じゅらい亭日記セカンド

じゅらい亭日記セカンド 第九話『桜と鐘』
冒険者> Landa
記録日> 05月04日(月)01時01分54秒



前回までのあらすじ
表太郎が矢神に渡した最強のデマドの遺産「アヒルちゃん」・・・彼はその表太郎の
行為を表太郎風の冗談だと解釈した・・・しかし表太郎がその事実を認めると辺りの
冷たい視線・・・。その心に僅かにある良心の呵責に悩まされたのか・・・彼は冗談
だという発言を撤回した。
しかし、彼は「アヒルちゃん」の使い方は教えなかった。だが、燈爽の考えた使い方
「お風呂場」で使うと言う方法が正解だった。

(OP開始:Bland-New-Heart(ガガガバージョン))

第九話 『桜と鐘』

「僕がニュータイプだ!」
MCBに乗ることになったこのはさんが思わずそう口走った。えっ!ニュータイプ?
そう言えば今月はまだ買って無かったなー?
「危ない〜このはさん!」
カオル君もといケヴィンさんの声が響くと同時にこのはさんの顔のすぐ横をケヴィン
さんの手から放たれた閃光がよぎる。そしてその秀麗な顔の頬に赤い雫が一筋流れる
・・・血だ。このはさんの顔が見る見るうちに青ざめる。
まぁ、確かに当たればこの艦の装甲にへこみを作るほどの力が顔すれすれを通ったの
だから。
突っ込みとしてはちょっと「強力」かな?と思わず拙者は思った。
「何てことするんだ!私を殺す気かい?」
このはがケヴィンさんに詰め寄る。このはさんの剣幕もどこ吹く風でケヴィンさんは
応える。
「いやだなぁ、蚊が君を刺そうとしてたから助けてあげたんじゃないか」
なるほど、いい奴だな、彼は。
「な、なるほど、でも、もっと穏便な方法はないのか?」
確かに蚊に刺されそうになる度にあんなことをされたんじゃたまらないような・・・。
「ない」
きっぱりと素早く言い切るケヴィンさん・・・拙者は彼に恐いものを感じた・・・
それは・・・
「敵MS接近!距離5000!MCB各機発進してください」
風舞の声がドックの中に響く。
その放送にこのはさん、焔帝殿、幻希さん、弦楽器さんが各々のMCBに乗り込む。
拙者もそのままブリッジに戻り艦長の椅子に座る。
「悠之、敵MSの数と方向は?」
するとすぐに答えが返ってくる。
「正面です。数、およそ150。距離、3500。」
「よし、風花殿、主砲『どこまでもテレ砲台』の発射準備を」
さっきのまま火器担当のシートに座っている風花殿に拙者が言う。
「了解。エネルギー充填開始・・・5%・・・100%・・・120%・・・150%」
えっ?100%を超えるの?どのくらいまで充填可能なのだ?一体?
「風花殿、一体どこまで充填出来るの?」
拙者の質問に風花殿はきょとんとして答える
「どのくらいって、じゅらいさんが止めるまではいくらでも充填出来ますよ。もちろ
ん充填のし過ぎは壊れちゃいますけど・・・あっ、今レッドゾーンに突入しました」
「…えっ?ちょ、ちょっと充填止め!」
拙者は風花殿の言葉の意味が浸透するとすぐに充填を止めさせた。
「充填終了。充填率197%。暴発まで3%でした」
な、なんて危ない武器なんだ・・・ちょっとドキドキしちゃったよ、拙者。
「主砲『どこまでもテレ砲台』発射!」
「了解。発射します!」
それに数秒遅れてこの艦が揺れる。これは主砲を発射した時の反動の振動だ。
・・・それにしても拙者が発射!って言いたかったのに・・・幻姫さん・・・
よくも・・・
「ご、ごめんね〜、一度言ってみたかったの〜」
拙者の呆然としてる顔を見たのか幻姫さんが謝る。拙者は無言で、幻姫さんを見つめ
返す。
「拙者だって言いたかったのに・・・」
「主砲の攻撃により敵MSの約半分を撃破しました。残りのMSにMCBが向かって
ます」
「よし、そのまま「仙水」と「紅火炎」は各個に敵を撃破!「桜歌」と「鐘歌」は後
ろで援護を!」
と拙者はきっぱりと言った・・・艦長たるもの切り替えが大事だよね!
『了解』

(イラスト:「スティン」開発スタッフ達が、甲板上で記念写真)
CM突入

じゅ「さて、風舞。今日のオススメ【じゅらい亭グッズ】は何だい?」
風舞「はぁい、本日のオススメは【劇場版「じゅらい亭日記」】のメイキングビデオ
      ですよ♪」
じゅ「ほほう、【劇場版】というとあれだね!常連キャラが総出演して繰り広げる、
      宇宙規模の宴会スペクタクル宴会冒険ラブロマンス宴会!」
風舞「(ボソッと)どうしても宴会なのね…。(気持ちを切り替えて)そうです!
      今、劇場版の予告編がTVでも放送されているんですよ♪(^^)」
じゅ「たしか、暴走シーンが「立体映像」なので心臓に悪いというクレームがついた
      って聞いたけど…そんなの上映して大丈夫?」
風舞「そのクレーム対策用に制作された【メイキングビデオ】なんです!」
じゅ「???」
風舞「なんと、このメイキングビデオを見れば、【心臓に毛が生えてくる】んです!
      毛が生えた心臓なら、ちょっとやそっとの暴走シーンではびくともしません!
   だーかーらー、見てっ♪今すぐ最優先でかