じ ゅ ら い 亭 日 記 ・ 暴 走 編 2

じゅらい亭日記・暴走編2!(前編)
投稿者> ゲンキ
投稿日> 12月18日(木)03時18分30秒

        「じゅらい亭日記・暴走編U」



   

     「平和なようで平和な奴等(意味無し)」





      



   ガヤガヤ・・・ザワザワ・・・

    賑やかな街の通りを2人の少年が歩いている。2人共、黒髪黒目。片方は額に青

   いバンダナを巻き、もう1人の方は白と黒のコートを来ている。どちらも16才くらい

   に見える。

   「オラ達・・・何でこんな所歩いてるダか?」

   「何でって・・・・・・。女の子と待ち合わせしてるから着いて来いって言ったのはお前

   だろうが?」

    白黒コートの少年が奇妙な口調で投げかけた質問に、バンダナの少年が答える。

   「いや、ゲンキ!たしか、お前がL様に頼まれたおつかいに着いて来いって言ったん

   ダスよ!」

   「違うだろ!ボルツ!お前が着いてこいって言ったんだろ!」

   「いーや!お前ダス!!」

   「お前や!」

   「お前ダス!」

   「お前や言うとるやろが!!」

   「何でいきなり、関西弁になるダスかっ!!」「      

    いきなり往来のド真ん中でケンカを始めた2人を周囲の通行人が楽しそうに見物し

   ている。無理も無い。どうみても新人漫才コンビにしか見えないのだ。

   「せやからな!!・・・・・・・・・って、あ!オイ!神殿に行く時間だぞ!」

   「あっ!そうか!神殿で女の子と待ち合わせするついでにおつかいするんだったダス

   !」

   「なにげに説明的にならんでいーから!急ぐぞ!その用事が終わらないと、おつかい

   が遅れる!」

    ゲンキが唐突に我に返ったことで2人は用事を思い出す。あわてて駆け出す2人。

   「女の子との待ち合わせより、おつかいが大事ダスかっ!」

   「僕は女性は1人しか興味無いんだっ!」

   「へっ!おもしろくねーダスなっ!」

   「余計なお世話だっ!!それより、待ち合わせの時間まで5分だぞっ!」

   「少しくらい遅れてもいいダスよっ!細かいダスなっ!」

   「女性は宝っ(例外有り)!男は粗大ゴミ(これも例外有り)!中間は・・・ノーコメント

   !!(例外無し)」

   「はいはい・・・・・・分かったダスよ・・・・・・」

    その後、2人は5分キッカリで神殿に着いた。だが、ボルツはフラれ。ゲンキは・・・

   厄介後と出会っていた。





   「こんにちはー!」

   「やあ、シード殿。いらっしゃい」

    「じゅらい亭」のドアが開き、シードが入ってくる。腰に刀を差した青年で、この店の

   常連の1人だ。

   「あれ?今日は人が少ないですね?」

   「ああ、今日は日曜だしね。昼から来る人は少ないね」

   「なるほど。あ、ジュース何でもいいんでお願いします」

   「了解。おーい、風舞!シード殿にジュースね!」

