じ ゅ ら い 亭 の 階 段 !?

じゅらい亭の階段!?
投稿者> Landa
投稿日> 02月17日(火)23時17分48秒



「えっ?今回の依頼はゴーストハント?」
依頼を受けたじゅらいは少し驚く。実際、この世界にそんなものは、
いやと言うほど存在している。だからゴーストハンターと言うそれな
りの職業というものが存在するのだが…。依頼の内容は簡単だった、
とある屋敷の一室にそれはいるらしい…。屋敷のものも毎夜、悪夢に
うなされていて困っているとのことだ。その怨霊を退治または浄化さ
せること、それが依頼内容だった。ただ今の時期に偶然ゴーストハン
ターが街に居ないらしくそのためこのじゅらい亭に仕事がまわってき
たのだ。
「う〜ん、ちょうど人がいないんだよな…。」
そう、こういう依頼の時に限ってちょうど人がいない…みんなそれぞ
れの仕事をこなしているのである。まぁ、看板娘とアルバイトの燈爽
はいるのだが…。
「よし、今回は拙者が行こう!」
悩んだ末にじゅらいは自分がゴーストハントに出かけることを決めた。
それを聞いた燈爽は勝手にじゅらいに付いて行ってしまい、結局二人で
ゴーストハントをすることになった。


怨霊は、子どもを奪われ殺された母親の霊だった。彼女はひどく子ども
に対して敏感で、燈爽を自分の子ども思い込み、自分と同じ世界に連れ
込もうと攻撃を開始する。もちろん、ジュライと燈爽も持ち前の道具で
対抗するが…。怨霊の寄り代が分からない二人は苦戦を強いられる。
二人は説得をしながら闘いを進める…。そして、ついにバイオリンが寄
り代であることを突き止め…

ズダァン!
ジュライの手にした拳銃が怨霊の寄り代と化していたバイオリンを貫く。
「主よ、彼の者に許しと安らぎを・・・」
ジュライの言葉がバイオリンに染み入るかのように消え、それと同時に
バイオリンにゆっくりとひびが入りはじめ、ゆっくりと塵と化していく。
「向こうで子どもを再会出来るといいですね…」
と隣の燈爽が誰ともなく言う。
「そうだね…うっ!」
長くに渡る闘いでの疲労、そして怨霊を浄化させたことで緊張が一気に
薄れたジュライは気を失った…。



「マスター大丈夫ですか?」
再びじゅらいの目がさめたところは店の中だった…。すぐ横では風舞が
心配そうにじゅらいの顔を覗き込んでいる。
「あぁ、大丈夫。」
「心配しましたよ。ゲンキさんと燈爽ちゃんがマスターをここまで運ん
でくれたんですよ。」
そういえば、と仕事先で倒れたことを思い出しじゅらいはここにいる理
由に納得する。
「あぁ、ゲンキさんと燈爽ちゃんには悪いことをしたなぁ。」
「彼らには私からお礼を言っておきますから。ゆっくり休んでください
ね、疲れも溜まってたみたいですから。」
「わかったよ。」
そう答え、じゅらいは再び眠りについた…。そう彼は疲れていた…邪悪
存在に気づかない程に…。それが悪夢の始まりだった…のかもしれない。




URL> かなり適当です(^^;

じゅらい亭の階段!?その2
投稿者> Landa
投稿日> 02月17日(火)23時22分05秒



次の日からじゅらい亭では深夜、ある音が響きだした…
キィキィ
誰かが夜な夜な階段を行き来しているらしい音。バイオリンではないので。
最初は特に気にしなかったじゅらい亭の面々だが事件がついに起きてしまった…


「あぅ〜!私のケーキが無くなってますぅ!」
燈爽の悲壮な声が朝も早いじゅらい亭に響いた。
「どうしたの、燈爽ちゃん?」
「あぅ風舞様ぁ〜、昨日の晩にもらったケーキが無くなってますぅ。今日、ゆっ
くりと食べようと思ってたのにぃ〜。」
「わかったわ、燈爽ちゃん、私のを上げるから泣かないでね♪」
「あぅ、ありがとうございますぅ〜」
こうして一つ目の事件は人の目に知られることなく事件は解決した。

