てきた意外な名前にじゅらいが怒りを引っ込め疑問を表情に顕す。
     「はい。私達がバレンタインの事で相談をしていると広瀬さんがやって来て、『私に考えがあります
     が、言ってもいいですか?』とおっしゃられるので・・・」
      と、風舞が説明する。だが、じゅらいは、今の説明で何か考え込んでしまったようだ。
     「じゅらい様?」
      時音が怪訝そうに訊いてくるがじゅらいは悪いと思いつつ一旦無視した。そして考える。
      看板娘達とメンバーの女性達がチョコを作っていたのは分かった。だからと言って店の事を放り
     出したのは後で叱らなければいけない。きつく言うつもりは無いが。だが、問題は広瀬だ。普段の
     彼女・・・「広瀬参謀」のイメージに「バレンタイン」という単語が合わないような気がするのだ。
     「うーん・・・・・・広瀬さんが・・・・・・???」
      と、ブツブツ彼が呟いていると。
     「あ、皆さん来られましたよ」
      と、風舞が言う。一同の視線が店の扉の方に向くと、ちょうどメンバーの男達がルネアに蹴り入
     れられて来たところだった。



     「これで皆さん集まったでしょうか?」
      店内に集まった客達──今度は女性もいるようだ──を見回し何時の間にか来ていた広瀬が言う。
            ちなみにじゅらいは彼女の顔を見ながら「うーん・・・?うーん・・・?」と唸っている。
     「広瀬さん、まだゲンキ君とボルツ君が来てません」
      皆いるかチェックしていた風花が言う。よく見るとたしかにあの2人組がいない。と、突然誰か
     女性の声が聞こえる。妙な響きと共に。
     「「皆よけないと危ないわよ?」」
     『へ?』
      突然の聞き覚えのある声。客達が疑問を表情に浮かべ間抜けな声を出す。だが。
     ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアア・・・・・・
     ダスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウ・・・・・・
      店の外から・・・・・・正確には上空から聞こえてきた声に全員が頭で理解するより早く体が反応し
     その場から退避する。
     ベギャッ!!──ドカガガガガガガガガガッ!!!・・・カラン・・・カラカラカラ・・・・ゴン!!
     ガン!!
     『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
      天井を突き破り、突然空から降ってきた物・・・・・・ゲンキとボルツを見て悲惨な沈黙が漂う。ちな
     みに彼等の落下地点にあったお菓子等は幻希とミカドが回収していたので無事だった。
     「・・・・・・ふぅ・・・・・・」
      と、ゲンキの連れ(というわけでもないのだが)寂が床下に埋まっている彼を発掘しにかかる。途中で
          吹っ飛んで壁に叩き付けられているボルツには風花が治療に行く。どうやらゲンキには治療も必要無いと
          判断したようだ。ちなみに大正解。(爆)
     「ふっかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつっ!!」
      風花の読み通り発掘された瞬間に復活するゲンキ。何だか頭に破片がくっついていたがスプラッタそう
          なので風花は無視した。
     「ゲンキさん・・・何で空から・・・?」
      何が何やらといった表情でクレインが問う。するとゲンキは、突き刺さった破片を抜きつつ・・・・・
     妙に悟ったような顔で・・・ついでに言えば「当然でしょう?」と言ったような顔で答える。
     「L様に『とっとと行けぇっ!』って、蹴り飛ばされました。気付いたらボルツ共々空を飛んでましたよ
        (遠い目)」
     「・・・・・・・・・・・・何だか納得しました」
      クレインがあっさり納得する。ゲンキとしてもL様に関しての深い追求が無いのは助かるので、この話
          はそこで止めた。
      と、ゲンキはふと気付き、風花に傷を癒してもらっているボルツに歩み寄ると・・・・・・蹴った。
     「ダァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっダス!!?」
     「うるさいっ!!そもそもお前がL様にしつこく『今日は何があるダスゥ?』とか聞きまくったのが悪い
          んじゃないかっ!!」
      ボルツの質問にL様は「行けば分かるわよ」と最初はにこやかに応対していたのだが、彼のしつこい質
          問に次第にイライラしてきて・・・・・・最後に蹴られた。しかも、蹴りだけでゲンキとボルツはここま
          で飛ばされて来たのだ。
     「しかもお前っ!落ちる時に人を盾にしただろっ!?そのせいで床下まで埋まったじゃないか!」
     「いーじゃないダスか!オラは不死身じゃねーダスし!!」
      と、彼等は遂に口論を始める。だが、客達はこういう時の対応を知っている。
     「不死身って言っても少しは痛いぞ!!」
     「オラはもっと痛い!!」
     「夢幻張りせん乱舞!!」
     スパパパパパパパパーン!!
     「炎輝孔!!!」
     バシュウッ!!ゴォアッ!!
     「水刃 千波!!」
     ザクザクザクザクッ!!
     「ゴルディ○ン・ハンマー!!」
     カッ!!─────キュドゥッ!!!───・・・・・・・・・
      レジェ、ミカド、幻希、じゅらいの連続攻撃で完全沈黙する2人。ヴィシュヌがボルツを癒そうかどう
          か考えているようだが、とりあえず他の面々はそれを無視した。(風花は余力を残そうと思っているようだ)
     「何はともあれ、皆さんお集まりのようですね?」
      と、広瀬が言う。まあ、たしかに全員集まっている。皆が頷いていると、彼女はじゅらいの方を向き…。
     「じゅらいさん。今日は何の日だと思います?」
     「え?・・・・・・・・・バレンタインですか?」
     「その通りです」
      彼女は目を丸くしているじゅらいに淡々と続ける。
     「というわけで、今日は私達女性メンバーから贈り物をと思いまして、皆さんに集まってもらった次第です」
     「は・・・はあ?」
      どうやらそこで広瀬の説明は終わったようだ。無言になる。だが、じゅらいも他の男子もまだよく分か
          らない。何故、バレンタインの贈り物でここまで大騒ぎになるのか・・・?
     「・・・あの・・・広瀬殿?」
     「何でしょう?」
     「あの『チョコ像』は何なの?」
     「私達が作った男性の皆さんへの贈り物です」
     「お菓子は?」
     「皆で食べながら談笑でも、と」
     「・・・・・・・・・・・・分かりました。では・・・・・・」
      質問にあっさりと即答されたじゅらいは、何かを決心したように言うと・・・。
     「じゅ亭の皆さん!!女性方がナイスな贈り物をくれたよ!!もう、今までの事は忘却してこのナ
     イスな贈り物を頂きましょう♪♪♪」
      と、にこやかに告げる。無論・・・「じゅ亭メンバー」がそれに乗らないはずは無く・・・・・・すぐに
          ゛いつもの゛お祭りが始まった。行事の度に何か起きるなぁ・・・。(笑)
 