    店主じゅらいの声に、店の奥から看板娘の1人、風舞が「はーい♪」と答える。

   「はい、シードさんおまたせしました♪」

   「あ、ども風舞さん。相変わらず綺麗ですね♪」

    風舞の運んで来たオレンジジュースを飲みつつ言うシード。

   「ありがとう、シードさん♪ゆっくりしていって下さいね♪」

    そう言うと、風舞は再び店の奥に引っ込んで行った。店の一角では、店の常連レジェ

   ンドの使い魔・燈爽が歌っている。それをボンヤリ聴いていたシードの耳に「ドーン」と

   擬音で表わすなら、そんな感じの音が聞こえてきた。

   「なんですか・・・今の音は・・・?」

    シードの近くで1人飲んでいた金髪碧眼と黒い肌のこのはが呟く。どうやら、シード以

   外の者にも聞こえていたようだ。

   「爆音・・・・・・ですよね?」

   「そう・・・みたいだね?」

    顔を見合わせたシードとこのはの耳に「神殿がぁぁぁああ!!?」だの「山がはっツ

   !!?」等と言った悲鳴のような物が聞こえてきた。

   「おや?神殿で何かあったみたいだね。神殿と言えば・・・朝、ゲンキ君とボルツ君が

   行くとか言ってたね?」

    じゅらいが呑気に呟く。こういった事はこの店の主ともなれば馴れているのだろう。

   「このはさん・・・僕は、今・・・凄く嫌な予感がするのですが?」

   「奇遇ですね。私もです・・・・・・」

    シードとこのはの頬を一筋の汗が流れ落ちる。そして、次の瞬間声をハモらせる。

   『暴走してる!?』

    大正解♪(笑)







   

   「わぁぁぁああああああああっ!!?」

    ドゴゴゴゴ!!グゥアッ!キュガガガガァッ!!

    神殿のある丘の中腹辺りの草むらをゲンキはボルツを背負って全力疾走していた。

    背後に風の塊が数弾炸裂したかと思えば、今度は地面が不可視の何かに抉られ

   る。それをあるいは躱し、あるいは弾き、そしてあるいは直撃しながらも(笑)ゲンキは

   いつもの不死身さを発揮しつつ逃げ続ける。

   「待ちなさい!悪の使者よっ!」

    ゲンキの背後から杖を構えながら走ってくる黒髪の少女がいる。先程からの呪文攻

   撃は彼女の放ったものだ。

   「悪の使者って!?あなたも自然破壊とかしてますがっ!!?」

   ドガァァァアンッ!!

   「何を言うんですか!悪を滅ぼすためには多少のギセイは付き物です!それに、後で

   修復します!何はともあれ、あなたのような悪を滅ぼすことの方が先決のはず!」

   キュゴォォォオオンッ!!

   「いや!だから、悪って何ですか!?ああっ、この馬鹿ボルツっ!こんな時だけすぐや

   られるなんてっ!重い!!・・・・・・あ、そうだ・・・ていっ♪(ポイ捨て)」

   ドキュガァァァアアアアアンッ!!!!

   『うっわぁぁぁぁああああああダスぅぅぅぅううううっ!!!!』

    今までで最大の風・・・竜巻の渦中にポイ捨てされるボルツ。彼は荒れ狂う風の渦に

   よって何処かへと消えた。(笑)

