じゅらい亭日記セカンド

第十二話『勝てない理由』
冒険者> Landa
記録日> 05月25日(月)10時54分37秒


前回までのあらすじ
最強のデマドの遺産「アヒルちゃん」…それの使用法はお風呂場で使うという
ことだった。その「アヒルちゃん」の真の力、それは秘密だった(核爆)。
しかし伝説の虫『ゼファール』を倒すにはそれしかない(何故に?)と思った
弦楽器、矢神、燈爽の三人は、そのデマドの遺産「アヒルちゃん」と移動用の
風呂(登別の湯)をもって最後の戦いにのぞんだ。

第十二話『勝てない理由』

「貴方は私に勝てない…なぜなら…勝てないからよ!」
『じゅの』がビシッ!と指を突きつけてヅョーに言い切る。
「な、なにー!」
全く客観的な要因を無視しているが、何故か説得力のある『じゅの』の言葉に
ヅョーは驚愕の声を上げる。
「貴方は死兆星が見えるはずよ」
「くそっ!負けてたまるか!くらえっ、グランズバスター!」
多分カンタムと思われるから『カンタム D』を名づけよう。そのカンタムD
がその肩に載っている巨大な大砲…グランズバスターを構える。
「馬鹿ね…」
「確かに…」
「あんたもね」
「ひどい(TT)」
『じゅの』のぽつりと呟いた言葉にJINNは同意する、確かにこんな近距離で
遠距離用の攻撃をするのは間違っている。飛び道具はモーションが大きいか
ら隙が出来る。
「くらえっ!」
ヅョーはグランズバスターの標準を『じゅの』に向ける。がそこに『じゅの』
の姿は無かった。
「なにぃ!」
「終りね、デストラクティブJ!」
後ろから静かな声と共に衝撃が訪れる。パイドルスピアの刺さった部分から
プラズマ化が進む。
「だからドリルは付けるなといったんだー!」(…ドリルは関係ない)
ドゴォン!!
あっさりとカンタムDは爆発する。
「悪は滅びたわ…さっ帰りましょ」
こうしてJINNと『じゅの』は爽やかに戦場を後にした。

「敵カンタムと思われる機体の爆発を感知しました!」
レーダーを見ていた悠之が顔を上げてじゅらいに報告する。少し時間が空き、
風舞も顔を上げ、『じゅの』から通信回線で敵カンタムを撃破したことを
じゅらいに伝える。
「何とか、危機は乗り切ったみたいですね」
「ええ、今度ばかりは少し危なかった…」
安堵した顔でじゅらいに話かける広瀬にじゅらいは苦笑を返す。
「残りカンタムは…後二機のはず…心して行きましょう」

「あの風花さん、少し話があるんだけどいいかな?」
張り詰めていた緊張が解け、のんびりとシートでくつろいでいた風花はかけら
れた声にゆっくりと首をまわす。顔を見なくても相手は誰だか分かっていた。
「ケヴィンさん…」
そこには、怪しいまでに綺麗な青年が微笑みながら立っていた。その姿はカオル
君と言っても差し支えないだろう。
「あ、あの……」
風花は何か言おうとするが続きが出て来ない。
「何ですか?」
優しく言葉の続きを促すケヴィン。それに後押しされた様に、風花は頬に朱を
散らせて言う
「…私…女ですよ」
…確かに本物のカオル君は怪しかったけど…(苦笑)

そんなこともあったけど、ケヴィンは風花に無事、頼み事をすませた。
そのケヴィンの頼みとはさっきある物を拾ってきたから直して欲しいとのこと
だった。
「この部屋に置いて有るんですか?その直して欲しいものって?」
風花は隣に浮いてるケヴィンに目の前の部屋を目で示しながら聞く。
「あぁ、そうだよ」
「あの〜、ケヴィンさんの怪我の治療を先にした方がいいじゃ…?」
肯くケヴィンの肩が朱に染まっているのを見つめ、遠慮ぎみに口にする風花。
その傷は多分、さっき『神奏歌』を庇った時に負ったものだろう。
「こんなの大した怪我じゃないよ、すぐに直る…」
と心配そうに見つめる風花にケヴィンは微笑を返す。そう言われ風花はその
肩の傷がかなり深いことを悟っていたがあっさりと引き下がった。
「わかりました…」
不承不承、風花は肯く。
「じゃ、私はまだ用事があるので…失礼」
と風花に優雅にお辞儀をするとケヴィンの姿が空間に溶けるように消える。
「…さぁて、じゃ頼まれた仕事をすませちゃいますか」
風花の呟きはケヴィンの居なくなった空間に静かに吸い込まれて行った。

(CM突入)

