じゅらい亭日記 超・暴走編

くどいですがこのお話に出て来る料理を・・・ウッ!? (滅)
冒険者> ゲンキ
記録日> 05月16日(土)12時58分34秒
「じゅらい亭日記──超・暴走編3」(4♪)



「デザートは何?」

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『さあ、最後の勝負ですが・・・・・・審査員の方々から注文が出ました』
 可奈が、じゅらいから手渡されたメモを見て言う。「注文?」と楊が疑問符を浮かべた。
『はい、そろそろお腹がいっぱいになってきたので、デザートが食べたいとの事です』
「おや、デザートですか?」
 「卵焼きを作ろうかな?」と考えていたゲンキが、困ったような顔になる。
『はい。デザートです』
「ふっ・・・・・・さっきは、予想してなかった事で低い点数に終わったが・・・・・・これで逆転してやるぞ!」
 ルウがゲンキをビシィッと指差す。
「・・・・・・ルウ君・・・」
「何だ?」
 ゲンキを見ながら、「ふふん」と笑っていたルウに、さっきから気になっていた事を思い切ってnocは
質問した。
「覆面って暑くない?」
「うるさいっ!!」
「nocさん、152点・・・・・・」
「お前もイチイチ採点するな!」
『はーい、L様から「ベタな漫才してると殺すわよ」との意見が出たので、皆さん早く調理にかかって
くださーい!』
 ゲンキやnocの言葉に、いちいち怒鳴りかえすルウ。それらを見ながら可奈が慌てた声で告げる。
「うわわわわわ!」
「は、早く作りましょう」
 こちらも慌てて自分の調理場に戻るゲンキとnoc。他の参加者も急いで準備を始める。
 しかし、ここでゲンキは悩んだ。デザートと言われても何を作ればいいのか? お菓子の類は滅多
に作った事が無いのだ。
「どーしよーかなー・・・・・・?」
 悩むゲンキ。その間にも、他の者達は何かしら作っているようだ。可奈の実況が大通りに響く。
『さあ、もう挽回は不可能なクレイン様。作っているのは・・・・・・ああっ!? ヤケになっちゃいけませ
ん!! クレイン様、粉末コー○でジュースを作っています!!?』
「はははははははは! これは自分で飲むんですよ!!」
 おろおろする可奈の声に、大威張りで答えるクレイン。観客達のいたる所から「飲んでどうする」と
いうツッコミが返ってくる。
『うーん・・・・・・あれ? noc様は・・・・・・凄い! アップルパイを作っておられます!!』
「本があったので作ってみています」
 と、ペラペラと本を掲げるnoc。どこにそんな物を・・・・・・。
『うーん、凄いですわ。あ、燈爽様はモモ缶とみかんの缶詰を取り出しています。それを、そのまま器
に盛っておられますね。オーソドックス (?) というか・・・・・・って、あ、缶詰のシロップは捨てて、
中身を洗っています。どうやら、ジュースと一緒にするようです』
「はい、そうです〜♪」
 可奈の解説に、ニコニコと言葉を返す燈爽。さっきから缶詰ばかりだが、何か思い入れでもあるのか?
『えーと・・・・・・楊様は、ケーキのようですね。しかも、イチゴケーキです。私が食べたくなります』
「余分に作りますからドウゾ〜♪」
『ありがとうございます♪』
 あらかじめ焼いていたらしいスポンジケーキを取り出す楊の言葉に、頭を下げる可奈。観客達の中の
特に男が「俺にもくれー!」と騒ぐ。
『さあ、次はルウ様ですが・・・・・・何を作っておられるのでしょう?』
「ホットケーキ」
 マイクを近づけて質問する可奈に、プイッと別の方向を向いてルウ。今までの中華な料理から、い
きなりホットケーキと聞いて皆、意外そうな顔をする。
「僕が何を作ろうと勝手だ」
 ホットケーキなのに中華鍋を取り出すルウ。何やら機嫌が悪い。
『あ、すいません。えーと・・・・・・ところで、ゲンキ様は?』
 ゲンキの調理場の方に振り返る可奈。だが、そこに彼の姿はなく、キョロキョロ見回すと、材料置き
場に突っ立っていた。
『ゲンキ様ー? 一応、時間制限もあるのですよ? 作らなくていいのですか?』
 と、その問いにゲンキは何かを材料の山から取り出しつつニッと笑う。
「いえ、何を作るか決まりました♪」
『そうですか、頑張ってくださいゲンキ様!』
「了解です♪」
 額のバンダナを外してぶんぶん振る可奈に、笑みを返して調理場に戻るゲンキ。その手には、サツ
マイモと水飴。そして、黒ゴマ。
「では、サックサック♪ トッントッンと♪」
 サツマイモの皮を包丁で大雑把に向き、適当に一口サイズに切る。フライパンに油を満たして、火
にかける。
『あら、ゲンキ様。もしかして?』
「ええ、揚げるんです♪」
 と、衣もつけずにサツマイモを放り込むゲンキ。その間に、鍋で水飴に色々と味付けする。