   「ああっ!人質がっ!?何て酷いことをっ!!」

   「人質って、何ですか!!」

   「黙りなさい、悪魔!盾にしていた人間を用済みとばかりに竜巻の中に投げ捨てると

   は・・・、あなたに良心は無いのっ!?」

   「『アレ』は昔からの友達ですよっ!第1、何故に僕が悪魔ですかっ!!」

    こんなことを喋っている間も攻撃は続いている。「そーいえば、さっきボルツがいた時

   も今と変わらない攻撃をしてきていたような?」などとゲンキは思う。

   「何を言うんです!あなたみたいに凶悪な魔力を持つ者が人間なわけが無いでしょう

   っ!!」

   「いや・・・そりゃ、僕は魔王ですけど!魔力は実はあんまり・・・」

   「魔王っ!?」

    何気なく呟いた言葉に少女の動きが止まった。

   「あの・・・?魔王がどーかしました?」

    ゲンキも立ち止まり尋ねる。

   「魔王・・・・・・まさかそんなら高位の悪魔だったなんて・・・・・・」

   「いや、僕はどちらかというと下っ端な気が・・・・・・」

   「そんな事はどーでもいーんですっ!(どーでもいーのか?)それより、魔王と分かった

   以上!!必ず私が倒してみせます!」

   「えー・・・止めませんか?戦闘は好きですけど、相手が女性では・・・・・・」

   「嘘を言って油断させようなどと・・・無駄ですよっ!」

    どうやら「馬耳東風」のようだ。ゲンキは仕方なく構える。とりあえず、本気でかかる

   わけにもいかないが、下手をすると大怪我しかねない。と、言っても不死身だが。

   「えーとですねぇ?お名前は?あ、先に言っときますが魂取るとかじゃないですからね

   っ!」

    慌てて付け加えるゲンキ。少女は一瞬、躊躇したようだが・・・やがて意を決し名前を

   言う。

   「私は風花!正義の夢と風の使い手、夢崎風花です!!」

    数十秒後には、無数の疾風が舞っていた。          



じゅらい亭日記・暴走編2!(中編(爆))
投稿日> 12月19日(金)16時42分20秒

    「じゅらい亭日記暴走編・2!(中編)」





   「ウィンディーアロー!!」

    風花の放った風の矢が幾条もゲンキに襲いかかる。

   「ひぃあぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!?」

    半分方、直撃したもののいつもL様や幻希にどつかれてるせいかゲンキはやた

   らと頑丈だった。ほとんどダメージが無い。

   「えーと・・・とりあえず魔王呪法!「逃げの一手」!!」

    ゲンキの声に応え、白い雲のような物がその足元に集まっていく。

   「逃ぎゃっ!!(笑)」

    いきなり逃げ出すゲンキ。だが、風花は慌てずに風の矢を再度放つ。

   ポン!

   「あぁぁぁぁああああああああぁぁぁっ!?」

    あっさりと雲が弾け飛び、ゲンキが墜落した。

   「うう・・・左手折れちゃった・・・・・・とにかく、今度はソルクラッシャー!(威嚇)」

   「やっと、戦う気が起きましたね魔王!」

    ゲンキの放ったソルクラッシャー(威嚇)が目の前で炸裂しても風花は怯まずに

   不可視の刃で応戦する。

   「だぁぁぁあああああっ!強ひっ!!やっぱり、逃げたい!(半泣き)」

   「逃がしませんよっ!!」

    本気で逃げる方法を考えていたゲンキの周囲を風が渦巻く。

   「え?」

   「トルネード!」

   ヒュゴォォォオオオオオオッ!!

    突如、風は竜巻へと変化しゲンキをズタズタに斬り裂こうとする。

   「うわっ!イタタタタタタタ!??うひぃぁぁあああああっ!!」

    ゲンキは竜巻に閉じ込められてしまった。

   スチャ

    風花が杖を構え、最大威力の呪文を唱え始めた。







    その頃のじゅらい亭────

   「とりあえずnoc殿と、シード殿。それと、このは殿で暴走を止めてきてください」

    じゅらい亭の作戦参謀・広瀬が3人に説明を始める。

   「何でも、ゲンキさんを凶悪な魔物と勘違いした方がゲンキさん&ボルツ将軍と

   戦っているようです。現在は、ボルツ将軍が行方不明になり、ゲンキさんが交戦

   中だそうです。何か質問は?」

    淡々と説明する広瀬。それに、nocが手を上げる。

   「はい、nocさん?」

   「あの・・・何故、僕が呼ばれたんでしょうか?」

    じゅらい亭にいなかったnocは突然広瀬に呼ばれ、急いでここまでやって来た

   のだ。

   「早いからです」

   「は?」

    意味不明な答えに、nocは思わず聞き返す。

    広瀬は、そのnocに店の天井を指差すと。

   「この店に『テレ砲台』という物があるのは、ご存知ですね?」

   「はぁ、まあ?」

   「では、答えは簡単です。シードさんとこのはさんは、今から走って行って下さい。

   先にnocさんとフェリさんが到着しているはずですから協力して暴走を止めるよう

   に」

    そう言って、nocの背中を押してじゅらい亭の『テレ砲台』へと向かう広瀬。

   「え?あの、広瀬さん。何故、我々よりも先にnocさんとフェリさんが?」

    このはの質問に、広瀬は「飛ぶことは素晴らしいことです」とワケの分からない

   答えを返した。

   「はあ?」

   「このはさん、そんなことより急ぎましょう。早く止めないと借金がまた増えますか

   らね」

   「それもそうですね・・・」

    シードの言葉に、このはは疑問を胸に抱きながらも店の外に出て行った。

   だが、数分後にその疑問は氷解した。





   ヒュゴウッ!!

