――時に、星暦7003年。

 無限に広がるパラレル・ワールドの中でも、最高にファンタジックで、最高にナイスな
冒険の世界に、彼らは――冒険者の店「じゅらい亭」の常連メンバーは集っている。

 これは、彼ら超常の力を持つ冒険者達が繰りひろげる、愛と勇気、笑いと涙、出会いと
別れ、暴走と借金、ボケとツッコミ、ナンパと(中略)の記録である・・・





 おおぼけの世界 ジュラハザード





 第2話「 バイオ・ハザ〜ド 」


 カランコロン♪

 うららかな午後の空気に優しく抱かれている街、セブンス†ムーンにある冒険者の店、
じゅらい亭のドアベルが、のんきな音で来客を告げる。

 開け放たれたドアの外は逆光で白く染まり、心地よい風が吹き込む。その光と風に押さ
れたように、両手に大荷物を下げた精悍な若者と、白い麦藁帽子を手に持った美しい女性
が入ってきた。

 「ただいま!」
 「ただいま帰りました」

 その爽やかな声にハッとして顔を向けたのは、カウンターで居眠りしていた店主(罰金)
だ。店主「じゅらい」は、お盆で7体の睡魔を張り倒しつつ、来客者に笑顔を向けた。

 「――おかえり、眠兎殿、みのり殿!!!新婚旅行はどうだったでござるかっ?」

 そう、彼と彼女――「藤原眠兎」と「藤原みのり(旧姓・四季)」は、数々の壮絶な闘
いを生き抜き(【 異邦人−まほろば− 】参照)、先日ついにゴールイン!皆に祝福され
ながら、半年にも及ぶ長期アツアツの新婚旅行に出ていやがったのだった。
 羨ましい(´ρ`)ノ

 「楽しかったですよー、ホント。この世界ばっかりは、飽きるってコトがありませんね」
 「ふふふ・・・」

 ドサドサとお土産らしい荷物を置きながら、眠兎がやや興奮気味に言い、みのりが微笑
する・・・新婚さんの空気っつーのはアレだね、なんつーか、良いもんだネ(笑)

 じゅらいはその様子を見て無意味に「たはは」とか笑いつつ言う。
 
 「そっかー、それは良かったなりねぇ!よし、さっそく土産話をしてもらいますぞっ!
ちょっと待ってて、みんなをすぐ呼ぶからさ・・・」

 そしてカウンターを指で2回叩き、音声コマンド入力。

 「のーべんばー、テレ砲台でメッセージ弾発射!内容は≪土産だよ全員集合!≫」
 『了解』

 直後、じゅらい亭の屋上から砲身が伸び、弾体を射出。

 キュゴーーーン! 

 すさまじい爆裂音と同時。


 


 雲ひとつ無いセブンスムーン・シティの空いっぱいに、カラフルで可愛い文字が踊った。




  
 ――15分後。

 ちょっとした用事で地球の反対側にいた「ゲンキ」と「ボルツ」が、怪しい黄金像を背
負ったまま駆けつけたのを最後に、じゅらい亭の常連メンバーが集合していた。

 みな口々に、新婚カップルに声をかけているが、そのへんの台詞はカット(爆)
 とにかく、すごい大騒ぎさ!

 「――さて、そろそろ聞かせて貰いたい!ムッフーな新婚の夜の記憶をげふァッ」

 勢い任せの「幾弥」の台詞にルネアがツッコミパンチ☆ずべしゃーっと床を滑って行く
幾弥を「ここは相変わらずだなぁ」という笑顔で見ながら、眠兎が話し始めた・・・。



(中略(切腹))



 「そういえば、眠兎殿が送ってくれた絵葉書にはウケましたよー!だって、あのバイオ
ハザードで有名な≪ラクーン市≫の絵葉書なんだもの!どこで買ったんですか(笑)」

 じゅらいが棚に飾ってあった絵葉書を示しながら言う。それには確かに、藤原夫妻が、
多数のゾンビに囲まれつつ、にこやかにピースなんぞしている写真がついていた。

 「あはははは」
 「眠兎殿、手が込んでてナイスなジョークですぞ」
 「どこかの遊園地のイベントで撮ったんですか?」
 「新婚旅行でラクーン・シティに行くヤツなんて居ないよなー」
 「あの都市って、入れるんだっけ」
 「かゆ、うま・・・」
 「だはははは」

 ゾンビの真似なんかしつつ、騒ぐ常連達。
 眠兎&みのりも一緒に笑っていたが、ふと思い出したようにつぶやいた。

 「――弾切れして焦ったよね・・・」
 「グリーン・ハーブのサラダにはもう飽き飽き・・・」
 
(((((ホントに行ったのかーーー!?)))))

 ひゅう〜

 かなり肌寒い風が、じっとりと脂汗を浮かべている常連達の間を駆け抜けた。
 あまり追求したくない話題だったので(笑)じゅらいが話を強引にそらす。

 「そ、そうだ、眠兎殿!お話も良いけど、物理的なお土産も頂けるご様子!さっそく、
見せてくだされよ♪」
 「ん、ああ、そうですね。珍しい物をたくさん買って来ましたよ。えーっと、じゅらい
さんには、これを・・・」

 そう言って、眠兎が鞄から取り出したのは、一冊のノートだ。

 「これでござるか・・・はて、これは・・・?」
 「あれ、それって≪ジャ○ニカ学習帳≫じゃん?この世界にもあるんだ?」

 戸惑う「じゅらい」の手元を覗きこんだ「クレイン」が言う。そう、眠兎が渡したその
ノートは、お子様向けノートの定番、動物や植物の写真がついた「ジャ○ニカ学習帳」に
そっくりだったのだ。

 「・・・でも、この写真・・・・・・・・・なんでバイオハザードなの(TT)」

 そう、じゅらいが受け取ったそのノートは、カプ○ンお得意の、ゾンビとタイラントの
リアルな写真がついていたのだッ(いやーん)
 PTAの皆さんがブチ切れそうな表紙のそれは、何かの血で少し汚れていた。

 「だってそれ、ラクーン市の土産店で買ったんですから。ゾンビはラクーン市の特産品
なんですよ(爆)」
 「うう、だからって・・・なんでジャ○ニカ学習帳を選んだの???(^^;」

 じゅらいの問いに答えたのは、意外にも・・・みのりだった。


 「だって、昔から言いますでしょう?
 
  バイオ・ハザード≪コード・ジャポニカ≫って・・・」





ガビーン





 ――その日、じゅらい亭からは、真っ白に燃え尽きた冒険者たちが、ふらふらと帰って
いく姿が目撃されたという。

 その姿は、まるでゾンビのごとし・・・と、次の日の「あさいち新聞」で報道された。



 おしまい(死)







■後書き(2000.03.15):ごめんなさい(切腹)

ちなみに『バイオ・ハザード コード・ヴェロニカ』というゲームは実在します。

■後書き2(2000.06.06):うわー、なんだこれ(^^;
 書いた当時は、そこそこ面白いと思ってたんだけど・・・今になるともうダメー(笑)
 これから精進しますー。


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