「あぁ!L様に買って来たお茶菓子が無くなってる!?」
じゅらい亭を訪れて帰ろうとしたゲンキが驚愕で悲痛な声を上げる。
「それは大変だねぇ〜。」
とマスターじゅらいはお気楽な声を上げる。
「あぅ〜急いで別のお茶菓子を買いに行かなきゃ!」
ゲンキは急いでL様のお茶菓子を買いに出ていった。ここ数日このような事件が
じゅらい亭では続発していた…。

「このごろのあの事件どう思います?」
いつもの通り他愛ない話をしていたじゅらい亭の常連達…。その時矢神が話を切
り出した。
「あの事件って?食べ物とかが無くなっているってやつ?」
と風花が聞き返す。
「あれはじゅらい亭の階段と関係あるんじゃないかと僕は思うんですが?」
自分の意見を述べた矢神にゲンキが口を挟む。
「考えすぎじゃないですか?ねぇ、じゅらいさん。」
とゲンキが話を振った先には気持ちよさそうに寝ているじゅらいがいた。
「ねてますねぇ(^^;。どうしてそう考えるんですか、矢神さん?」
「それは勘です(笑)。まぁ、事件と階段の噂が同時期に始まったからでも有り
ますが。」
と矢神は微笑みながら答える。
「じゃぁ、今夜、階段の噂を調べてみましょうよ。」
風花が噂の調査を提案する。
「いいですねぇ、僕もL様に勝手帰ろうとしたお茶菓子をたべられちゃいました
し。」
すでに階段の噂とこのごろの事件を結び付け犯人を決定しているゲンキだった。
「それじゃぁ――」
「ゲンキさん、ゲンキさん?」
矢神が最終的な打ち合わせをしようと声を出した時、さっきまで寝ていたじゅら
いが、にこやかにゲンキに声をかける。
「はい、なんです?」
「光になってくれない?」
「はい?」
じゅらいの言葉の意味が飲み込めず思わず間抜けな声を上げるゲンキ。
「危ない、ゲンキさん。」
「ゲンキ君、前!」
矢神と風花の声がゲンキに正気を取り戻させる、目の前には
ゴルディオン・ハンマーを高々と掲げたじゅらいが今にもそれを振り下ろそうと
していた。
「光になれぇ〜〜〜!!」
バシュ!
「あ、危なかった…。」
ゲンキはかろうじてじゅらいのゴルディオン・ハンマーを躱していた。
その代わりちょうど机の上に飾ってあった花瓶が光粒子になったしまったが…。
ピロリロリ〜ン♪
『じゅらいはレベルが上がった
力 3アップ ∇
すばやさ 2アップ ∇
魔力 1アップ ∇
運 5アップ ∇
画力 10アップ ∇
超力 11アップ ∇
気力 5アップ ∇
更新力 7アップ ∇
精神抵抗力 5アップ ∇
HPの最大が 22アップ ∇
MPの最大が 12アップ ∇
決め台詞 「あんたもキメてくれよ!」 を覚えた。』

「レベルがあがっちゃいましたね(笑)?」
「花瓶さんは経験値が多いですから。」
「僕も花瓶さんを倒してレベルアップしようかな♪」
と矢神達三人が呑気な会話をしていると
「あれ?拙者は一体?何でゴルディオン・ハンマーなんかもってるんだ?」
「(ひそひそ)どうやらさっきの記憶はないみたいですねぇ、ひとまず内緒にし
ておきましょう。」
じゅらいの様子にさっきのことを隠すことを提案する矢神。
「(ひそひそ)そうですね。」
「(ひそひそ)幸い、怪我人も出なかったことですし。」
どうやら花瓶のことを忘れているらしい。
「じゅらいさん、疲れてるんですよ、ゆっくり休んだらどうです?」
「そうだね。今日は早めに休ませてもらうよ…。」
ゲンキの勧めでじゅらいはゆっくりと寝室のある二階上がっていった。
「今ので全ての謎が解けたような気がしましたね(笑)」
と二階に上がっていくじゅらいを見つめながら微笑む矢神だった。



