Landa氏のファンタジー世界
TEMPEST☆LEEFA!! 第1章 「 ねえ、アンサー何で私たちがあんな辺境の国までいかなきゃいけないのかな?」 と私は隣りを歩く黒髪黒目の男アンサー・ルーティスに愚痴をこぼす。 「 仕方ないだろリーファ、相手が“能力者”なんだから…。」 と苦笑するアンサー。 はじめまして、私、リーファ・シルフィス。茶髪緑目で短めの髪の美少女(自称)。 ……そんなことは置いといてこの大陸に関する説明をするよ。 この大陸は、いくつかの国に分かれてて、その全ての国を一つの王家に統治さるてるの。 で、その王家、直属の特別な組織に私とアンサーは属しているわけ。それと、さっき出 てきた“能力者”って単語の説明が必要だよね。“能力者”ってのは“能力”を使う人 間のこと…ってこれじゃ何のことか分からないよね、“能力”ていうのは普通の人間に はない力のこと、でも魔術とは違うんだ、“能力者”はとても少ないし、同じ“能力” を持った人間はいないから、でも魔術の方は才能があれば誰でも同じ術が使えるからね。 それで私たちが所属している組織は、王家に対して闘う意志がある“能力者”と闘うと ころなんだ。そして、そんな“能力者”と闘う私たちもまた“能力者”、だって“能力” によっては、一国の軍とも対等に戦えるのもあるからね。私の“調”の能力、そしてア ンサーの“sou”の能力も一国の軍と戦っても勝てるぐらいの力だけど、どちらかとい うとアンサーの能力は対個人用なんだよね。うん?どんな能力か?って、それは、後々 わかるとおもうから今は内緒! 「 でも、私たちが行くことはないと思うんだけどな…」 言っとくけど私たちは、組織でもトップクラスのコンビなんだよ。 「 まぁ、いいだろう?久しぶりの仕事なんだし、早く帰って支度をするぞ。」 「 そうよねぇ、仕方ないか。」 と私はあっさり納得した。ここのところ仕事がなかったのは本当だから。 さて、この状況を説明するね。今朝私たちに組織の方から連絡があったんだ。そして私 たちは、組織の本部の方にむかったんだよね。そこで辺境の国カルハにいると思われる “能力者”のもとに向えと命令が下ったんだよね。そして今は、その帰り。 そうそう、組織のメンバーは、この王都サクスで一般市民として暮らしているんだ。 まあ、職業の方は、“ある組織のメンバーです。”何て言えないから偽装してあるけど ね。で、私とアンサーが演じているのが“兄妹”ってとこ、両親を亡くした仲の良い兄 妹。まあ、私とアンサーは実際に仲が良いだけどね。だってアンサーは、とある事情で 私と暮らしはじめてからは、私に本当の妹の様に接してくれるからね。 そうだ!ここでアンサーについて、詳しく説明するね。 本名アンサー・ルーティス、男、現在19歳。一流の剣士にして魔術士、“sou”の能力 を持つ能力者、そしてさっきの説明にはなかったけど、黒髪黒目の美青年。 どのくらいか?ってそりゃぁ、ファンクラブがあるって言われてるくらいだからね、 だから、仮に、仮にだよ、もし私がアンサーに対して少しでも妙な行動をとったとした ら、私は、次の日の太陽を見ることが出来ないと思うな。言っとくけど次の日の天気が 雨だからじゃないよ、ましてや曇りだからじゃないからね! 「 リーファどのくらいで出発出来ると思う?」 私は少し考えて答える。 「 一時間ってとこかな。」 「 そうか、じゃぁ今日のうちに出発するぞ、いいか?」 「 うん、わかった。」 そして私とアンサーはその日のうちに王都出てカルハに向った。 「 リーファ、まただ。」 横を歩いているアンサーが私に声をかてくる。 「 え〜また、この3日で17回目だよ。」 と私は、心情をそのまま口にする。えっ?何が17回目か?だって? それはね、と・う・ぞ・くだよ、盗賊!。3日前に王都を出てから、もう17回も盗賊 に襲われてるんだよね、私たち。ほらほら、出てきた!ガサガサと草木の擦れる音がし て、十数人の男たちが出てくる。 「 よぅ、兄ちゃんたち、たった2人での旅は危ないぜ。なんなら、俺達が送ってやろう か?料金は有り金、全部だけどな!」 と男達の1人がアンサーに向って、話し掛ける。