ジュアー

「おっと揚がりました♪」
 油にプカプカ浮かんだサツマイモを何やら菜箸でつまんで確認するゲンキ。すぐに、クッキングペ
ーパーを敷いた皿に取る。
「イモは少し油を切って。ゴマを炒めましょうか」
 と、別のフライパンを取り出してゴマを炒めるゲンキ。何を作るのだろう?
「さて、炒めたゴマを鍋で温めた水飴に放り込んで・・・・・・混ぜますねぇ♪」
『はい?』
「で、揚げたサツマイモにこれをかけてよく絡めれば、大学イモの出来上がりです♪」
『ああ、なるほどー♪』
 大学イモを掲げるゲンキに、納得して笑顔を向ける可奈。そして、同時に──。
「出来たっ!」
「出来ましたぁ♪」
「一応、出来ました」
「出来たアル♪」
「出来たぞ!」
 クレイン、燈爽、noc、楊、ルウがそれぞれの「デザート」を掲げる。別に掲げなくてもいいと思うが?
『なんだか、皆様同時に出来たようです! では、とりあえずゲンキ様の大学イモから審査していただ
きましょう!』
「にゃーっ♪」
 司会・可奈の言葉に真っ先に一口サイズの大学イモを頬張ったのは、フェリだった。半分猫でも、
流石は女性。甘い物は好きなようだ。
「にゃ、ちょっと熱いけど甘くて美味しいにゃ♪」
 モグモグしながらフェリ。飲み込んでから喋って。
「ホクホクしてるでござるな」
「ゴマがいい感じですね♪」
「栄養栄養・・・・・・」
 顔を見合わせ、じゅらい、焔帝、JINNが頷く。続けてL様が、
「あたしが教えたんだから美味しくて当然ね」
 と言う。『絶対違う』と、全員が心の中で叫んだ。
『はい、私も食べましたが美味しかったですわ♪ さあ、では燈爽さんの番です♪』
「はーい!」
 ニコニコと審査員達の前に、黒っぽいジュースに桃とみかんの入ったガラスの食器を並べる。
「・・・・・・これって・・・」
 パチパチと炭酸の弾ける黒いジュースに、不安そうにJINNが訊ねる。
「コーラですよぉ♪」
 即答する燈爽。コーラに桃とみかん・・・・・・。
「と、とりあえず食べてみようよ」
「そうですね・・・・・・」
 じゅらいの言葉に焔帝が頷き、おそるおそる食べてみる審査員達。
「・・・・・・くはぁ・・・」
「炭酸がキツくて、桃がフルーティーで、みかんが・・・・・・」
「つ・・・・・・辛いわね・・・・・・」
 食べた瞬間、沈鬱な表情になる審査員達。燈爽が「美味しくありませんでしたかぁ?」と不安そうな
顔になる。
「い、いや・・・・・・美味しかったよ燈爽ちゃん・・・・・・」
「そうですか〜♪」
 気力を振り絞ってのじゅらいの言葉に、嬉しそうに自分の調理場に戻る燈爽。もしかして、観客にも
配る気だろうか?
『と、ともかく・・・・・・次の審査をしていただきましょう。ルウさんのホットケーキです!』
 頬に一筋の汗をたらして言う可奈。それに、ルウがホットケーキの乗った皿を運んで来てじゅらい達
の前に置く。
「僕のホットケーキだ」
 と、トントンと皿を置いてからルウ。「はて?」と聞いていたゲンキが疑問符を浮かべる。どうやら、
このホットケーキは゛アオシン家秘伝゛とかではないらしい。
「ふーむ・・・・・・上にちょっとバターが塗ってあるだけだね?」
「蜂蜜は、少量のお湯で薄めて生地を作る時に混ぜておいた」
「ほほう」
 怪訝そうな焔帝に、ちゃんと答えるルウ。じゅらいがフォークでホットケーキをつっつく。