   「わぁぁぁぁあああああああああああっ!!!!???」

   『に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ああああああああああっ!!!???』

    風を切る音と共に、nocとその銀のボディーの中に(猫化して)収まったフェリシ

     ア使いが悲鳴を上げる。

   『何てことするんに゛ゃ゛ぁぁぁぁぁぁああああっ!!?』

   「『テレ砲台』で打ち出すなんてぇぇぇえええええっ!!?」

   ゴゥッ!

    再び風を切る音。そして・・・。

   『わぁぁぁぁぁあああああああああっ!!(ハモる)』

    目の前には、巨大な竜巻が迫っていた。







   「広瀬さん・・・・・・敵に回したくないですね・・・・・・」

   「同感です・・・」

    走りながらnoc達が飛んでいくのを見ていたシードとこのはは、妙に遠い目で

   頷いたのだった。







   「うーん・・・どうしよう?」

    竜巻の中、体が徐々に斬り刻まれ、風花の呪文が完成しそうになっているとい

   うのにゲンキは熟考していた。

   「・・・やっぱり、アレしかないか・・・・・・れいろうがいたら見せてやれたのに」

    ゲンキは閉じていた目を開ける。風花の呪文は完成直前だ。そして、ゲンキも

   早口・・・というレベルではない。超高速で呪文を唱える。ほとんどただの音として

   しか聞き取れない程だ。

    だが、先に呪文が完成したのは風花だった。

   「ウインディーアロー!!」

    どうやら攻撃呪文はあまり覚えていないようだ。先程と同じ魔法である。しかし、

   今回は増幅がかけられ、さらに幾条もの矢を放つのではなく、全ての矢が一つに

   なっている。「矢」というよりは、巨大な「杭」だ。

   「魔王!これで終わりよ!」

    風花の声と共に風の杭が放たれる。

   「なら、僕も行きますよ!ソルクラッシャー!!」

    こちらも同じ技。だが、どういうわけかその青白い光球は突き出した手のひらの

   前から動かない。

   ゴウッ!!

    風の杭が来た。竜巻を破りゲンキのすぐ前に───

   「斬り裂け!!」

    ゲンキが叫ぶ!光球が潰れ、帯のようになる。それを風の杭にゲンキが叩きつ

   ける。

   ジャァァァアアアアアッ!!

   「そんなっ!?」

    風花の目の前で風の杭が斬り裂かれ霧散する。竜巻も消える。そして───

   『にょわ゛ぁぁぁああああああっ!!?』

    墜落したnoc達とゲンキが衝突した。気絶する3人。

   「・・・・・・・・・・・・」

   ヒュー・・・・・・・・・

    風が虚しく通り過ぎた。





                              また続きます♪(笑)





   

    

     

「風花さん怒らないで!?」の暴走編2!(後編)
投稿日> 12月22日(月)00時24分26秒

注*悪夢の如く長くなってしまいました。(^^;)





    「じゅらい亭日記2!(後編)」







  

   パタン・・・

    広瀬参謀は読んでいた本を閉じる。ふと、目を閉じ、何かを思い出すような仕種をする。

   「そういえば・・・・・・」

    彼女は、窓から神殿の方を見やると呟いた。

   「nocさんには、飛行機能があったのだったわ・・・」

    彼女は、その一言を呟くと再び本を開いた。





   

   ゴォォォオオオオオオオオ!!!ドゴゴゴゴゴ!!バンッ!バンバン!チュイーン!!