借金持ち:「畜生、まだ着いてきやがる」
JINN:「どうした?悩める青年よ」
借金持ち:「いやな、またなんだよ」
JINN:「何がまたなんだい?」
借金持ち:「借金返済の催促だ。まったく、しつこくってたまったもんじゃねぇ。
           なにが『返さねぇ奴は人間じゃねぇ!』だ」
JINN:「ふみぃ、それはたいへんだねぇ・・・・・そんな貴方に朗報です。
           魔人印のこの借金取り撃退装置『借りてる君』があれば、どんなしつこい
           借金取りだってすぐに諦めます。信頼性はあのじゅらい亭借金催促部隊でも
      証明済み、そして何より自分の手を汚す事の無い親切設計」
借金持ち:「すげぇ、あのじゅらい亭借金催促部隊をもしのいだのか!」
JINN:「はい♪」
借金持ち:「で、その撃退方法はどんなんだい?」
JINN:「相手に合わせて5段階で用意しております」
借金持ち:「ほぉ、それは心強い」
JINN:「それでは機能紹介を、
           LEVEL1:対簡易嫌がらせモード
                         3倍返しは当たり前、20倍返しです
           LEVEL2:対肉体苦痛モード
                         半径3m以内に入ってきた借金取りを電撃で黒焦げにします
           LEVEL3:対精神的苦痛モード
                         夜な夜な枕元で『鬼!悪魔!人でなし!』と叫び続けます
           LEVEL4:恨みモード
                         借金を催促して来るたびに徹底的に恐怖のどん底に落します
           LEVEL5:対最終勧告モード
                         最終奥義『フレイ』を呼びます」
借金持ち:「『フレイ』ってなんだ?」
JINN:「動くもの全てを撃ち尽くします。変装して来る借金取りだって見逃しません」
借金持ち:「それはすげぇ!」
JINN:「それでは実演してみましょう♪」
借金持ち:「え?ちょっと待て!」
ぅいいいぃぃぃぃ(モーター音)だららららららららら(ガトリングガン掃射)
JINN:「あらあら、不用意に動くから・・・・・」
借金持ち:「(ぷすぷす)」
JINN:「と、いう訳で魔人印の借金取り撃退装置『借りてる君』
           いまなら165ファンタでご奉仕しております。
           今なら特典として『迎撃用大陸弾道弾』をセット!
           お買い求めは今すぐ!」
しつこい借金取りははもうごめん、魔人印の借金取り撃退装置『借りてる君』
で楽しい借金ライフを満喫しませんか?
どんな借金取りでも即撃退!さぁ貴方も今日から1人前の借金生活です!

(CM終了)

「か、花瓶さん!?」
ケヴィンに言われて入った部屋には、花瓶が居た。ひびが入って今にも砕けそうだ。
「ど、どうしたんですか?今、直して上げます!?」
と風花は花瓶に言い、花瓶の修理の準備をはじめる。
「すみませんね…風花さん…でも…米粒でくっつけるのはやめてください…」
米粒でくっつけようとしている風花に弱々しい声で花瓶は抗議する。
「あっ!ごめん。でも、何でこんな傷が?」
「あっしにもよく分かんないです、空から落ちて来たところをあのケヴィンさんに
助けられて…あっ、味付け海苔もやめて…」
と今度は味付け海苔でくっつけようとしている風花に弱々しい声で抗議する花瓶。
「そうなんですか…」
「えぇ気付いたらここで…。も、木工用ボンドもやめてください」
こんな会話を繰り返し、花瓶の修理は進む。結局、アロンαでの修復が決まった。

「どうやら終ったみたいだね、どうもありがとう」
風花が花瓶の修理を終えて部屋の外に出るとケヴィンが待っていた。ちなみに花瓶
には絶対安静の指示が出ている(笑)。
「あっ、ケヴィンさん、こちらこそ花瓶さんを助けて頂きありがとうございます」
とこちらこそと風花も頭を下げる。その時チラッと見たケヴィンの肩の傷は、もう
治っていた。ケヴィンの言葉通り簡単に直ったようだ。
「いや、大した事じゃないよ」
微苦笑をしながらケヴィンは言う。
「それにしてもケヴィンさんは一体何者なんですか?」
風花の質問にケヴィンは笑いながら
「正義のみ・か・た」
と応えた。

さて、カンタムDの戦いからすでに三日が過ぎた。拙者達は今、第三のカンタムを
目指している。残るは第三と第四のカンタムだ。ここに来て分かったことだが、
カンタムというのはどうやらコロニーから送り込まれた兵器の総称らしい。だから
MSや戦艦もカンタムなのだ。しかし…
「前方500に空間の歪みを確認しました!!」
悠之の声がブリッジに響き、緊張に包まれる。
「敵?次元障壁展開準備!ミラーコーティング開始!」
「了解」
幻姫さんの声が響き、即座にミラーコーティングが開始され、次元障壁も準備が
はじまる。
「空間の歪みなおも増大中…何かが現われます!!」
前方の空間に目にみえる歪みが出来、中から巨大な艦影が姿をあらわす。
その姿はこの艦『無敵』と同等なほどの大きさだった。
あれは…まさか…【剣(ソード)】?【剣】それはコロニーの開発した最新鋭戦艦。
この『無敵』と同じく次元潜航機能を搭載しているのだが…。メイン画面にはその
戦艦の巨大な艦影が映し出されていた。その艦影は予想通り【剣】のものだった。
「敵艦、全砲門こちらに狙いを定めています!?」
「次元障壁展開!!」
「了解!」
ドゴォォォォォォォン!
悠之の言葉に拙者は素早く指示をくだす。そして次元障壁が展開されるとほぼ同時に
凄まじい衝撃が『無敵』を襲った。

第十二話『勝てない理由』−完−



URL> CMは十一話と続きでJINNさんです

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