じゅらい亭の階段!?その3
投稿者> Landa
投稿日> 02月17日(火)23時26分24秒



「さて、そろそろ時間ですね。」
「そうですね。音の正体は何なんでしょうか?」
深夜のじゅらい亭…ここは階段の影に隠れた場所である。音の正体を突き止めよう
と矢神、風花、ゲンキ、そしてなぜが燈爽の四人が待ち構えている。
「あぅ、私のケーキを食べた犯人を捕まえるんですぅ!」
後に分かることだが燈爽のケーキを食べたのはレジェンドである。
キィ
キィキィ
二階から何者かが階段をきしませながら降りてくる音が聞こえる。
「(ひそひそ)きましたね…。」
ゲンキの言葉に3人が頷く。
キィキィキィ
ゆっくりと音が近づいて来る。そして、すぐ近くまで近づいた時、
「貴方は誰!?」
風花がすばやく階段を降りて来た気配の前に立ちふさがる。気配は何も答えない。
先に口を開いたのはゲンキだった。
「じゅらい…さん?」
「やはり、じゅらいさんでしたか。」
驚愕に目を見開いているゲンキと対照的に落ち着いている矢神。そう、階段を降り
て来たのは店の主じゅらいだった。
「矢神さん知ってたんですか?」
風花が矢神に詰め寄る。
「いえ、多分そうじゃないかと思ってたんです。」
「どういうことですか?じゅらいさんはどうして?」
「あぅ、あれはじゅらい様じゃありません、あれは…夢魔ではないでしょうかぁ?」
燈爽は怨霊と闘った時に使った十字架を手に持って言う。どうやらその十字架が、
燈爽に力を貸しているらしい。
「夢魔?」
ゲンキの疑問に答えたのは燈爽ではなく、矢神だった。
「えぇ、夢に取り付く悪魔です。じゅらいさんの精神波が弱まって、今は邪悪な
気配が強まっています。多分じゅらいさんは夢魔に操られています。多分、昼間
も乗っ取られていたんでしょうけどレベルアップで精神抵抗力が上がったおかげ
で支配から逃れたんですが。しかし夜は夢魔の力が上がりますから…。じゅらい
さんの意志は夢魔に支配されているはずです。」
矢神は昼間からじゅらいが夢魔に取り付かれていることに気づいていたらしい。
「でもどうやって倒すんですか?夢魔はじゅらいさんの精神に取り付いているん
ですよね。」
風花の疑問はもっともだ。
「それは夢の中に入り込んで夢魔を倒すしかないですぅ。」
「なんだかサイポリス見たいなお話ですねぇ。」
とゲンキの突っ込みが入る…その通りだね。
「まずはじゅらいさんの動きを止めないといけませんね。レム睡眠時に夢魔は人
を操りますから。」
こっちを無表情に見下ろしているじゅらいを見据えて言う。次の瞬間、矢神は
コートの内から取り出したザン○ルマの剣を抜く。さらに次の瞬間にはじゅらい
の後ろに転移する。と同時に剣をじゅらいの首筋に当てる、すると電撃が走り
じゅらいは敢え無く完全に気を失う。
「で、じゅらいさんを完全に眠らせた後はどうするんですか?」
とゲンキが矢神に聞く。
「皆さんも寝てください、僕の剣の力で皆さんをじゅらいさんの夢の中に送り込
みます。」
「い、いきなり寝ろって言われても…。私の魔法を使いましょうか?」
と風花が難色を示す。
「大丈夫ですよ(笑)♪」
「えっ?」
どことなく矢神の嬉しそうな声に振り向いた風花が最後に見たものは縦と横が区
別出来ない程分厚い辞書をにこやかに振り上げている矢神の姿だった。