ぱくっ

「あら、美味しい♪」
「フワッとしててサクッとしててニャーッてくらい美味しいにゃ♪」
 上機嫌でルウのホットケーキを誉めるフェリとL様。じゅらい達も、JINN以外は割と好評だ。
「私、甘い物より辛い物の方が・・・・・・」
 などとJINNが呟くが、他の審査員は美味しいといっている。ルウは覆面の下で笑みを浮かべた。
『ルウ様のホットケーキも好評です! では、noc様のアップルパイです!』
「ちょっとパイが硬いね、のっくん♪」
「でも、リンゴは美味しいにゃぁ♪」
 じゅらいとフェリがパクパク食べまくる。L様も甘い物は好きらしく、ニコニコしている。
「なかなか美味しいですな。でも、御老人にはちと酷です (笑)」
「・・・・・・」
 食べながら妙なギャグを言って笑う焔帝と、黙々と食べ続けるJINN。それら審査員の感想を聞きな
がらnocは逐一メモを取っていた。
「やはり初めて作ったので、少し失敗したか・・・・・・ふむふむ」
 マメな男だ。
『では、最後に楊様のデザートです♪』
「え、最後?」
 おすそわけがもらえるので嬉々とした可奈の声に、誰かが聞き返すが、誰も気付かずに審査が開始
される。
「ほほう、ショートケーキですか♪ イチゴが可愛いですなぁ♪ (笑)」
 じゅらいが笑顔で切り分けられたケーキを手に取る。楊が「可愛い」と言われて「ははは」と照れる。
「ふむふむ。ごく普通のケーキですが、なかなか美味ですねぇ♪」
「ありがとう♪」
 3口で食べた焔帝の言葉に、お礼を言う楊。
「ああ・・・・・・これよ・・・こういうのが食べたかったのよ・・・・・・部下Gお菓子は作らないから・・・」
 ハラハラと感涙するL様。フェリが「L様可哀相だにゃぁ!」と叫んで、2人一緒にゲンキを睨む。
「怖ひ・・・・・・」
 ゲンキが後退るのも無理はなかろう。
「イチゴ・・・・・・食べるの久しぶりだなぁ・・・・・・」
 しみじみと呟くJINN。楊が「まだまだあるよ」と笑みを向ける。
『はい、というわけで審査も無事に全て終了したようです! では、これより結果発表に・・・』
「ちょっと待ったーっ!!」
 ステージの上に魔法で前2回の得点が表示され、それに今の勝負の得点が表示されようとした時、
誰かが叫んだ。
『はい?』
「俺のは、どうしたんですかっ!?」
 可奈と、その場の一同が見やると、声の主はクレインだった。そういえば忘れてた。
『あ、すみません。クレイン様の審査を忘れておりました!』
「忘れないでくださいっ!!」
『す、すみません! ところで、クレイン様のデザートは・・・・・・?』
 珍しく怒ったようなクレインに、可奈が訊ねる。すると、彼は得意気に・・・・・・何故かスターファイア
を取り出す。
「俺が゛料理の神゛に命じて作らせたデザート・・・・・・存分に食してください!」
「それって反則では?」
 クレインの自信満々のセリフに、鋭いツッコミをいれるnoc。
 だが、クレインはギクッとしながらも、あらかじめ考えていた答えを返す。
「召喚は俺の技能! 俺が俺の技を使って゛料理の神゛を召喚して料理させたとて、それは俺が料理
したも同然! だから反則じゃありません!! (反則です)」
「なるほど」
 かなり苦しいクレインの言い訳。だが、ゲンキがあっさりと納得してしまい、審査員達もつられて
納得してしまう。
「そうですか、それでは食べてみましょう」
「楽しみでござるなー♪」
 ワクワクしながら゛料理の神゛が作ったプリンを口にする審査員達。そして────。