アンサーは黙ったまま腰の剣に手をか ける。そりゃそうだろう、だってこの3日間で17回この台詞を聞いたからね。飽き飽 きしてるはずだよ。 「 お、おい兄ちゃん、この人数とやる気か?」 と男達の中の一人。この言葉も十七回聞いた。 「 もちろん!」 とアンサーが剣を抜き放つ。    …一分後… (全ての単位は、そっちの世界(現実)に合わせてあるから。) 「 もう終ったの?」 と私は剣を鞘におさめているアンサーに言った。 「 まあな。で、こいつらどうする?」 とアンサーは、小さくうめいている盗賊たちを指す。彼らは、抜き身の剣で斬ったにも かかわらず血が流れていない。 なぜか?って、それは、アンサーの“ディメンションブレイド”が普通の剣とは違うか らなんだ。どこが違うのか?って、それは、剣の刃がないこと。でも、アンサーの “能力”と組み合わせて使うとその名の通り“ディメンション(次元)”すらも、斬る ことが出来るって言われてるんだよね。 でも、どのように能力を使うかは内緒!って言うか分からないだけだけど。 「 ほっとこうよ、しばらく動けないだろうし。それに私たちが目立つわけにはいかない もの。」 「 そうだな、じゃあ夜になる前に次の町にむかうか。」 「 じゃぁ、行きましょ!」 とアンサーをうながして私は盗賊たちを乗り越え…いや踏み越えて、次の町に向った。 ( リーファ聞こえてる?) 宿屋の食堂でアンサーと一緒に食事をしていた私の頭の中に女の子の声が響く。 「 あっ、聞こえてるよ、ティア。」 私は返事をする。えっとぉ、声の主は、ティア・ベルーヌ。17歳の金髪の女の子で、 私の親友なんだ。そして、ティアも能力者で“伝”という能力を持ってるんだよね。 “伝”って能力は、どんなに離れていても、言葉を伝えることができるんだ。もちろん、 自分だけでなく相手の言葉もね。まあ、こんな攻撃的じゃない能力だから、彼女は本部 で連絡役をしてるんだ。忘れてたけど、今日は、三日に一度の組織との連絡の日だった んだよね。 ( で、リーファ、アンサーさんは一緒?) そうそうティアは、アンサーFCの一員なんだよ。 「 もちろんおれもいるよ、ティア。」 ティアの能力は、連絡者の対称から2m以内の人物にも効果があるから、当然、アンサ ーにも聞こえてる。 ( アンサーさん!ご無事でしたか?) 「 もちろん、俺もリーファも無事だよ。17回も盗賊に会ったけどね。」 ……ねぇ、気がついたアンサーの言葉使い、私と話している時と少し違うでしょ。やっ ぱり2年も一緒に暮らしてると家族として接してくれるようになるのかなぁ。 ( 17回もですか?) 「 うん、まあそのこと以外は、これといって連絡することはないよ。」 「 そっちからは、何か連絡はないの?」 ( あるわ。カルハの方から、貴方たちに向けて刺客はなたれたみたい。人数は10人。 相手は貴方たちが誰かまだ知らないみたいね。) 「 そうよね、もし私たちだって分かってたら、刺客がダース単位で来たって勝てない ことぐらい分かるだろうからね。」 前にも言ったよね、トップクラスのコンビだって。だから、名前は知られていないけど かなり有名なんだ。そっちの世界では、強力な能力者のコンビってね! 「 で、何日後ぐらいで、俺達と出会うことになるんだい?」 ( 予想では、15日後です。) 「 いつ? 刺客が放たれたの?」 ( 3日前、でもシャインが病気で寝込んでいたので発見が1日ほど遅れたの。) ……わかってるって、“シャインて誰?”って言いたいんでしょ?シャイン・ブレイズ。 16歳 男。ティアと同じ金髪の少年。もちろん彼も能力者で“気”という能力をもっ てるんだ。“気”って能力はね、どんなに離れていても、相手の気っていうか、気配を 視ることが出来るんだ。だから、私たちは、敵の動きを簡単に知ることができるんだよ ね。便利だと思わない? 「 それにしても、やけに対応が早いな、どういうことなんだ?」 「 そう言われてみればそうよね、3日前と言えば、私たちが王都を出た日なのよね。」 ( でも、そう気にすることもないんじゃ、ありませんか?