じゅらい亭日記・暴走編5ノ「惨」!!(飽きました?)
投稿者> ゲンキ
投稿日> 02月12日(木)15時15分50秒
注*カレーは辛口?甘口?中辛?(反物質爆)




          「御主人様とレジェンド様とミカド様とゲンキ様とボルツ様と・・・えーと・・・それからぁ?」
     「あ、ありがとうヴィシュヌちゃん♪」
      ヴィシュヌが配り始めたチョコを受け取りゲンキが礼を言う。
     「ヴィシュヌ?これ誰が作ったチョコ?」
     「私ですぅ♪」
      クレインの質問に答えるヴィシュヌ。と、それを聞いたクレインの表情が引き攣る。
     「本っ・・・・・・当に食えるのか?」
     「御主人様ぁ・・・・・・それって、とっ・・・・・・ても失礼ですぅ・・・。第一、ほらぁ?ゲンキ様
          は大丈夫ですよぉ?」
      ヴィシュヌがゲンキを指す。クレインが彼を見ると確かにチョコを食べている。平気そうだ。
     「ふむふむ・・・じゃあ、一口食べてみよっか♪」
     ぱくっ♪
     「・・・・・・・・・・・・・・・」
     「・・・・・・・・・・・・・・・どうですかぁ?」
      一口食べた時点でクレインが沈黙する。それを見て不安を覚えたヴィシュヌが訊ねると・・・。
     「はう・・・・・・・・・(TT)」
      「ドサッ」という効果音と共にクレインが倒れる。よく見ると、ゲンキ以外でヴィシュヌのチョコを食
     べた者達は全員撃沈していた。
     「あれぇ?ゲンキ様だけ無事ですねぇ?何ででしょぉ?」
      と、チョコの中身を調べていたゲンキが訊いてくる。
     「ヴィシュヌちゃん・・・?材料は?」
     「カカオとマンドラゴラとマンイーターの根とトリカブトとお砂糖とお塩ですぅ?」
     「・・・・・・・・・ヴィシュヌちゃん・・・・・・人間にはキッツイよ・・・・・・それ(TT)」
      材料を聞いて涙しながらとりあえず手近な場所に倒れていたレジェの介抱を始めるゲンキ。魔
     族やヴィシュヌのような神族ならともかく・・・・・・人間に「トリカブト」はまずいだろうと思いつつ。
     「えぇ?美味しいと思うんですけどぉ?うーん・・・・・・難しいんですねぇ?」
      と、ヴィシュヌが解毒(自覚があるのか?)の呪文を唱えながら言う。ゲンキは、
     「そうだね」
      と答えるしか出来なかった。