「誰かPlease Help Me!」

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「何だそりゃ」
 誰かが一言呟いた。空に映し出された得点表。そこには、それぞれのデザートの得点が記されて
いた。
 ゲンキ・82点。合計270点。
 燈爽・50点。合計214点。
 ルウ・91点。合計231点。
 noc・75点。合計269点。
 楊・96点。合計259点。
 
 そして──。

 クレイン・5万点。合計5万とんで8点。

 もう一度・・・・・・誰かが呟いた。ステージの上で゛料理の神゛のプリンに感動している審査員達と、
あまりの事にクレイン以外、凍り付いている参加者達を見ながら。

「何だそりゃ」

 空しい風が吹き抜けた。



「ははは、結局どちらも負けちゃいましたねルウさん」
 数時間後のじゅらい亭・店内──お茶の入ったカップ片手に、うなだれているルウにいち早くショック
から立ち直ったゲンキが声をかける。
 ちなみに、ルウはいまだに覆面をしている。
「それに、まだまだ若いんだし。この程度で挫けちゃ駄目さルウさん!」
 と、どこか遠くを見つめながらフルフルと拳を震わせるゲンキ。すると、やっとルウが口を開く。
「僕の歳知ってるのかい・・・・・・?」
「へ?」
 その言葉に、ゲンキはもしかしてルウは自分より年上なのだろうかと思った。だが、どう考えてもこの
声と体格からすれば、14、5歳にしか・・・・・・?
「21だよ」
「ブッ!」
 ルウが飲まないようなので、受け取ったカップのお茶を飲んだ瞬間吹き出すゲンキ。
「ゲ、ゲほっ! ぼ、僕とほとんど変わらないじゃないですか!?」
 21にしては、高い声だなーと思いながらゲンキ。今、店の中には彼等しかいないのだが、他の者も
いたなら、ゲンキと同じ事を考えたはずだ。
「・・・・・・決めた」
 唐突に、天を仰ぐように目線を上げながらルウ。例の中華鍋を取り出しつつ言う。
「爺さんの遺言通り、あんたと結婚する」

ブバッ!!

「きっ!? 汚ぇなっ!!」
 さっきより豪快にお茶を吹き出したゲンキをルウが殴る。覆面がビチャビチャになってしまった。
「まったく・・・・・・」

バサッ

「結婚って、僕は男・・・・・・いぃっ!?」
 雑巾でお茶を拭き取ってゲンキが顔を上げると同時に、ルウが覆面を取る。下から出て来たのは、
黒髪黒目の気の強そうな゛女の子゛の顔。長い髪を後ろで縛った娘さんだった。
「おい? お前、もしかして僕を男だと思ってたのか?」
 ルウが眉をひそめる。コクコク頷くゲンキ。
「そうか、まあいい慣れてるからな。それより、僕と嫁にしろ。駄目なら、弟子にしてくれ! 頼む!」
 いきなり土下座するルウ。突然色々起こって混乱していたゲンキの目を、ますます白黒させる。
「ちょ、ちょっと待ってください!? 遺言って?!」
「あ、ああ。これだ」
 慌てて問うゲンキに、懐から手紙のような物を取り出して渡すルウ。どうやら遺言状らしい。
 それには、こう書かれていた。