偶然一致したのでは?) アンサーは、少し考えて答える。 「 あぁ…そうかもね。」 ( じゃぁ、これで失礼します。) 「 うん、ごくろうさま!」 「 バイバイ!」 といった感じで私たちとティアの会話が終った。そして、アンサーが私に話かけてきた。 「 リーファ、1日だけここに滞在したいけどいいか?」 「 別にいいわよ。」 わけは、聞かない。なぜか?って、それは、わかてるから…。 トン、トン! 次の日の朝、私は、アンサーの部屋のドアをノックした。 「 入るよ!アンサー!!」 「 どうぞぉ。」 と中からアンサーの声が聞こえる。 ガチャッ。 中に入ると私の予想どうりの光景、それはアンサーが両手を前に突き出して机の上に置 いてある物に“能力”をつかってる光景。そう“創”の能力をね。 えっ?“SOU”じゃなかったか?って、そうだね、説明がまだっだよね。私やティナ の能力は、最初から“調”、“伝”などの文字だったよね。だけどアンサーの“SOU” だけは、特別で使いたい時に“創”“想”“双”などいろいろつかえるんだよ。それで 今使ってる“創”って能力は、創造の力で時間と力をとてつもなく消費するから、アン サーもめったに使わないんだ。この能力は、無から有を創りだせる、そして創り出され た物質は、特殊な能力が付与されているんだ。何を隠そう私の腕輪もアンサーからもら った特殊な能力を付与された道具なんだ、いいでしょ! どうよう能力かは、内緒。 ( ほかのファンタジー小説で出てきたら大変だけど) ちなみに能力の名前がわかるのは、“能力”を発動させてる間、体のどこかに文字が浮 かび上がるんだ。浮かび上がる場所は人によって違うけど、私に場合は手の甲、アンサ ーは左腕だよ。 「 そろそろ、出来るの?」 「 あぁ、もうすぐだ…。」 と私の質問に答えるアンサー。そして待つこと10分。 「 出来たぁ?」 「 あと少し…。」 再び待つこと10分。部屋に来て計20分。 「 もう出来たでしょ?」 「 もう少し…。」 こんな会話が何回繰り返されたことか…。待つこと2時間。…考えてみれば、12回繰 り返されたんだ、こんな会話。…それは置いといて、私がアンサーの部屋に来て2時間 がすぎたころ… 「 ふぅ、出来たぁ。」 「 …やっと終ったの?」 私は、少し疲れを感じながらアンサーに問う。 「 あぁ。」 アンサーは机の上にあるカード(?)見たいなものを手にとって私にうなずく。 まあ、カード(?)見たいなものだからカードって呼ぶことにするね。決まり! 「 それ何?」 私はカードを目で示してアンサーに聞く。 「 内緒だ。」 「 ………。」 アンサーはいつもこうなんだぁ。いつも必要なことしか教えてくれないんだよ。え? 必要なことさえ教えてもらえればいいじゃないかって?何言ってるの、少しでも多くの ことを知りたいっていうのは人間の性じゃない!それに私だってアンサーのパートナー だよ、少しでもアンサーの負担を軽くしてあげたいじゃない。 ・・・えっ?ただ単にアンサーの秘密を知りたいだけじゃないかって? ・・・・・・気にしない、気にしない♪ 「 それよりも新しい武器だ。」 アンサーが何か小さな金属片を私に投げてよこす。 「 なに?ネックレス?」 そうなんだ、アンサーが私に投げてよこしたのは、銀のネックレス。 「 これは?」 私はネックレスを手にとってアンサーに目を向ける。ちなみにネックレスは、十字の真 ん中に青色の石が入ってるものだよ。 「 今、言っただろ武器だって。」 とアンサー。顔が笑ってる、わかって言ってるなぁ、これは…。 「 まぁ、後で教えるよ。思ったよりも早くすんだから少し休んだら剣術を教えるからそ の時にでも…。」 私はアンサーに剣術を習っている。私自身は、剣を帯刀していないでも、でも剣がなく ても杖があるから大丈夫!私の持ってる杖は特別仕様なんだ。で・も、アンサーに創っ てもらったものじゃないんだよ。こ・れ・は!私が…おっとこのことはまたあとに話そ うね。今は忙しいから…・。 「 わかったわ。」 私は、あっさりOKをだす。いくらアンサーに頼んでも教えてくれない時は、教えてく れないのは分かってるからね。 