「月は出ているか?」
ある金曜日の晩、唐突にじゅらいは切り出した。
「はへっ?」
「どうしたんですか、急に?」
たまたま、じゅらいの近くにいたゲンキと矢神がじゅらいの質問の意味が飲み込
めず、質問を返す。
「いやねぇ、たまには、月でも見ながら暴走ってのもいいかな?っと思ってね」
じゅらいは苦笑しながら答える。
「そうですね、たまにはいいんじゃないですか?月の光は魔力を持ってるって
言いますし…」
このはが肯き、じゅらい亭の面々が続々と外に繰り出す。こうしてじゅらい亭の
常連達は、じゅらい亭の近くの小高い丘へ向かった。じゅらい亭に常連達が揃う
のは、23時を過ぎてからだ。じゅらいの提案は24時を過ぎてから出されたも
のだから、丘に付いたのは深夜の1時近くだった。そこから見る夜景は奇麗だ。
赤や青のライト(あるのか本当に?)が街に散らばっている。ちなみにそれは、
じゅらい亭の暴走で壊れた建物や道路の修理をしているところの信号や、危険を
知らせるための目印だが、本人達は気付いていないのでいたって平和なものであ
る。
「おっ、月が見えるぞ」
幻希が星の散らばった夜空を指差し誰ともなくいう。実はじゅらい亭を出た時点
で月はその姿を現していたのだが…
「奇麗ですね」
夜空を見上げて風舞が呟く。
「さぁ、暴走だぜ!滅火(ホロビ)!!」
「くっ、いきなりか!」
「俺も行くぜ!しょーかん!オーディン!グングニルの槍×100」
「前線の雇われ軍人は功をあせるものではないよ」
「ゴルディオンハンマー!!」
静かな丘を舞台に大暴走が開始される、丘の反対側では静かに月見を楽しんでい
る客もいる。風舞や燈爽をはじめとする、非暴走集団だ。こうしてじゅらい亭の
夜は更けていく…かと思いきや、それはその時起こった。
「ふぅ、今日も楽しく暴走したし、超あんたも決めてくれよって感じだな♪
やっぱり、外での暴走は気持ちいいなぁ、なんたってお店が壊れる心配がないし♪」
と暴走が一段落したのかじゅらいがゆっくりと風舞達の元に歩いて来る。
熱くなった体に僅かに冷たい夜風が心地よい。
「はい、タオルです」
風舞が歩いて来たじゅらいにタオルを渡す。
「あぁ、ありがと風舞」
じゅらいは風舞からタオルを受け取りそれを肩にかける、とその時、一心不乱に
夜空を見ている燈爽が目に入る。
「何か見えるのかい、燈爽ちゃん?」
「あぅ、あれですぅ」
燈爽はそう言って夜空を指差す、そこには一筋の流星…
「流星?」
燈爽が呟く。
「むっ、コロニーのN作戦か?」
流星らしきものを見たじゅらいが表情を曇らせる。
「隕石落下と宇宙ステーション(RPGで出て来た奴ね)からの報告が入ってますよ」
とnocがじゅらいに報告する、
「連邦の目は節穴でしょうか?隕石が大気圏突入のウェーブコースを通るはずな
いでしょう」
と広瀬が苦々しく呟く。どうやって調べたのだろうか…疑問である。
「あれが新たな戦いを生み出す戦争の卵というやつだな…」
「どうします、迎撃しますか?ここからならサテライトバスターテレ砲台で100%
命中するはずですが」
説明しよう。サテライトバスターテレ砲台とは、新じゅらい亭で新たに開発され
たテレ砲台のことだ。月のマイクロウエーブ装填施設から送られて来る暴走エネ
ルギーを軽いサーバーで接続し、チャットで暴走することにより発生するエネル
ギーでミラーコーティングされた花瓶を発射するものだ。
なお、同時期に開発された姉妹品として準光速レーザーガンなるものも存在する、
送料は別である。
しかし、開発者は月から送られて来るエネルギーをそのまま利用することを考え
なかったのだろうか…。
「報告によればあの流星はこの街に落ちて来るのだろう?ならば、迎撃する他あ
るまい…」
何時の間にか口調まで変わってしまったじゅらいが重々しく答える。
そして、隕石を迎撃すべく広瀬が動き出した。
次回 「奇跡の価値は?」
じゅらい:「何だ!あれは!?まさか!すでに○Zは完成させていたのか…」
広瀬:「超高速重装モビルスーツ…スーパーボール」
矢神「名前がちょっとあれですが…(笑)」
じゅらい:「○Zめ!神に逆らう気か!?」
幻希:「ま、まさか、あいつが生きてたなんて…俺はどうすればいいんだ?」
焔帝:「どこで運命の歯車が狂い始めたのか…」
ゲンキ:「幻希にあいつは倒せない…僕がやるしか…ない!」
焔帝:「やるってまさかゲンキさん…」
風舞:「時が満ちたわ…」
このは:「あれをやる気なんですか…まさか」
風舞:「それしか方法はないわ…この命を懸けてでも守らないと…」
???:「貴方を死なせる分けにはいきません…私が代わりになりましょう」
このは:「あ、貴方が何故!?」
なおこの次回予告はフィクションです、本気にしないでください。
では、あれば次回「奇跡の価値は!?」
借金は減るのか?