1.何?
抜けるような青空と、じりじりと照りつける太陽。
そう、ここじゅらい亭にも夏がやってきた。
「あっついですねぇ〜」
自分をうちわでパタパタと扇ぎながらお客さんの一人がつぶやく。
「英殿も暇ですなぁ。こんなに暑いのにここに来るなんて(笑)」
「そうですかねぇ〜」
「そうですよ。」
・・・・・そんな、風舞さんまで(笑)
店主の”じゅらい”とお客の”英”がなんだか間抜けな会話をしている。
カランコロン♪
おや?どうやらお客が来たようです。
「うにゃん♪」
「おお。ヘリオス殿ではござらんか。またお使いの途中ですかな?(笑)」
じゅらいになでなでされて嬉しそう(笑)
「ヘリオスさぁん・・・・サボりに来たんですか?」
(ギク!・・・・)
英の言葉にしばし硬直するヘリオス。
「・・・・・まぁまぁまぁ」
少し間抜けなイントネーションでしゃべりながら、ヘリオスの首輪にぶら下がった指輪からJINNが
ぴちぴちとしながら出てきた。
「うちのかみさんいじめないでぇ〜・・・・・後が恐いから」
「にゃ!」
がぶっ・・・・・
「ふみぃん(涙)」
すごすごと指輪に戻るJINN(笑)
「にゃんにゃんにゃん(暑いから冷たいものが飲みたいな)」
ぴょこんとカウンターのいつもの席に座る(?)。
「はいはぃん。風舞!へりちんにいつものやつ」
あれで理解できたのか?店主(笑)
「もう用意してありますよ。はいどうぞ」
ナイスなタイミングで出されたのは、冷た〜い○○酒・・・・・
「にゃにゃにゃ〜ん♪」
おお!良い飲みっぷり(笑)
「英ちゃんは何してるの?」
ヘリオスの言葉にぼ〜っとしていた英がはっとする。
「人モードか・・・・・」
「うん」
どうやらヘリオスには”人語モード”と”猫語モード”があるらしい。
「見ての通りぐったりとしてるのさ。(笑)」
「・・・・・暑いのに」
「ほっとけ!(笑)」
「あついなぁ〜」
おかわりを飲みながらヘリオスがつぶやく。
「そうですねぇ〜・・・・・」
英が相づちを打つ。
「海に行きたい・・・・・海?」
ヘリオスの脳裏に浮かぶのは真っ青な海・・・・・
「ふみ?海ぃ〜?」
指環から声がする・・・・・とっても嫌そう(笑)
「ぬぬぅ。こうなったら(どうなったらだ!)海に行くしか!!」
なんだかよく分からないけど、握りこぶしを握っているつもりらしい。
「いいですね!みなのしゅうを誘って行きますか?海?」
にっこりと(だが力強く)じゅらいが聞く。
「ん?いきましょう!」
英も大賛成の様子。
「ふみぃ〜」
ただひとりJINNをのぞいては。
2.夜?
「じゅらい亭主催”夏だ!君もボクと一緒に海へダイブ!ツアー”っと」
じゅらいが壁に貼っているのは、なにやらポスターに書かれた”天に向かって指をさすクレイン”の絵(笑)
・・・・・そんなに海にいきたいのか?水着のおネエちゃんかなぁ?(笑)
「こんなもんでどうじゃろ?」
「うにゃうにゃ〜ん(とっても良いよぉ〜)」
「あ、ヘリオスさん猫語に戻ってる。と、それはおいといて、なんで兄さんなんですか?ポスター」
にやにやしながら聞く英に、にやにやしながら頷くじゅらい。
『ねえ?』
カランコロン♪
二人がちょうどはもった所にタイミングよく現れたクレイン。
「これがじゅらい亭名物”噂をすれば影”?」
苦笑しながらクレインを迎える二人。
「噂をすればハゲ?」
がすぅ!!!!
ぼそっと言った(指環から唐突に出てきた)JINNに激しいツッコミを入れるクレイン(笑)
「うにうにゃにゃん(クレインさん程々で許してあげて)」
「ほらほらぁ〜 かみさんもああ言ってるしぃ〜・・・・・ね?」
「ね?じゃねぇ〜!!!!」
・・・・・あぁ、やっちゃったのね。JINNさん。
このあとクレインの激しすぎるツッコミが入ったのは言うまでも無い。
「海ですか?いいですね〜。うんうん。やっぱ、夏は海ですよね〜」
話を聞いた後、やけににんまりしながら思いっきり首を振るクレイン。
「でも、なんで俺なんですかねぇ?このポスター」
いつものお酒をごくっとひとくち。
カランコロン♪
「じゅらいさ〜ん。ポスターどうでしたぁ?」
元気よく入ってきたのは広瀬である。
「おお!広瀬殿。まったくもってよい出来じゃよぅ。ありがとう!」
今の話から察するとポスターを書いたのは広瀬らしい。
「うにゃ(グー!!)」
「これはいいですねぇ」
はっ!矢神さんいつのまに!(笑)
「俺・・・がモデル?」
かっこよく書けているので満足そうです。
「ふぅ〜・・・・あ、ジュースください♪」
「はいはぃん、広瀬殿」
「私も」
「はいはぃん」
・・・・・・・・・・
みんなでジュースやお酒を飲みながら(一匹お酒、一匹シンナー)あーだこーだと会議中。
カランコロン♪
「こばんわーん」
「ばんわー」
おお。眠兎さんとこのはさん。
「お仕事、どうでした?」
疲れているそぶりもない二人に、笑顔でじゅらいが訪ねる。
「たいした事無かったかな」
「うむ。」
・・・・・全然疲れてなさそうだもんねぇ。
「二人ともいつものでよいですかな?」
『よろしく』
その”いつもの”を作りに行っているあいだに二人を加えてさらに話は進む。
「やっぱり〜海はこぅ・・・・・」「兄さん・・・・・」
クレインさん。目(笑)
「うにゃ」「ふみ」
ふむ。この夫婦はこれで会話が成り立つらしい(笑)
「広瀬さん。どうでしょう?」「そうですねぇ〜・・・・・」
矢神と広瀬はなんだか話が少しずれてきているようだ(笑)
カランコロン♪
「あ!鏡花!」
広瀬が相方に向かって手を振る。
「こんばんわ」
「いらっしゃい。鏡花さん」
なんだか既にみんなに混ざっている店主の代わりに風舞がおでむかえ。
「鏡花殿ぉ〜こちらに来るなり〜」
あぁ、店主が一番騒いでる・・・・・
そして、たいして話も進まぬまま、宴会に突入していくじゅらい亭であった・・・・・
つづく〜
「愛が・・・・ね。」その2 「愛が・・・・ね。」その3
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