じゅらい亭日記セカンド

十一話『【じゅの】起動』
冒険者> Landa
記録日> 05月25日(月)10時53分23秒


前回までのあらすじ
じゅらいを庇うために『スーパーボール』の前に飛び出した風舞は、無事だった。
しかし、彼女は涙をこぼした。それはじゅらいの姉『ジュン』が神創人としての
力を使って風舞を庇ったからだ。どれだけの力を使ったかは分からないが、そう
力も残っていない身で使う力はどんなものでも生命に危機をもたらせてしまう。
振り返ったじゅらいが見たものは、力を使い生命力を失った『ジュン』の姿。
その姿は今にも消えてしまいそうな程に儚いものだった。風花の回復術をはじめ、
ヴィシュヌの蘇生術、矢神のザン○ルマの剣の守護陣、果てにはJINNの改造まで
試し、『ジュン』の回復を試みるが全く効果がない…絶望するじゅらい達の前に
もう一人の『純(ジュン)』があらわれる――

第十一話『【じゅの】起動』

「私の最高傑作です」
JINNはその後『じゅの』のことを聞かれたらそう答えたと言う。

「『じゅの』を使いましょう…」
広瀬の言葉が波紋の様にじゅらい達に浸透する。
「えぇ!『じゅの』?そんなものこの艦では造ってないよ、それに動力は?」
「まさか、広瀬さんが極秘に造ってたんですか?」
じゅらいとゲンキの言葉に広瀬は軽く微笑み
「私が造ったってわけじゃないですけど…JINNさんが。『じゅの』は機体自体に
動力炉が付いてますから大丈夫です」
「なるほどね、JINN殿なら考えられる!でも一体何処にそんな大きなものを?」
広瀬の言葉にじゅらいは納得し、次の疑問を口にする
「多分、指輪の中じゃないですか?あの中どうなってるかわかんないですけど、
空間曲がってそうですし♪」
とクレインが答える。広瀬はじゅらいの言葉には答えず、一枚の紙を差し出す。
じゅらいは、なんだろうと思いながらもその紙に視線を落す。
「…何々…本体3000円…塗料(クリアーカラー)150円×3、塗料(パール
カラー)200円…ポリエステルパテ800円?プラ板150円、接着剤200
円、瞬間接着剤250円、交通費640円…合計5690円つまり47ファンタ
50コカ?」
訳も分からず紙の内容を読み上げていくじゅらい。
「なんだこりゃ?」
内容が分からず幻希も首を傾げる。
「それは、請求書ですよ、JINNさんからの」
と苦笑しながら広瀬がじゅらいと幻希に答える。
「請求書?」
「そうです、それは『じゅの』の作成にかかった費用(実話)です。」
「そうですか、じゃぁ後から私がJINNさんの借金から47ファンタ50コカほど
減らしておきますね」
と風舞が肯く。
「で、『じゅの』はいつから出撃できるの、広瀬さん?」
ゲンキが疑問に思ったことを広瀬に聞いてみる。
「いつでも出撃出来ますよ、JINNさんもすでに搭乗されてますし」
「そう言えばJINNさんいないもんねぇ…」
広瀬の言葉に辺りを見回しJINNが居ないことを確かめてこのはが肯く。
「時音、『じゅの』をカタパルトへ輸送してくれ」
「は〜い、えっとこれね…『じゅの』の輸送を完了しました」
メイン画面にカタパルト全体の様子が表示され、輸送された『じゅの』の勇姿が
映し出され…ていない。
「時音〜、本当に『じゅの』の輸送済んだの?」
カタパルトに『じゅの』の姿が見えないため、『じゅの』の輸送に失敗したので
はないかと時音に聞くじゅらい。
「ちゃんと済んだよ〜」
「むむむっ、でも姿が見えない…もしかして借金のある人には見えない作りに
なってるとか?」
「んな、馬鹿な」
とゲンキと幻希の会話を聞いた広瀬が苦笑しながら
「ちゃんとカタパルトに輸送されてますよ」
と言い、広瀬の指がパネルの上を動きメイン画面の一部を拡大表示させる。
そこにはちゃんと『じゅの』が写っていた…全高 180mm 全幅 100mm
の『じゅの』が…。しかもプラスチックの装甲、Mr○カラー による表面塗装
などが分かる人の目には分かった。
なおも付け加えると、ポリエステルパテやポリキャップ、エッジングパーツに
タミヤセメント(流し込みタイプ)、ゼロタイム流し込み (瞬間接着剤)が使われて
いるらしい(本人談)。
「おいおい、本当にあんなもので戦えるのか?」
呆然とする常連の中で幻希は『じゅの』を見て思わすそう言った。
「失礼ね!戦えるに決まってるでしょ!あたしは最強よ!」
返事は『じゅの』本人(?)から返ってきた。
「そう言えばJINN殿は?『じゅの』に乗ってるんじゃないの?」
ふとじゅらいは思った。JINNが乗るには『じゅの』は小さすぎる。
「乗ってらっしゃいますよ、指輪の状態ですけどね」
広瀬の言葉にじゅらいは納得する。
「なるほど。それで『じゅの』さんは出撃しても大丈夫なんですね?」
じゅらいは画面に写る『じゅの』に聞いてみる。
「大丈夫よ!あたしに任せなさいって。大船に乗ったつもりで、朗報を待ってな
さいよ!」
「泥船に乗ったつもりで凶報の間違いじゃないか…」
心強く言う『じゅの』に突っ込みを入れるJINN。その後どうなることやら…(惨劇)
「…止めた方がよくないか…『じゅの』出すの…」
「俺もそう思う…」
幻希とクレインが不安そうに呟く。
「不安だ…あまりにも不安だ…でも打開策が無い以上仕方ない、『じゅの』
出撃だ!」
「了解、『じゅの』出撃許可おりました」