     「死ぬかと思いましたねぇ・・・・・・」
     「いや・・・本気で死んだかもしれませんよ?ヴィシュヌちゃん蘇生術も使ってましたから」
     「・・・・・・・・・」
      復活して椅子に座っているレジェの言葉に隣の椅子に座ったゲンキが答える。蘇生術を使われ
     たミカドは青ざめて沈黙している。
     「す・・・すみません皆さん!!こ・・・こらヴィシュヌ!!謝ったか!?」
     「はい3度程・・・・・・でも、すみませんでしたぁ・・・」
      クレインの言葉に何だかシュンとしてレジェ達に謝るヴィシュヌ。レジェとミカドは「いえ、いいです
     よ」と言うのだが、ボルツだけが「死ぬかと思ったダス。これから気をつけるダスよ?」などと言って、
     ゲンキに蹴り飛ばされた。
     「まあ、ヴィシュヌちゃんのチョコは・・・材料はともかく美味しかったですし。いいのでは?それに、
     ヴィシュヌちゃんのチョコを食べるよりも悲惨な奴もいますし」
      そう言ってゲンキがある方向を指す。そちらを見たミカドも、
     「ですねぇ。あれは、悲惨です」
      と同意する。だが、レジェは「あれって不幸なんでしょうか?」と疑問符を浮かべていた。クレインは
          「どっちとも取れる状況ですね」と言う。
      その方向には、幻希がいた。


     「・・・・・・・・・これは?」
     「私とラーシャちゃんとヨルンちゃんの分よ・・・・・・」
      目の前に山積みにされたチョコの山を指差す幻希にれいろうが答える。
     「・・・・・・じゃ・・・じゃあ、こっちは?」
      別の・・・さらに多いチョコの山を指差すとラーシャが答える。
     「それは、ラウグレアその他の街の幻希様ファンからの贈り物だそうです♪♪さすが幻希様♪」
      幻希の頬を一筋の・・・・・・いや、無数の汗が伝う。そして、さらに巨大な別の山を指差す。
     「こ、これはっ!?」
     「今までに行った世界のFCからの贈り物だそうです」
      寂が淡々と告げ、それらの『FC』の名前を五十音順に説明し始める。
     「幻希殿。店の中には保存できないから全部食べてね?」
      じゅらいが言う。そして、幻希は───────
     「食えるわけねーだろーがあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!(激泣)」
      と絶叫した。



     「・・・・・・まだ割と平和ですね?」
     「nocさん・・・何だかそのセリフは悲しいものがあります(TT)」
     「ららら〜ら〜♪らららら〜♪♪」
      まだそれほど暴走していない店内を見回し呟いたnocの言葉に矢神が涙する。何故か弦楽器は
     心底嬉しそうに唄っている。
     「・・・弦楽器さん?」
      膝にフェリ(お昼寝中)を乗せ、お茶を飲んでいた矢神が怪訝そうに訊く。すると、弦楽器はくるりと
          こちらを向き・・・・・・妙ににこやかな笑顔で告げてきた。
     「NO〜♪今の私は弦楽器・・・つまり、゛戦う弦楽器うくれれ゛じゃないんですよ♪今の私は゛恋する
          弦楽器うくれれ゛♪略して恋楽器なので〜す♪♪」
     「はあ・・・?」
     「それは・・・おめでとうございます」
      呆然と呟くnocと、何が「おめでとう」なのか分からないがやはり呆けた顔で呟く矢神。すると、偶然
          か、それともお約束的必然か・・・眠っているはずのフェリが言う。
     「むにゃむにゃ・・・・・・春だにゃぁ♪」
      夢の中で蝶でも追いかけているかのように前肢をひょこひょこと動かすフェリ。口元がチョコだらけだ。
            そして、弦楽器・・・いや恋楽器は、やはり陽気に・・・嬉しそうに・・・ついでに言えばにこやかに
     「何だか、もう春ですねえっ♪♪♪」
      と言った。



     「うんうん。皆さん楽しそうでいいね♪」
     「・・・・・・へえ?」
      カウンターの椅子に腰掛け、恋楽器並に陽気な顔で言ったじゅらいにしゃちょーが不思議な物を見るよ
          うな目でじゅらいを見る。
     「さっきまで怒ってたのに、もう機嫌が直ったのか」
     「そりゃあ、もう♪」
      しゃちょーの言葉に楽しげに答えるじゅらい。なんだかこっちも春が来たようにも見える。
     「・・・・・・何でそんなに機嫌いいんだ?」
     「うんうん。それはね、看板娘達のおかげさ♪」
     「風舞さん達のおかげ?」
     「うむ♪」
      じゅらいの言葉にしゃちょーは風舞達を見る。ちょうど彼女達はJINNとカードゲームで遊んでいる。
          しばし彼は、ボーッ・・・として見ていたが。唐突にハッとする。
     「い、いやだから、何で機嫌が良いんだ?」
      どうやら何を話していたか忘れていたらしい。慌てて訊いてきた。
     「え?何でって・・・・・・・・・・・・何でだろうね?」
     ゴン!!
     「うーん・・・・・・拙者にも分からないや」
     ガン!!
     「もしかしたら、風舞達がこんなに楽しい事を考えたからかもね?」
     「そ・・・そうなのか?」
      じゅらいの言葉にしゃちょーがカウンターに二度もぶつけた顔を上げて聞き返す。じゅらいは、
     「多分」
      と言ってしゃちょーの頭を再びカウンターに沈めた。



      花瓶はいつものようにいつもの如く・・・ただ、いつもとは違って皆とは違う部屋の窓際で外を眺めて
          いた。一輪挿しのそのボディーには何の花も生けられていない。
     「うーん・・・?何で私はここにいるんだろう?」
      さっきまでは、矢神達と一緒にいたのだ。だが、突然の光に何も見えなくなり・・・気付くとここにい
     た。生けられていた花も無くなっている。
     「何だか『くーかんわいきょく』とか聞こえたような気が?あれが関係あるのかな?」
      彼は知らない・・・・・・燈爽がレジェに作ってきたチョコをボルツが食べてしまい、レジェが空間歪
     曲で仕返ししようとした時に偶然振り向いたミカドに体の向きを変えられ、偶然にも彼をこの部屋に転移
          させた事など…(長い)。そして、ボルツがクリーナを持ったレジェにアルプスまで飛ばされた事など…。
     「うーん・・・・・・まあ、いいか。きっと、その内このはあたりが気付いてくれるさ」
      と、言った時──誰かが部屋に入ってきた。花瓶がそちらを見やると(どうやって見てるんだろうか?)
     「あら花瓶さん、やっと見つけました」
      微笑みながら鏡花が立っている。手には何かの花を持っている。
     「折角、お花を持ってきたのにいないんですもの」
     「ああ、すみません鏡花さん。いやぁ、私も知らない間にこんな所にいまして」
     「あらあら、それは難儀ですねぇ」
      と、彼女はこちらに歩み寄り例の花を・・・・・・。
     「ちょ・・・ちょっと待ったぁっ!!鏡花さん、その花は何ですか!?」
     「チョコですよ?」
     ピシッ
      花瓶にヒビが入る。だが、もう少しで割れるところを何とかこらえる。
     「チョ・・・チョコの花ですか。さ・・・さすがバレンタインデーですね♪あ・・・あはははは♪」
     「はい♪私の手作りですからね♪」
     「そ・・・それは、どうも」
      チョコの花を生ける鏡花。何だかアルコー・・・・・・!?
     「きょ・・・鏡花さんっ!?お酒飲んでません?!!」
     「はい、少しだけ」
      そういう彼女の顔はよく見るとかなり赤くなっている。どれだけ飲んだのだろう?
     「花瓶さん?」
     「は、ははははい!?」
      突然鏡花が花瓶を持ち上げ顔を近づける。思わず慌てる花瓶。                            
      と、店の方で何かが起こったようだ。騒がしい。同時に『ゴゴゴゴゴゴ』という重い音が響く。
     「な・・・何だ?!」
     「あぁ・・・、あれはですね、広瀬が発案した『チョコリーナ大作戦』です♪」
     「な、何ですかそれはっ!?」
     「う・・・うふふふふふふふ♪」
      謎の言葉と共に、妙に陽気になる鏡花。彼女は花瓶を強く抱きしめる。
     ピシッ!ピシピシピシピシ!!ビキィッ!!
     「ひぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!?わ・・・割れますっ!!割れてしまいます?!!」
     「広瀬の作戦は楽しいですよぉぉぉ♪見ててくださいねぇぇぇ♪」
     「見れません!?このままだと見るより先に割れてしまいます!!うわっ!?」
     ギューーーーーーー・・・・・・ビキビギビキッ!!パキャッ!
     「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
     「『チョコリーナ大作戦』ですぅっ♪♪♪」
      鏡花の『抱きしめ攻撃』で割れそうになる花瓶。彼の絶叫木霊する中・・・・・・鏡花の声に応える
     ように、広瀬の『チョコリーナ大作戦』が発動した。