「 じゃ、また後で。」 そういって私は、アンサーの部屋を出た。今は、急いでしなければならないことがある んだ。それは、アンサーからもらったネックレスが私に似合うか確かめることだ。    ……少したって…… カキィン! 「 あっ!」 アンサーの剣が私の手から剣をはじきとばす。 「 よし、ここで休憩にしよう。」 今は、昼過ぎアンサーの言ったとうり私は、アンサーに剣を教えてもらっている。それ にしてもアンサーは、強い!私がアンサーに剣を教えてもらい初めてからすでに一年半 が経っている。今まで一度もアンサーに当てるどころかかすった事すらないんだ。 …私が弱すぎるんじゃないかって思ってるでしょ!そりゃぁ、私だって自分のこと一流 だとは、思ってないけど二流ぐらいは、いってるとおもうよ。 「 ねぇ、アンサー?私にもっと扱いやすい武器ってないの?」 私は、草の上に寝ているアンサーに聞く。 「 さっきのネックレスを試してみたらどうだ?教えてやるから。」 「 そうね、でもこれでどう戦うの?」 と言いながら私は首に付けていたネックレスを外しまじまじと見る。 「 似合ってるぞ、それ。」 「 ありがと。」 と言いながら私はアンサーにネックレスを渡す。 「 で、どう使うの?」 「 こうだ!見てろよ。まあ、簡単だけど魔力を込めればいいんだ。」 アンサーがネックレスに魔力を込めると同時にネックレスが変形する。 「 何それ?」 驚きだよね!こんな機能が付いてるなんて… 「 ラインクロス、使い方はこうだ。」 と言い、アンサーは腕を一振りする。するとラインの先のT字型の刃物が振った手の早 さからは想像も出来ないスピードで10m近く離れた木に突き刺さる。そして素早く反 対の木に向けて振る、するとラインが木に巻き付く。それと同時にラインを引っ張ると ラインがあっさりと木を切り倒す。それは、もう見事に…。 「 すっごーい!」 「 他にも弱い魔術なら防ぐことが出来るんだ。」 「 どうやって?」 私は、アンサーに聞く。 「 ちょっと簡単な魔術を使ってくれ。」 アンサーは、ラインを50cmぐらいにすると手の前で回転させ始める。かなりの早さ だ。 「 分かった、いくよ。」 えっ?魔術が使えるのか?って……当たり前じゃない!言ってなかったけど、私、魔術 士だよ。そ・れ・も、一流の。……信じてないでしょ!言っとくけど本当だからね! 「 ライ・ブラスト(光烈破)!」 ?呪文詠唱が必要ないのか?って思ってるでしょ。私は、アンサーからもらった腕輪の 力で中級魔術までは、詠唱が必要ないんだ。いいでしょ?ちなみに今のは、光系の下級 魔術だよ。 バシュ! 私の放った魔術は、アンサーのラインの前にあっけなく霧散した。 「 どうだ?すごいだろ。」 「 本当!でも私に扱えるの?」 と私は、アンサーに歩み寄りながら聞く。 「 もちろん扱えるさ。これは、魔力で制御してるからな。」 と言いながらアンサーは、ラインクロスをネックレスに戻して私に渡す。 「 よし、じゃぁ今度は、ラインクロスの特訓だ。」 「 はーい。」 「 ええっ〜!」 「 しっ、静かに、リーファ。」 とアンサーの言葉に、私は、ここが宿屋の食堂だったことを思い出して口をおさえる。 そう、ここは宿屋の食堂。アンサーからラインクロスの使い方を一通り教わって、これ からの計画をたてようと話していたところなんだ。大声をあげたのは、アンサーが… 「 別行動をとるってどうゆうこと?」 そうなんだ、アンサーがいきなり別行動をとるって言い出したんだ。 「 ちょっと会って来なきゃいけない人がいるんだ。」 「 でも、シャインが能力を使ったら、別行動をとってるのがばれちゃうよ。」 「 大丈夫、これがあるからな。」 と言いながらアンサーは、今朝のカードを取り出す。 「 ……でも… 」 「 頼む。」 旅はアンサーと一緒だから楽しいんだけど……アンサーに頼まれたらさすがに断れな い。今までもいろいろと世話になってきたからね。 「 わかった。で、何日ほど別行動をとるの?」 「 ありがと、リーファ。7日間ほど、7日後にレクトの街で落ち合おう。」 「 OK!わかった。」 