「いたたぁ〜。」
ゲンキは頭の痛みに顔をしかめ辺りを見回す。そこは普段と変わらないじゅらい
亭だった。
「あれ?私達じゅらいさんの夢の中に入ったじゃ?」
「失敗したんですかねぇ。」
「いえ、ここは夢の中ですぅ。この弦楽器様に頂いた十字架が反応してますぅ。
すでに近くに夢魔がいるはずですぅ。」
と燈爽が淡く輝く十字架のネックレスを握りしめして言う。
「何だって?一体どこに?」
「やぁ、燈爽ちゃん、風花さん、ゲンキさんいらっしゃい♪」
辺りを警戒する三人に場違いに陽気な声がかけられる。
「じゅらいさん?やっぱり、失敗したの?」
「あ、貴方は誰ですかぁ!やっぱり夢魔ですね!」
いつもと変わらないじゅらいに気を許しそうになる風花だが燈爽の険しい口調が
それを遮る。
「ふっふっ、どうやら私を倒しにきたみたいですね・・。」
じゅらいと変わらない表情で口調がガラッっと変わる。
「むっ、貴様、じゅらいさんの体にとりついて何をする気だ?」
「さぁ?私の好きな様に生きるだけですよ♪」
とおどけた口調でゲンキの質問に答える。
「じゅらいさんの体から出て行きなさい!」
風花が強い口調で夢魔に言う。
「いやだと言ったら?」
「実力行使に出るまでよ!」
風花のその言葉を発端に夢魔と三人の闘いが始まった。じゅらい亭組は数で勝っ
ているものの夢の中での精神的な闘いになれていないため、闘いなれている夢魔
に思いのほか苦戦する。
「くぅ、こんな時に幻希が居たら…。そうだ!」
思うように闘いが進まないゲンキはあることを思い付いた。
「どうしたのゲンキ君?」
「風花ちゃん、君の魔法でクレインさんの夢とここをつなげないかな?」
「出来るけど…どうして?」
「説明してる暇は無いんだ、急いでつないでくれ!」
「分かったわ。う〜ん、ハッ!」
風花の魔法が発動し、閃光が走る。光がおさまった後には、眠っているクレイン
とクレインの召喚神ヴィシュヌが現れた。
「あれぇ、ヴィシュヌお姉ちゃんが何でいるんですかぁ?」
「あ〜れ〜、皆さんこんにちは〜。燈爽ちゃん、私は誰かがご主人様の眠りを妨
げないように護っているですよ〜。」
とヴィシュヌが燈爽に説明する、しかしその間にゲンキはクレインを叩き起こし
ていた。
「クレインさん、起きてください!」
「あぁ、ゲンキさん、そんなことをしたら〜、大変なことになりますよ〜。」
ヴィシュヌがそう言った時にはすでに遅かった。
「・・・・・・・・・お・れ・の・ね・む・り・を〜・・・・」
「あぁすでに始まってしまいました〜。」
クレインの様子を見ていたヴィシュヌが悲痛な声を上げる。
「夢魔を倒すにはクレインさんの力を借りるしかないんですよ。」
とゲンキがヴィシュヌに説明をする。
「妨害するなぁ〜!!!! 召喚!!トール!」
寝起きが最悪なクレインの暴走が始まった。
「あぅ、矢神様〜、そっちの世界に引き上げてください〜。」
燈爽の声に答えるかの様に十字架が輝く。次の瞬間――


「大丈夫ですか?皆さん」
矢神の声が風花の鼓膜に響く。
「元の世界に戻ったんですね。」
「えぇ、向こうはどうなりました?」
矢神の言葉に風花は中での出来事を説明する。
「なるほど、クレインさんなら夢魔にも勝てるでしょう、ただ夢の中でそこまで
暴れた時の後遺症が心配ですねぇ。」
「後遺症ですか〜。いざとなったら私が直しましょう。」
「そうですね、ヴィシュヌさんよろしくお願います…ってあれ?」
とその時ふとみんなが気づく。
「ゲンキさんは?」
と風花がみんなの意見を代表して口にする。
「どうやら、忘れちゃったみたですね(笑)ちょうどいいですし、ゲンキさんの
闘いの結果を聞きましょう。」
と矢神はさわやかに言い放った。


夢魔はクレインによって倒された、ゲンキはその様子を死ぬ思いで観察を続けた
らしい。そして、じゅらい亭に再び平和が戻った。
「う〜ん、ここ数日の記憶が曖昧なんだよねぇ、拙者。」
矢神の心配した後遺症も大したことが無く、夢魔に取り付かれた間の記憶が曖昧
になる程度だった。こうして事件は解決した…。

しかし、深夜、じゅらい亭の階段を何者かが行き来する音は途絶えることなく今
も続いているとのことだ…



「怨霊との闘いで夢魔に取り付かれたのは…果たしてじゅらいさんだけだったん
でしょうか?」
と、燈爽の持って来たオレンジジュースを飲み、眠くなる頭でふとそんなことを
考えていた…。



END



URL> すみません〜(TT)

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