じゅらい亭日記・暴走編5ノ「四」!!(豆腐)
投稿者> ゲンキ
投稿日> 02月12日(木)15時19分30秒
注*うけけけけけけけけけけけけけ!!(暴走)




      突然・・・そう、突然にそれは起こった。あまりに突然で何が起こったのか分からなかった。少なくとも
          じゅらいには分からなかった。
      だが。
     「こ・・・これは・・・!!」
      誰かがそう言う。だが、誰かは分からない。じゅらいの意識は目の前の巨大な砲身・・・・・・そう!
     「『テレ砲台』??!!」
      そう、突然じゅらい亭の床が開き『テレ砲台』が出現したのだ。しかも、『テレ砲台』の中には、すでに
          ほとんど食べ尽くされたあの『チョコ像』と同じ物が・・・・・・。
     「うっ!?わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」 
     「にゃぁァァアアアアアああああああぁぁぁぁぁぁああああああっ!!?(半泣き)」
      その光景に『テレ砲台』には嫌な思い出のあるnocとフェリが絶叫する。あの事はしっかりトラウマになっ
          ているようだ。
     「もらったぁっ!!」
     パシッ!!ぱく♪
      突然、ルネアのポケットからミカドがチョコをひったくり・・・・・・食べた。それに、呆然としていた
          店内が我に帰る。
     「あぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!!??史郎君にあげるチョコがっ!!こぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
          のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ馬鹿兄貴ぃぃぃぃぃぃぃっ!!(激怒)」
     「えっ・・・これ史郎の分だったのうえ゛あっ!?げっ!べっ!がはっ!?ぎゃぁぁぁぁぁっ!!(炎)」
      正拳、ボディー、アッパー、顔面への回し蹴り、炎輝孔と連続攻撃を喰らうミカド。ルネアは涙目
     で更なる攻撃を放つ。
     「蒼龍魔波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!(涙怒)」
     ゴゥオッ!!
     「うっひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!???」
      爆裂な水流に巻き込まれるミカド。そのまま壁を突き破り何処かへと消える。
     「・・・・・・・・・まあ、それは置いといてだ」
      ルネアとミカドのやりとりを見ていた幻希が何かを横に置く動作をする。他の客達も頷く。
     「こ、これはっ!?何で『テレ砲台』がっ??!!」
     「あ、レジェ。今のちょっとわざとらしかったです」
     「え、そうですか?じゃあ・・・・・・ああっ!『テレ砲台』?!(驚愕)」
     「OKです♪♪じゃあ、僕も・・・・・・『テレ砲台』・・・・・・何故・・・(緊迫)」
     「いいですねぇ♪」
     「いや・・・そうじゃなくて・・・」
      何だか妙な掛け合いを始めたゲンキとレジェにクレインがビシッとツッコむ。
     「そうじゃなくて、あの見るからに怪しいリモコンを持っている広瀬さんへの質問が先では?」
      と、クレインが広瀬を指差す。彼女はまるで「鉄○2○号」の操縦装置のような物を持っている。
     確かに怪しい。だが───!
     「いきなりそっちに話を振っては盛り上がりにかけるのでは?」
     「そうですねぇ。でも、まあ話が進まないのも困りますから・・・・・・・・・ああっ!広瀬さん!!何
          です、そのリモコンわっ?!!←(驚きの表現)」
     「・・・・・・・・・」
      流石にもうツッコめずクレインが沈黙する。そして、ゲンキに質問された広瀬はと言うと。
     「やっと話が回って・・・・・・って違いました。そう、これですか?これはですね、『テレ砲台』移動
          装置のリモコンです」
     「移動装置?」
      じゅらいが聞き返す。「そんな物あったっけ?」と心の中で考える。
     「JINNさん達に作っていただきました」
      広瀬がJINN、クレイン、しゃちょーを指差す。指された彼等は「え?」と言ったような表情になる。
     「覚えておられませんか?」
      広瀬が訊くと、クレインが「あっ!」と手を打つ。
     「たしか・・・『こういう物を作ってくれませんか?』って広瀬さんが設計図を・・・」
     「鉄人か何かのリモコンだと」
     「それって『テレ砲台』のリモコンだったんですか!?」
      その3人に「そうです」と頷く広瀬。彼女は、更に付け加える。
     「ついでに言うと・・・こういう機能もあります」
      「ピコッ♪」と彼女が無数のスイッチの一つを押す。すると・・・
     ゴ・・・ゴゴゴ・・・ガキョーン!!!
     「げっ!?」
      天井が開いた。突然見えた青空に幻希が驚く。
     「そして、こうすると」
      広瀬が更なるスイッチを押す。すると、『テレ砲台』の砲身が垂直に真上を向く。
     「なっ?!広瀬殿、何をっ!!??」
     「何をって?・・・こうします」
      平然と広瀬が「『テレ砲台』発射装置」と下に油性マジックで殴り書きにされたスイッチを押す!
     「ああっ!?」
      そのスイッチを作った張本人しゃちょーが慌てるが、もう遅い。『テレ砲台』の周囲は一瞬静寂に包
     まれ─────!!
      次の瞬間には青空を巨像が飛んでいた。