アンサーが誰と会ってくるかは気になるけど、私たちは次の日から別行動をとったんだ。 1日目 14回山賊に遭う移動時間は、8時間。1時間の出現率は175%(←リーファ的数学) 合計人数は151人、ラインクロスの試し斬りになる。 2日目 16回山賊に遭う移動時間は昨日と同じく8時間。1時間出現率は200%。 やや増加する。ティアへの連絡は、うまくごまかした。 3日目 数をかぞえる気にもならない。やっぱり1人だと山賊に遭うことが多くなるのだろう か?それとも裏街道を進んでることが間違いなのだろうか? 4日目 ついにキレる。運悪く今日、私を狙った山賊たちは、全て魔術の餌食となる。 可哀想なことをしたものだ。 5日目 王都への連絡の時、アンサーと何かあったのか?と聞かれる。うまく誤魔化したがまだ 疑われてる様子、王都に帰った時FCに狙われるかも… 6日目 明日には、レクトに着く。アンサーは誰に会いに行ったのだろう?              …レクトの街にて… 「 あ、あのぅ、リーファ・シルフィスさんですか?」 私は、アンサーと待ち合わせしている宿屋の食堂でいきなり声をかけられた。 「 うん、そうだけど…貴方は?」 振り向くとそこには長い黒髪の美少女が立っていた。歳は、私と同じかやや下だろう。 黒髪の方は後で束ねている。そして、1番目を引くのは、その娘の目だ。その娘の瞳は、 神秘的な紫色なのだ。私は、これまでにもう1人だけ紫の瞳を持った人を見たことがあ る。……その人は… 「 よかったぁ。私、ディーネ・クラインといいます。アンサーに頼まれて手紙を届けに 来たんです。」 「 手紙?」 私は、ディーネと名乗る少女に聞き返す。 「 はい、これです。」 と安堵した表情で手紙を渡してくれた。私は、すぐに手紙をあける。 リーファへ もう、1日か2日遅れることになると思う。悪いが手紙を届けたディーネと一緒に旅を 続けてくれ    by アンサー って感じの内容の手紙だった。どういうことだろ? 「 あのぉ、リーファさん。」 「 あっ、何、ディーネさん?」 「 あっ、私のことは、ディーネって呼び捨ていいです。」 と微笑み、ディーネが応える。 「 じゃぁ、私も呼び捨てでいいよ。」 そっちの方が私も楽でいい。 「 じゃぁ、リーファ、私の職業って何に見えます?」 と聞かれて私は、改めてディーネを観察する。顔は、こうゆうのを天使の微笑みってい うんだろうな!って感じぐらいに優しく、可愛い。悔しいけど私より可愛いだろうな。 まあ、だから顔はどう見ても巫女か神官だろう。どう考えても闘いをするタイプじゃな いね、まあ私もだけど…。次に服装、これは普通の旅人の服装見たい。そして最後は装 備、これはどう考えても異常だよ!だって、背中には折り畳み式の槍、両腰にセスタス、 右腰にソードブレイカー、左腰にはブロードソード。まだまだ、有りそうだけど簡単に 分かるのは、この程度かな。……これから想像出来る職業は… 「 ソードマスター?」 「 よかったぁ、もしかすると分からないんじゃないかって心配していたんです。」 …ちょっと、本当にソードマスターなの?自分で言ったことだけど信じられない。 ソードマスターってのはね、あらゆる武器を自由自在に使いこなす達人のことなんだけ どどう考えてもディーネに合ってるとは思えないよね。 「 確かにね…。」 「 はっ?何か言いました?」 「 あっ、ええっと、アンサーが会いに行ったのって貴方なのディーネ?」 「 はいそうです。貴方の護衛と剣術などを教えてほしいと…。」 けっ、剣術って本当にディーネ、剣が使えるのかな?あやしいよね、やっぱり。どちら かというとソードマスターよりも白魔術士の方がいいと思うけど…。あっ、そう言えば まだ魔術について説明してなかったね、魔術というものは、大きく3つに分けられるの、 もっとも一般的で攻撃系の黒魔術、そして神官や巫女がよく使う白魔術、最後に召喚魔 術。黒魔術は、精霊の力を駆使するもので、白魔術は、神の力。召喚魔術は、力ある者 を呼び出して闘わせるものなんだ。 「 本当に強いか、疑ってますね。」 「 …い、いや、そんなつもりは…。」 よ、読まれてる。 