゛ニーハオ、ゲンキ! ワシはいたってゲンキじゃ、なんちゃてー! ・・・・・・と、冗談はこのくらいにして
おこう。第一、遺言状に『ワシはいたってゲンキ』もあるまい。そう考えると、お主ほど遺言状に相応し
くない名前もないな。
 おっと、話がずれてしまった。いや、実は頼みがあるんじゃがな? ワシに料理勝負で勝ったお主に
しか頼めんのだ、聞いてくれるな? あ、今頷いたな? よし、契約成立じゃ。裏切ったら祟ってやるか
らそのつもりでな。
 というわけで、お主への頼みじゃが唐突にワシの孫を嫁にもらってくれ。名前はルウ。気ばっかり強く
てどうしようもない。嫁の貰い手もないじゃろうが、それでは祖父として情けない。よって、お主に託す。
 じゃ、そーゆーコトで。シーユーじゃ〜!

 〜シロモリ〜 ゛

「何だこれはぁぁぁぁぁぁああああああああああああああっ!!!」
「おいおい破くなよ!」
 読み終え、怒りを露にするゲンキの手から遺言状をひったくるルウ。
「この他に、僕宛ての遺言状もあったんだがな、内容も調子も似たようなもんだ。爺さん、こんなんだ
から167歳まで生きられたんだな」
「そんな事で感心しなくていいです!!」
 しみじみ頷くルウに、乾いた声で叫び返すゲンキ。
「で? 何で僕の弟子になりたいんです?」
 疲れたように椅子に座り、ゲンキが問う。と──。
「合計点数。結局、あんたが上だった。僕は、あんたと結婚するのが嫌で爺さんの遺言に背いて勝負を
挑んだんだが・・・・・・負けた。だから、あんたの嫁になるか、弟子になってあんたより腕を上げてやる!
・・・・・・どうした?」
 力説してから、なんだかうずくまって泣いてるゲンキに疑問符浮かべて問うルウ。
「しくしくしく・・・・・・何で僕の周りにゃ変な女の人が多いの・・・・・・?」
「誰が変な女だ、失礼な」
 泣きながら自問自答 (?) するゲンキに呆れながらも、ルウはズイッと顔を近づける。
「さあ、僕を嫁にするか、弟子にするか選ぶんだ」
「選べって言われても・・・・・・」
 ルウの迫力に気圧されて、おろおろするゲンキ。その時──。
「駄目ですっ!!」

バーン!!

「可奈さん?!」
 扉を蹴破り、入ってきた可奈を見て、更に涙するゲンキ。決定的に話がややこしくなったのを確信
する。
「ゲンキ様の婚約者は私ですわ!」
「そんな、いつのまに・・・・・・」
「うるさいな、あんた! 僕は別に嫁になりたいわけじゃない! 弟子でもいーんだ!!」
「僕もどちらかといえば弟子の方が・・・・・・って、どっちも嫌ですが」
 火花を散らして睨み合う可奈とルウ。2人同時にゲンキをキッと睨み付ける。
「ゲンキ様!」
「師匠!」
「は、はい!?」
 ついつい呼ばれて答えてゲンキは後悔した。両腕を左右に引っ張られる羽目になったのである。

グググッ・・・・・・

「ゲンキ様・・・こんな人を・・・・・・・・お弟子にする事は・・・ありませんわー・・・・・・!」

ギュギギギギギギ・・・・・・

「師匠・・・・・・こんな女・・・・・・どーでもいーよなー・・・・・・!」

ビキビキビキビキ

「・・・・・・・・・・・・」
 ゲンキは聴いた。破滅の音を・・・・・・何となく不死身の体が恨めしい。
「ゲンキ様ー・・・・・・!」
「師匠ー・・・・・・・・・!」
「ぷりーづ へるぷ みー・・・・・・・・・・」
 他人が見ればうらやましいかもしれない状況。しかし、当のゲンキは涙していた。



「日記に書いとこう。えーっと・・・・・・『父さん、部下Gお兄ちゃんに春が来ました。片方は良家のお嬢
様で片方は名料理人です。どちらでも、あたしは嬉しいです』と・・・・・・」
 料理勝負の残り物・・・・・・楊のショートケーキを食べながら・・・・・・虹は呑気に日記をつけた。



終り

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