     『だぁぁぁああああああああああああああああっ!!??』
      広瀬から聞いていたのか慌てもしない女性陣とは対照的に・・・・・・男子一同は慌てまくる。
      砲身は真上を向いていた。
      当然チョコ像も真上に飛んだ。しかも、かなりの高度まで。
      つまり。
      凶悪な加速のついた巨大なチョコの塊が落ちて来るのだ!
     「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!??」
     「ま…まずいっ!!誰かっ!!あ、攻撃魔法…ゲンキさん、幻希さん、ミカドさんっ!!早く撃墜…
     うわぁっ!?」
      クレインが目を見開く!何故か血塗れで倒れるゲンキと、甘い物の食べ過ぎで鼻血を出して蹲って
     いる幻希。そして、戻っては来たものの、さっきのダメージから回復していないミカドの姿が目に入っ
     たのだ。
     「ああっ!!こんな時だけっ!?仕方無いっ!!オーディー───」
     ガン!!ドサッ・・・
      オーディーンを召喚しようとしたクレインが倒れる。背後から殴ったヴィシュヌがにこやかに言う。
     「御主人様ぁ〜?大丈夫ですよぉ?ねぇ、燈爽様ぁ?」
      それに、やはり像を撃墜しようとしたレジェをくすぐって妨害している燈爽が答える。
     「そうですよぉ?あれはここには落ちてきませんからぁ?」
     『「ここには」?』
      矢神、noc、弦楽器の冷静なツッコミが返って来るが燈爽は「はい、そうですぅ♪」と事も無げに答
          える。
     「広瀬殿っ!?ここには落ちて来ないってどういう事だいっ?!!」
      撃墜しようかどうか悩んでいたじゅらいが広瀬に訊く。すると彼女は、リモコンをカウンターに置い
          て空を───チョコ像を指差す。
     「あれが・・・・・・まずバラバラになります」
      その言葉に反応した──わけではないのだろうが、空中の(もうかなり低いとこまで来ている)チョ
          コ像に線が走りすぐさま分解する。数百──もしくは、数千の小さなチョコに変わった。
     「そして、風花さんが」
      と、何時の間にか屋根に上がっていた風花がこちらに向けて手を振る。思わず手を振り返すじゅらい。
            そんな時では無いのだが。
      そして広瀬の言葉は続く。
     「飛ばします」
     「へ?」
      広瀬の口から出た唐突な言葉にじゅらいが間の抜けた声を出す。だが、彼女はそれを無視して右
     手を掲げ叫ぶ。
     「風花さんっ!!」
     「トルネェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェド!!!」
      広瀬の声に応え、風花が竜巻を造り出す!
     ゴォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!
      竜巻が一直線に分解したチョコ像へと向かう!
     パキョーン!
      軽い音を立ててチョコ像が完全分解を果たす、そして無数のチョコは風に乗り・・・・・・。
     「ああ・・・なるほど」
      矢神が空を見上げ納得したような声を出す。チョコが空を舞っている。おそらく街中にばら撒くつもり
     だろう。だが。
     「黒っぽいチョコが降ってきたら怖いんじゃないですかね?」
      JINNがツッコム。だが、確かにそうだ───このままなら。
     ザァッ───!
      ざわめきのような・・・・・・細雨のような音を立ててチョコが風に乗り、空を舞う。竜巻はもう消さ
          れたがそれによって起こった風がチョコを街全体へと運ぶ。
     「ゲンキ君っ!!」
      と、風花が叫ぶ。すると、死んでいたと思われていたゲンキが光速復活して屋根に飛び乗る。
     「了解ですっ!!魔王呪法!!!「ラッピング」!!!」
      ゲンキの掲げた両腕から光が飛び出す。それは空中で巨大化し、全てのチョコを呑み込む。
     『おおっ!!』
      一同が目を見開く。空中のチョコが全て奇麗に包装されている。しかもパラシュート付きだ。そして、
     それらはゆっくりと舞い降りて来る。 
     「ふふふ・・・・・・お中元の季節に開発した技がこんな所で役に立つとは思いませんでしたよ♪」
     「ゲンキくん、相変わらず妙な特技多いねぇ?(笑)」
     「あはははは♪魔王ですから♪」
     「あははははははは♪魔王は関係無いって♪」
      何だか妙な会話を交わすゲンキと風花。と、レジェがハッと気付く。
     「ゲンキさん、知ってたんですかっ!?」
      さっきの風花の言葉に対するゲンキの反応は妙に早かった。あらかじめ今回の事を知っていたとし
     か思えない程に。
     「いやぁ、調査に行った時に捕まっちゃって♪ボルツは1人で逃げやがったんで知りませんけどね♪」
     「知ってたんですか・・・・・・それで隠してるなんて人が悪いですね・・・」
     「あははははは♪そんなに褒められてもいてっ!?」
      「スコーン!」という音がしてゲンキの頭にチョコがぶつかった。風花が周囲を見回すと街中にチョコ
     が降り注いでいる。色とりどりの包装がされたチョコが・・・・・・ゆっくりと。
     「いたたたた・・・・・・いやぁ、綺麗な物ですねぇ♪でも、失敗しましたねぇ・・・このチョコにパラ
          シュート付けてませんでした」
      と、ゲンキが周囲を見回しながら自分の頭に直撃したチョコを手に取る。それを見ながら風花はふ
     と・・・・・・妙な想像をしてしまう。
     (もしかして計算してボケてるんじゃ?)
      1つだけパラシュートの付いてないチョコが狙ったかのようにゲンキ自身を直撃する・・・・・・偶然
          にそんな事があるのだろうか?だが、目の前でチョコを集めて「今夜はチョコ尽くしにしよう」などとの
          たまう少年がそんな計算高いとは考えられなかった。
     「結局・・・・・・きっと・・・・・・・・・・・・天然なんだわ」
     「風花さん、何か言われました?」
     「え、いや、何でも無い♪あ・・・あはは♪」
     「?」
      結局、風花にとっては「魔王」という人種(?)の謎が深まっただけだった。