   「これは・・・、何なの・・・・・・」

    風花は呆然と呟く。自分の魔法が破られ、次の瞬間、空からロボットと猫が降ってきた。

    それらは、魔王に直撃した。魔王もロボットも猫も気絶(機能停止?)した。

    そして・・・・・・。

   「うけけけけけけけけけけけけけけけけ!!!!♪♪♪」

   「おをおをををををっ!!?私には、飛行機能があったんだった!忘れてたっ!!」

   「紅の流れ星と呼んでっ!!」

    目の前には、復活した途端暴走している彼(彼女)等がいる。

   「何で・・・?何でこうなるの・・・?」

   「あ、このはさん。いましたいました!」

   「いましたねぇ・・・。暴走してますし・・・」

    風花が再度呟いた時、シードとこのはがやって来た。

   「あ・・・あの?あなたがたは?」

    そのシードとこのはに尋ねる風花。こういう状況に馴れていないのだろうか?困惑してい

   るようだ。

   「あ、あなたがゲンキさん達と戦っていたという人ですね?」

   「私達は、じゅらい亭の常連です。彼等の暴走を止めるために来ました」

    シード、このはの順で話す。このはの説明に風花は少し驚いたようだ。

   「あ・・・あの『じゅらい亭』の方々ですか・・・?(引く)」

   「そうですけど・・・、何故引くんですか?(^^;)」

   「いえ・・・、あなた方は有名ですから・・・」

    風花の頬を一筋の汗が伝う。このはが「色々な意味で・・・ですね」と一言付け加え、苦笑

   する。

   「でも、何故あなた方があの魔王やロボットさんや猫さんを止めに来たんですか?」

    風花が尋く。どうやら『じゅらい亭』の事は知っていてもメンバーの名前までは把握していな

   いようだ。

   「それは、ですね。ゲンキさんとボルツさんもじゅらい亭の常連だからですよ」

    シードが答える。すっかり忘れられているボルツの事も説明する。

   「え・・・じゃあ、本当に人質じゃなかったんですね・・・」

   「そういうことです。それに、『アレ』があなたの言う『凶悪な』魔王ですか?」

    このはがゲンキ達(いまだ暴走中)を指差す。風花もそちらを見る。

   「ひゃーっはっはっはっはっ!!ゴル○ィオン・ハンマァァァァアアァアアアアっ!!!」

    風花が見た時は、ちょうどゲンキが巨大なピコピコハンマーを振り回しているところだった。

   「・・・・・・・・・ただの変な人に見えます・・・」

   「そうでしょう(笑)」

    風花の呟きにシードが笑みを浮かべる。

   「だりゃぁぁあああああああっ!!」

   「NOっ!?」

   カーン!!ヒュルルルルルルル・・・ドスッ!!