「 じゃぁ、ちょっと剣術の練習を兼ねて、私と闘ってみますか?」 「 そ、そうね…。」 と私はうなずくしかなかった。 …近くの野原にて… 私とディーネは、レクトの街の近くの野原に来ている。 「 それでは、始めましょうか。」 と10m近く離れたディーネが私に言う。 「 いいわよ。」 ディーネの今の装備は、ブロードソードだけ、そしてそれを抜き放つ。私もディーネに 借りたソードブレイカーを構える。…!ディーネの目つきが変わった?今までは優しそ うな目だったのに、今ははっきり言って鋭い目つきだ。 「 よぉし、いくよ!」 ?言葉づかいが変わった?ディーネは、素早く私に走りより、剣を振り下ろす。 は、速い! ガキ! 私の剣がディーネの剣を受け止める。 「 もらったぁ!」 キィン! 受け止めたと思ったと同時にディーネの剣が私の剣をからめとり、はじきとばす。 「 つ、強い!」 本当に強かったんだなぁ、ディーネって、それにしてもここまであっさりやられるとは、 思わなかったな。 「 これでわかっただろ?ボクの強さがね。それにしてもリーファ、アンサーから剣術を 教えてもらってるんだろ?」 と言いながら剣をおさめる。同時に目つきも元に戻る。 「 ええ。」 「 それなら、修行不足ですよ。アンサーは、才能があると思った人にしか剣術を教えま せんからね。」 「 そうなの?」 「 ええ、そうです。それでは、宿屋に帰りましょう。」 とディーネに促され私たちは、宿屋に帰った。                …宿屋にて… 「 ねぇ、アンサーとディーネって昔からの知り合いなの?」 と問いかける私。ここは、レクトの街にある宿屋の食堂。 「 そうですねぇ、アンサーが2歳のころからですか。」 「 2歳?じゃぁ、幼なじみなの?」 「 ?あぁ、そうでしたね、まだ私とアンサーが」 ( リーファ、聞こえてる?) ディーネのセリフの途中で私の頭の中にティアの声が響く。 「 聞こえてるよティア。でも、王都に連絡する日まで後1日あると思うけど。」 ( それどころじゃないのよ。例の暗殺者たちがもうすぐそこに着いちゃうのよ。) ティアの焦った声が私の頭に響く。 「 えっ?どういうこと?」 確か後7日ぐらい残ってたはずよね。 ( 30人近くの暗殺者が近くまで来てるの、細かい説明は後でするから、街に被害が出 る前に街の外で迎え撃って。) 「 わかった。」 私は、短く言い席をたつ。 「 ディーネ!」 「 はい。」 私たちはすぐに街外れの森に向った。                 …森の中にて… 暗い森の中を私たちは、歩いている。月明かりだけが辺りの影を照らし出している。 少し歩いたころディーネが立ち止まる。 「 気を付けて、もう散らばってるよ。」 剣を抜いたディーネが私に声をかける。 「 うん。」 さて、これから戦いが始まるみたいだね、戦いが終るまで極力、私の心情描写は避ける ね。私は、辺りの気配を探る。 「 そこっ!ダークエッジ(闇烈刃)!」 私は、こちらの魔術の軌跡を悟られないために、闇系の魔術を使う。 「 ぐぁ!」 私の放った闇の刃が暗殺者を斬り飛ばす。 カン!キン! ディーネが私に飛んできたナイフを剣で叩き落としてくれる。 続けて5人の黒づくめの暗殺者が剣を抜き放ち、私に走り寄ってくる。 「 接近戦は、ボクにまかせて、ボクが護るから。だから、リーファは魔術で遠くの敵を 倒して!」 と言ってる間にも2人を切り伏せている。 「 わかったわ。シャイニングブリット(烈光散弾)!」 私の手から放たれた無数の光の矢は、あっけなく2、3人をうち倒す。 「 たぁ!」 ディーネが気合いを込めて剣を一振する。それによって発生した真空の刃が近くにいた 3人の暗殺者を斬り飛ばす。 「 光・烈破!」                 …3分後… 「 これで終りよ、フレアブリット(火炎散弾)!」 私の放った炎の矢を受けて最後の1人が倒れる。 「 片付いたみたいだね。」 「 ふぅ。」 私は、一息つく。 「 !リーファ危ない!」 ディーネの声に振り向いた私の目の前で光が爆発する。 「 きゃぁ!!」 