     「・・・・・・・・・これ、広瀬さんが考えたの?」
      店の外に出て空を見上げたじゅらいが呟く。呆気に取られたまま。
     「はい。普段我々がお世話になっている街の方々にもお礼を・・・と思いまして」
      広瀬が淡々と言う。いつもの「広瀬参謀」の口調だ。
     「凄いなぁ・・・・・・いいですよ!ナイスです!!」
      じゅらいが嬉しそうにはしゃぐ。それを見ていた広瀬の表情が僅かに和らぐ。
     「広瀬〜〜♪♪」
      と、2階の窓が開き鏡花が顔を出す。彼女がこちらを見てニッコリ笑う。酔っているせいで頬が紅か
     ったが。広瀬もそれに笑みを返し頷く。
     「じゅらいさん」
     「はい?」
      広瀬の声に子供のように喜んでいたじゅらいが振り向く。子供のよう…そういえば幻希が以前、「じゅ
          らいは時々ガキみてぇな時もあるぜ。だから楽しい」と笑っていた。何となく広瀬にもそれが分かった。
            だから、彼女はポケットから小さな箱を取り出す。ゲンキの包装したチョコとは違う物を。
     「これは私からです」        
     「・・・・・・・・・え?」
      広瀬の取り出したのはチョコの入った箱だ。そして、それをじゅらいにくれると言う。数秒間…いや、
          分単位だったかもしれないが・・・じゅらいの思考が停止する。そして、もう一度。
     「・・・・・・・・・え?」
     「ですから私からのバレンタインの贈り物です」
     「・・・・・・・・・ええぇっ??????!!!!!!!」
      驚愕するじゅらい。何だか今日の広瀬は意外だらけだ。
     「そんなに意外ですか?特に私自身はそういう自覚は無いのですが?」
     「あ、いや・・・意外と言えば意外・・・って違う。あ、えーと・・・とにかくありがとうっ♪♪」
      自分の言葉に自分でツッコんでから礼を言うじゅらい。広瀬はそれを見て遂に限界が来た。
     「ぷっ・・・・・・アハハハハハハハ!!」
      またも意外な程に陽気に笑う。じゅらいばかりか周囲の人間までそれを見て目を丸くする。
     「驚いていいですよ、当然です。私の普段の姿とはギャップがあるのでしょう?」
     「え・・・あ、はい」
      広瀬の質問に思わず正直に答えるじゅらい。
     「そうですね、でも今の私も普段の私もごく自然な私です。いやぁ、こんなに皆さん驚かれるとは思い
     ませんでしたよ」
      笑顔のままそう言う広瀬。じゅらいは「はぁ・・・」と言うくらいしか出来ない。
     「じゅらいさん、見てください」
      と、広瀬が周囲と・・・空とを指す。それに応え、素直にそれらを見回すじゅらい。
      空からはまだチョコが舞い下り続けてていた。周囲では街の子供達がそれを集めている。雪と氷で凍
          えた街が何だか活気に包まれている。
     「どうです?」
     「なるほど・・・・・・広瀬さんはこれがしたかったんですね?」
     「そうです」
      と、広瀬が微笑する。何だかホッとする笑顔だ。
     「うーん・・・・・・いいねぇ・・・・・・来年もこれをやりましょうか?」
      じゅらいが周囲の光景を見回しながら呟く。だが、広瀬は首を横に振る。
     「え?来年はやらないの?」
      じゅらいが訊くと、彼女は「いいえ」と言ってから続ける。
     「来年もやりましょう?でも、その前に・・・」
     「前に?」
     「7月22日にはケーキを発射しません?」
      広瀬がニコッと人差し指を立てつつ言う。絶句するじゅらい。彼は空を仰ぎ・・・・・・。
     「開店一周年は・・・・・・大変だ」
      と呟いた。