(CM突入)

借金取り:「畜生、またか」
JINN:「どうした?悩める中年よ」
借金取り:「いやな、またなんだよ」
JINN:「何がまたなんだい?」
借金取り:「借金の踏み倒しだ。借りるだけ借りておいて、さあ返す時になっ
          て 返せねえとほざきやがる。返さねぇ奴は人間じゃねぇ!」
JINN:「ふみぃ、それはたいへんだねぇ・・・・・そんな貴方に朗報です。
           魔人印のこの強制借金徴収装置『刈り取る君』があれば、どんな
           横暴な滞納者だってすぐに返済する気になります。そしてウリで
           ある丈夫さはあのじゅらい亭暴走大宴会でも証明済み、そして何
           より自分の手を汚す事の無い親切設計」
借金取り:「すげぇ、あのじゅらい亭暴走大宴会でも大丈夫なのか!」
JINN:「はい♪」
借金取り:「で、その徴収方法はどんなんだい?」
JINN:「相手に合わせて5段階で用意しております」
借金取り:「ほぉ、それは心強い」
JINN:「それでは機能紹介を、
           LEVEL1:簡易嫌がらせモード
                         徴収目標の嫌いな物を探し出し送り付けます
           LEVEL2:聴覚的苦痛モード
                         徴収目標の窓ガラスを鋭い爪で引っ掻き続けます
           LEVEL3:洗脳モード
                         夜な夜な枕元で『借金返済、綺麗な体』と叫び続けます
           LEVEL4:嫉妬モード
                         小さな幸せまでも見つけ出して徹底的に破壊し尽くします
           LEVEL5:最終勧告モード
                         最終奥義『ギア&アクリ』を呼びます」
借金取り:「『ギア&アクリ』ってなんだ?」
JINN:「聞きたい?」
借金取り:「おう、もちろん」
JINN:「ほんと〜に、聞きたい?」
借金取り:「もったいぶらねぇでさっさと教えてくれよ」
JINN:「それはね・・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 <ぴぃーーーーーー(自主規制)> 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
JINN:「あ、倒れちゃった・・・・・」
借金取り:「いやだ、いやだ、それだけはいやだ」
JINN:「と、いう訳で魔人印の強制借金徴収装置『刈り取る君』
           いまなら165ファンタでご奉仕しております。
           今なら特典として『自爆用中性子爆弾』をセット!
           お買い求めは今すぐ!」
借金を返さない不届き者はもうごめん、魔人印の強制借金徴収装置『刈り取る君』
で楽しい借金取りライフを満喫しませんか?
どんな借用人からでも即返済!さぁ貴方も今日から1人前の借金取りです!