私は、思わず手で顔をおおい衝撃に備えたが衝撃はなく、私はゆっくりと目を開ける。 目の前には、アンサーから渡されていたカードがわずかに放電しながら浮いている。 「 危なかったね、リーファ。そのカードがなかったら死んでたよ。」 「 今のは?」 私はカードを手にとりながらディーネに聞く。ディーネの方も剣を鞘になおしている。 「 多分、光を操る能力を持った人間の仕業でしょう。2、3km近く離れた攻撃してき たみたいです。」 「 光の…。」 そう呟きながらカードを懐になおす。とその時、 ドゴゴゴゴゴゴゴゴ…… 轟音と共に光が飛んできた方向の3kmぐらい先で閃光があがる。                 …爆発を追って… 「 誰よ、こんなところで上級魔術を使ったのは…。」 私たちは、今、魔術で爆発があったと思われる辺りの上空を飛んでいる、下には、さっ きの爆発で出来たと思われる4、500mのクレーターがある。ほんと、こんなことし てるから自然破壊が進むんだよね。 「 リーファここからは、降りて近づきませんか?」 と私の横を飛んでいるディーネが私に言う。実はディーネも魔術が使えたんだ、簡単な のしか使えないとか言ってたけど実は、かなりのレベルじゃないかと思うんだ。まぁ、 ディーネが魔術が使えるって聞いた時、1番気になったことはやっぱり魔術を使ってい る時も言葉づかいや性格がかわるかな?ってとこ。でも、その心配は無用だったみたい。 「 そうね。」 私とディーネはフライト飛行の魔術を操り降下した。そして、歩いてクレーターのすぐ 近くまで来た時だ。 「 リーファ、あれ見てください。」 とディーネがクレーターの中心辺りをさす。そこには、2つの光が見える。いったいな んだろう? 「 行ってみましょ。」 と言い、私とディーネは、再び飛行の魔術を発動させた。                 …ルーイン登場… 「 あ!あれってアンサーじゃない?」 と私は見えてきた人影を見据えながらディーネに聞いた。 「 そうみたいですね。」 とディーネはうなずく。 「 もう1人の方は、見覚えがないけど、誰だろ?」 2人とも手に光を持っている、正確に言えば光を能力によって一時的に物質化したもの だろう。私の知る限りでは、アンサーは“想”の能力によってそういったものを一時的 に物質化させることが出来たばずだ。もう1人の方、アンサーと戦ってる、多分女性だ ろうと思われる人も似た能力を持ってるんだろうと思う。 「 彼女は、ルーイン・ディファー。光の能力を持つ能力者です。さっき、貴方を狙った 光も彼女の能力でしょう。」 といきなりディーネが私の疑問を見透かしたようにつぶやく。 「 ディーネ、あの女の人知ってるの?」 「 えぇ、何度か闘ったことがありますから。」 と言いながら再びアンサーたちの方を向く。アンサーとルーインは何度か切り結び、お 互いに後へ飛び対峙する。すこし間をあけルーインがアンサーに向けて手を突き出す。 「 いけっ!」 とルーインが叫ぶと同時に彼女の手から数十本の光がアンサーに向けて殺到する。 「 レイ・フィールド」 アンサーの前に三角形の光のフィールドが展開して、ルーインの攻撃を防ぐ。 「 ふふ、あいかわらずね。貴方のかわいい妹さんたちがいらしゃったから、今日のとこ ろは引き上げさせてもらうわ。」 …妹って私のことよね?ディーネってそう言えばアンサーの何なんだろ、もしかすると 恋人? うーん、そういえば、よくあるよね、幼なじみがそのまま恋人になっちゃうって…。 だけど・・・ 「 じゃぁね。バイバイ♪」 と、ルーインが飛び去る。もちろん魔術でだ。 「 ま、待て!」 とアンサーも後を追おうとするが、ディーネが 「 アンサー、ここは一まず街へ戻りましょう。」 「・・・そうだな。」 こうして、私たち3人は、レクトの街に戻った。          …再びレクトの街にて… …パクパク ( どうやら、最初に放たれた刺客の方はおとりだったみたいです。) うーん、こってりとしていてそれでいてさっぱりと、この口の中でとろけるような感覚、 やっぱりおいしわね、この街の名物料理“リウョリイマウ”って。 ( そして、あらかじめ他の街に散らばっていた本当に刺客があなた方を襲ったというこ とです。) もぐもぐ… ( ちょっと、リーファ!ちゃんと聞いてるの?) 今、私たちは、私とアンサーとディーネの3人でティアの説明を聞いてるんだよ。 「 聞いてるよ、食べながらだけど…。」 ( あっー!もしかしてリウョリイマウを食べてるんじゃないでしょうね!) 「 ピンポーン!せ・い・か・いでーす♪」 ( 何ですってぇー!私も食べたいと思ってたのにぃー!) 「 いいでしょ♪」 悔しそうなティアに追い討ちをかけるように私は言う。 「 こら、リーファ!そのぐらいにしとけよ、ティアも今度来た時に食べればいいだろ う。」 とアンサー。 ( そうですね、それじゃぁ、また明日に…。) 「 あぁ、どうもありがとう。」 「 じゃーね、またぁ!」 ティアの伝の能力が消える。 「 それにしてもいきなりですまなかったな、ディーネ。」 「 仕方ないですよ、アンサーの頼みですからね。」 とのディーネのこたえにアンサーは苦笑しながら、 「 おいおい、他人行儀な言い方はよせよ。」 「 でも…まだ説明してないですし…」 と言いディーネが私を見る。 「 大丈夫だって、リーファ、これから教えることは秘密だぞ。」 そりゃぁ、そうよね。ディーネがアンサーの恋人だって知られたら、ディーネが命を狙 われちゃうかも知れないもんね。 「 OK!わかったわ。」 私はうなずく。 「 そうですわ、リーファと言えば兄さん、このごろ連絡が少ないと思ってたら王都で リーファと仕事をしてたんですね。」 …?兄さんってアンサーのこと? 「 あのさぁ、アンサーとディーネって兄妹なの?」 私は、ディーネの質問の答えに詰まっているアンサーに聞く。 「 あぁ、そうだ。俺とディーネは兄妹だ。普段は隠してるけどな。」 とアンサーは話を変えようと、すぐに私の質問に答える。 「 でも、何で隠す必要があるの?」 「 別に隠す必要はないさ、ただ隠したいから隠してるだけ…。」 …そうくるか… 「 じゃぁ、何でルーティスとクラインなんて姓が違うのよ?」 「 それは、兄さんや私が好きなように名乗ってるからです。」 今度は、ディーネが答える。 「 好きなように?」 「 はい、姓を変えた方がばれにくいと思いまして…。」 …もうこの話題はやめよう… 「 …で、何で今回の事件にルーイン・ディファーって人が関わってるってわかったの?」 アンサーは、早くからこの事件にルーインが関わっていることに気付いていたはずだ、 そうじゃないとあのカードに光の能力を防ぐ機能を付けておくわけないからね。 「 …い、いきなり話が変わったな…ま、まあいいか、それはだな、可能性だ。」 話の変わり方にたじろいたアンサーだが、ちゃんと私の質問には答えてくれた。 「 可能性?」 私は、アンサーの言葉をそのまま繰り返す。 「 そう、可能性だ。俺達が王都を出た日にカルハの方から刺客が放たれただろう。俺は、 あれは能力によって連絡したんじゃないかと思ったんだ。それに今回の仕事は、能力者 がらみだからな、ルーインが関わっているかも、と思ったわけだ。光で合図を送れるか らな。」 「 それで用心のためにカードに光の能力を防ぐ機能を付けていたと…。」 「 そうだ。ところでディーネ、協力してもらうのは俺がいない間だけって言ってたけど もう少し協力してくれないか?」 とのアンサーの言葉にディーネはうなずく。 「 いいですよ、でもちゃんと今度は依頼料を払ってくださいね、兄さん。」 「 依頼料?」 とこれは私の言葉。依頼料ってなに? 「 リーファ、ディーネから聞いてないのか?」 「 …!そうか、ディーネはソードマスターだったよね。」 そうだった、ディーネはソードマスターだったんだ。ソードマスターっていうのは、 その腕で護衛などの仕事を引き受けるんだよ、それもかなりの高額でね。 「 わかってるって、でも少しはまけろよ。」 「 わかってます。」 と2人の間であっさりと契約は成立した。 「 じゃぁ、ディーネ改めてよろしく!」 「 こちらこそ、よろしくリーファ。」 こうして新たな仲間が加わり、私たちは、レクトの街を後にした。 第1章〜完〜