   「・・・nocさんとフェリさんまで・・・」

    紅流星と化したフェリの銃弾が地面の石に当たり、真上に跳ね返ったかと思うと低空飛行

   をしていたnocに直撃する。当たり所が悪かったか墜落し、地面に突き刺さるnoc。それを、

   苦笑しつつ見るこのは。

   「風花さん・・・でしたね?あなたはゲンキさんを凶悪な魔物と勘違いしたそうですが、それは

   違います。彼には暴走癖があるだけです(笑)。それに、この光景を見てみなさい」

    このはが周囲を指す。それは、風花の魔法で抉られた地面や斬り裂かれた草花だった。

   「あの・・・・・・これは・・・、後で修復しようと・・・・・・」

   「後で修復すればいいんですか?」

    戦いに集中していて今まで気付かなかったのか、風花が呆然と呟く。その呟きにシードが

   答える。

   「あなたの言ったことは、『今、死んでも後で生き返らせる』とか『尊い犠牲』といった類のこと

   です。いくら、何かを倒すためとは言え、そのために犠牲になれなどと言うんですか?」

   「あ・・・・・・・・・私・・・・・・・・・」

   「ゲンキさんは、よく殺されますが・・・それは彼が不死身だからです。自分でも死なないと分

   かっていますし、周囲の人間もそれを承知しています。まあ・・・・・・だからと言って、簡単に殺

   すのはどうかとも思いますけどね」

    このはの言葉にシードも頷き苦笑した。

   「あの・・・・・・私、そんな・・・・・・ただ魔王と言ったら・・・・・・」

   「固定観念や先入観だけで物事を見るのは、どうですかね?少なくとも、ゲンキさんに世界を

   滅ぼすとか、世界征服が出来るとも思えませんが?」

    シードが言う。風花が今まで持っていた『魔王』のイメージはかなり悪いのだろう。だが、シ

   ードの言葉は風花のそのイメージを少しだけ変える。

   「暴走癖のある魔王もいれば、人間が死ぬのを見るのが好きな悪魔もいます。神だって良い

   神だけとは限らないでしょう?」

    額のバンダナを触りながらのこのはの声は淡々と、静かに風花の心を打った。

   「・・・・・・・・・私は・・・・・・何で・・・」

    風花の目から涙が零れる。何でこんな事をしていたのか分からない。

   「失礼ですが?ゲンキさんを凶暴な魔王だと思った理由を教えていただけませんか?」

    シードが優しく風花の肩に手を置き尋ねる。風花は涙声になりながらも答えた。

   「神殿・・・で・・・荷物を持ってもらって・・・・・・その時、偶然手がぶつかって・・・・・・そしたら、

   凶悪な程・・・・・・強い魔力を・・・感じたんです・・・・・・」

    その風花の説明にシードとこのはは納得した。仮にもゲンキは魔王。少しくらい強い魔力が

   あっても不思議ではあるまい。それを、この少女は勘違いしたのだ。

   「そうですか・・・・・・まあ、とりあえずその事は、じゅらい亭に戻ってからもう少し詳しくお聞き

   しましょう。それよりも、とりあえず今は・・・・・・」

   「暴走を止めるのが先・・・ですね」

    シードとこのはが顔を見合わせる。こういう場合の対処は一つだ。

   スゥ・・・・・・・・

    2人同時に息を吸い込む。そして、呼んだ。暴走を止める者を。

   『L様ぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!!!!!!』

   ピカッ!!

   「ハーイ!!ハロー、皆!!じゃ、早速行くわよっ!」

    雷鳴と共にL様が現れ、ゲンキに向けて手を差し向ける。

    と、その時ボルツが戻って来た。ゲンキの姿を見つけ、「ポイ捨て」の恨みを晴らさんと突撃

   する。

   「ファーイナル・ナイトメア・ブラストォォォォォオオオオオオッ♪♪♪」

   「うけけけ・・・・・・え?」

   「ゲンキィィィッ!!・・・・・・ダス?」

   ドゴォォォオオオオオオオオン!!!