風舞:「いい物が出来たんですねぇ(店内見回し)」
××××:「ぎっくぅ」

(CM終了)

何であたしはこんな所にいるんだろう…?あたしは自分が作った『じゅの』
の中に居る、いいや搭乗しているっていうのが正確な表現なんだろうなぁ〜。
「何ぼおっとしてるのよ、もう出撃してるのよ!!」
製作者を何と思ってるんだ!この不良『じゅの』は!!でも、ここで恩を売
って後から改造させてもらうってのもいいかも、あの艦の構造って少し変わ
ってるし…。
「遅れ馳せながら…出撃ぃ〜」

画面に表示されているカタパルトから『じゅの』が出撃した。機体自体が小
さいせいで迫力にかけるが…。
「でも、あんなのでカンタムを倒せるのかな?」
クレインは至極当然の疑問を口にする。他の常連達も同感だと言わんばかり
に肯く。とその時画面の中から爆音が響いた。どうやら『じゅの』がパイド
ルスピアで敵を貫き、撃破したらしい。あんな小さなものでどうやって?
と思うかもしれないがそれがこの世界の掟である(爆)それからも『じゅの』
はその小さな機体の小回りを活かして残ってたカンタムを一掃する。
なお、この『じゅの』には、セカンド用特殊装備として『ソリッドパネル』
と言う飛行用のユニットを特別に装備しているらしい。ということで空も飛
べるのだ。
「う〜ん、目茶苦茶強いですね(笑)」
矢神は妖艶と微笑む…おっと間違えた、矢神はいつも通りの微笑みをこぼす。
「よし!この調子なら敵を全て倒せるかも♪」
『じゅの』の強さにじゅらいも希望を取り戻す。みんなの希望を背に『じゅの』
はあの強力なエネルギー波が放たれた方角に向かって行った。

「前方にあのエネルギー波を放ったと思われる機体があるから攻撃しちゃって
いい?」
『じゅの』がのんびりと外を見ていたあたしに言って来る。あたしは言われる
ままにそちらに目を向ける。
「何、あれ?センス無いなぁ…」
あたしは思わず呟いてしまう。まず目に入ったのはその巨大な大砲(?)、
あれがあのエネルギー波を放ったんだろうけど…機体につりあってない。
そして次に目を引くのは…ドリル。何故に無意味にドリルをつける…はっき
り言って機体全体に十個付いてるな…。
「あっ、敵MSから通信入ってるわ、開くわね」
「聞きたくないなぁ…でも聞こう」
と『じゅの』が言うと同時にメイン画面に小さな画面が表示される。これま
た怪しげな男だ…。
「貴様、なかなかやるようだな…」
どうやらさっきからカンタムを撃破してきたことをいってるらしいなぁ
「私の名前は「ヅョー」。人呼んで『エースのヅョー』!」
勝手に自己紹介してるし…。怪しさ大爆発だ…。
「ふ〜ん…貴方が『エースのヅョー』か…ふっ、貴方はあたしに勝てない…」
『じゅの』はヅョーに向かってそう言う。
「な、なにぃ!」
『じゅの』の言葉にヅョーは驚愕の声を上げる。
「なぜなら……」

第十一話『【じゅの】起動』終了



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