                                              (終わり)




もう一つ。(蛇足)

改行失敗多いですね、すみません皆様。(TT)
投稿者> ゲンキ
投稿日> 02月12日(木)15時23分11秒
掲示板なのにあとがき


     ゲンキ:とりあえず皆さんごめんなさい。m(_ _)m
     寂:卑屈ですね・・・。
     ゲンキ:だって、こんな変な話になっちゃったんだよ?謝んなきゃ悪いじゃないか。オチてるようで
     オチてないし・・・。
     寂:それはそうですが・・・・・・。
     ゲンキ:というわけで、皆さん・・・特に広瀬さんと鏡花さんすいません。許可無しで出してしまい
          ました。
     寂:それは本当に悪いと思いますが・・・。
     ゲンキ:うん。というわけで、お詫びに・・・・・・胸君!!
     胸君:そうだねっ!!謝るなら多人数だよ!かの偉人もそう言ってたような気がするしねっ!
     寂:・・・・・・ゲンキ殿・・・?その心臓の形をした人形は一体・・・?しかも、突然腹話術など
          始めて・・・。
     ゲンキ:何言ってるんだ、寂?彼は胸君じゃないか?なぁ、胸君?
     胃君:いや、僕は胃だよ。
     寂:・・・・・・・・・。
     ゲンキ:まぁ、それはともかく謝ろう。行くぜっ!!
     ゲンキ&胃君:『ゴーメンくださーい!!(昇竜拳)』
     寂:(スッ・・・)
     ゲンキ&胃君:『え?』
     寂:・・・・・・(バーン!バーン!ダララララララ!!)
     ゲンキ&胃君:(蜂の巣)
     寂:・・・(嘆息)・・・・・・では、皆様・・・御迷惑をおかけしました・・・。また・・・。
     
                    

                                                   一旦閉幕
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