じ ゅ ら い 亭 殺 人 事 件

じゅらい亭殺人事件
投稿者> Landa
投稿日> 12月29日(月)03時05分52秒

	    





ここはじゅらい亭。今日もお手伝いもとい人質…いや人身御供の

燈爽は各部屋の掃除をしていた。

「きゃぁぁ〜〜!」

昼間の静かなじゅらい亭で悲鳴が上がった。どうやら声の主は

燈爽のようだ。

「どうした、燈爽ちゃん!」

と下に居たじゅらいが部屋に駆け込んで来る。

「ゲンキ様が……。」

燈爽の指差したその先には血まみれのゲンキが倒れていた。



               〜一時間後・現場〜



「なるほど、それでは燈爽さんが発見された時にはすでにゲンキ

さんの心臓は止まっていたと…。」

と事情を聞きに来た刑事が確認を取る。

「はい・・・。」

と燈爽はまだショックから立ち直っていないようだ。

「あのぉ、刑事さん、燈爽ちゃんショックを受けてるみたいですから

  別の部屋で休ませてあげてもいいですか?」

と燈爽の肩に手をやりながらじゅらい亭の看板娘、風舞が刑事に

聞く。

「あっ、これは気が回りませんでどうぞ、いいですよ。おっとそうそう、

  そういえばゲンキさんに恨みを持つような人物はいませんでしたか?」

「さぁ?いつもみんなと楽しくやってられましたから。」

と風舞は少し考えて答える。

「ふ〜む、そうですか。」

「では、刑事さん失礼します。」

といい風舞は燈爽を連れて部屋を出た。それと入れ替わりに少年が入っ

て来た。

「よぅ、剣待ち(注:剣持ちではありません)のおっさん、苦労してる

  みたいだな。」

と少年は軽く声をかける。

「おっ、全田一(注:金田一ではありません)、ちょっと力を貸してく

  れないか?」

部屋に入って来た少年に剣待ち刑事は助力を依頼する。

「あぁ、まかせとけ、ばっちゃんの名にかけてこの犯人を捕まえて

  やる。」

こうして剣待ち刑事は、全田一少年に事件のことを事細かに話した。

そして話が終わった後、全田一少年は部屋を見回してこう言った。

「なるほど、そういうことか…なら謎は全て解けた。」

「どういうことだ、全田一?」

「おっさん、じゅらい亭の常連のみんなを一階に集めてくれ。」

「わ、わかった。」





         〜いきなり最後〜



「この殺人事件の犯人はあんただ、レジェさん!」

と全田一少年は一階の酒場に集まった常連客の中からレジェを指

差した。

「僕が犯人だって?言いがかりはよしてくれ。」

とレジェは答える。他のものは成り行きを黙って見つめている。

「だいたい僕には動機がないじゃないか。」

「その通りだ、レジェさんには動機がないぞ、全田一。」

と剣待ち刑事。

「まぁ待てよおっさん、この場合、動機は必要ないんだ、実際は

  事故だったんだから。あんたはいつものようにゲンキさんと技の

  応酬をしていた。そして偶然クリティカルがでて殺ってしまった

  だけなんだから。」

と全田一少年。ちょっと無茶な理論だ。

「しょ、証拠がないだろ!」

と悪役最後の定番の台詞を口にするレジェ。

「証拠か…。レジェさん、あんたの最大のミスは殺人現場に重大な

  証拠を残したことさ…いや、証人をね。」

と言い、ニヤリとする全田一少年。

「なんだと、…そんな馬鹿な!?ならその証人とやらを出してみろよ!」

とレジェ。

「すみません、ちょっと出てきてください。」

と部屋の外に全田一少年が言うと証人が部屋の中に入って来た、

その人は――

『ゲンキさん!?』

全田一少年とゲンキ以外の人の声がハモる。

「全ては彼から聞いたんですよ、レジェさんもう言い逃れはできま

  せんよ。」

「くっ・・・・・・俺の負けだよ。」

とレジェは言う。

「レジェンド、ゲンキさん殺人罪で逮捕する!」

とレジェは手に手錠をはめられ逮捕された。

「レジェさん、最後に一つ聞きたい。なぜゲンキさんを生かしてお

  いたのです?殺しておけば、貴方の犯罪はばれなかったのに…。」

と全田一少年はレジェに聞く。

「忘れてたんですよ、ゲンキさんが不死身だってことを・・。」

と自嘲的な微笑みを浮かべて答えるレジェ。そして彼はこのまま

パトカーに乗って去っていった。





「ゲンキさんは生きてたのに…殺人事件って言うのかしら?」

とみんなが散った後ぽつりを風舞はつぶやいた。





〜fin〜





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