   『ひあぁああああああああああああああああああっ!!!!?』

    L様の放った謎の光線がゲンキとボルツに直撃する。2人一緒に吹き飛ばされるゲンキと

   ボルツ。そのまま一直線に飛んでいき、やがて星になった。

   「な・・・なんですか!?あの女の人!??」

    風花が叫ぶ。

   「あ♪あたしLっていうの♪よろしくね♪」

   「エ・・・Lですか・・・?」

   「うん♪じゃーねー、あたし帰るわ♪」

    そう言うと、L様は瞬時に消える。

   「な・・・何者ですかっ!??(困惑)」

   「何者でしょうねえ・・・・・・(遠い目)」

   「深く考えない方がいいかと・・・・・・(達観)」

    3人がそれぞれ言う。と、ゲンキとボルツの最後(笑)を見たフェリとnocが暴走を止めた。

   「L様・・・・・・怖いにゃあ・・・・・・」

   「私としたことが・・・・・・飛行機能があったことが嬉しくてつい・・・(照)」

   「良かった良かった♪これでじゅらい亭に帰れますね♪」

   「そうですね。では、風花さん」

    このはが風花に何かを促す。風花にはそれがすぐに分かった。

   「はい・・・癒しの風!」

    風花の掲げる杖から優しい風が流れる。それは、傷ついた大地を癒し、草花を再生させた。

   「はぁ・・・・・・疲れた・・・」

    相当疲れたらしく、風花が地面に座り込む。

   「大したものです」

    完全に癒された周囲を見回し、このはが風花を褒める。だが、風花は本気で疲れているらし

   く喋ることも無理なようだ。

   「風花さん、私の背中に掴まりなさい♪飛行機能があると分かった以上、活用しなくては♪」

    nocが自分の背中を指し示す。シードが風花をnocの背中に座らせる。

   「では、私と風花さんはお先に♪」

    nocが、風花が落ちないように気をつけながら飛んで行った。それを見ながらこのはとシー

   ド、そしてフェリの3人は帰途に着く。

   「フェリさん、風花さんもじゅらい亭の常連になってくれませんかね?」

   「何でにゃぁ?」    

   「だって、風花さんがいれば、店が壊れても直してもらえるじゃないですか♪」

   「それもそうにゃあ♪♪」

    シードとフェリの会話に苦笑するこのは。時刻はすでに夕暮れ。歩く3人を夕日が照らして

   いた。





    花瓶はいつものようにじゅらい亭の窓際で外を眺めていた。

   「暇だなぁ・・・」

   「花瓶さん♪」

    呟いた花瓶に声がかかる。見ると、鏡花が白い花を持って立っていた。

   「新しいお花ですよ♪」

   「おお!これはどうも!鏡花さんには、いつもお花を生けてもらって・・・すいませんねぇ♪」

   「いえ、いいんですよ♪お店の中に綺麗なお花が飾られているのはいいことですし♪」

   「そうですね♪・・・・・・おや?」

   「どうしました?」

    花瓶が何かに気付いたようだ。

   「いえ、神殿から何か飛んで来るんですが?」

   「神殿から?」

    鏡花が怪訝な顔で窓の外に顔を出す。と────

   フォンッ!!

   『ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

    高速でゲンキとボルツが飛んで行った。

   「い・・・今のは、ゲンキさんとボルツさんっ!?」

   「どなたでしょう?」

    あの高速でも見えたのか花瓶が叫ぶ。2人に会ったことの無い鏡花はただ呆然としている。

   「何があったんだろう・・・・・・」

   「さあ・・・・・・?あら、お客さんが来ましたね♪では、花瓶さんまた♪」

   「あ、はーい♪またねー鏡花さん♪」

    10秒でゲンキとボルツは忘れ去られる。酷い話だ。(笑)





    3日後・・・・・・





   「ゲンキさん、ボルツさん、怪我を見せてください!(走)」

   「治ってますってばぁぁあああああああっ!!?(逃)」

   「オラ達は放っといてくれダスぅぅぅううううううっ!!(泣)」     

    怪我が完治したゲンキとボルツはじゅらい亭に来ていた。だが、何故かそこには風花の姿

   が。

   「嘘を言わないでくださいよぉ!あんな大怪我が3日で治るワケがっ!!(真剣)」

   「僕の場合10分で治りますっ!?(真実)」

   「オラも3日あれば十分ダスっ!!?(少嘘)」

   ガシャーン!ガラガラガラ!キュガァッ!!

    店の中を全力疾走で逃げるゲンキとボルツ。別に風花を嫌っているワケではないが、怪我

   を治すために妙な薬を飲ませようとするために、逃げるハメになった。

   「この薬は、「ドラゴンの爪」と「バクちゃんの牙」と「゛ピーーーーー゛」から出来てるんですよ!

   とっても怪我に良く効くんです!」

   ガシャシャシャーン!! 

   「その最後のが何か怖いんですけどっ!!」

   ドガーン!

   「オラは薬なんか嫌ダスぅぅぅううううううっ!!???」

   パキョーン!

   ブチッ!

   「うるさぁぁああああああああああいっ!!」

    店の中で走り回る3人に、珍しく店主じゅらいがキレた。

   「ゲンキさんとボルツさん!おとなしく薬を飲まないなら、『テレ砲台』で強制射出しますよ!」

   『う゛・・・』

   「そういうわけです・・・さあ、お2人共!飲んでください!」

   『助けてぇぇえええええええええっ!!(ダス)』

    

    

    かくして・・・・・・じゅらい亭に新メンバーが加わった。

    夢・風使い(ドラゴンウィザード)の夢崎風花。

    ゲンキの幼なじみボルツ「将軍(自称)」。

    それにゲンキを加えた、じゅらい亭最年少の3人組・・・・・・。そして・・・・・・。

    暴走率1位の3人でもある。



   風花:『私は違うのにぃぃぃいいいいいいっ!!!(泣)』









                                  (やっと終わった♪(笑))    









風花さん、すみません!すみませんすみませんすみません

すみませんすみませんすみませんかみませんですぅぅぅうっ!!

苦情はここかメールでお願いします!(謝)

後でお詫びの品をお送りします!(平謝)

では、また!!(さらに平謝り)

追伸:少しでもマジメなことを書くと変になるのは何故だろう?(笑)

■BACK■ □INDEX□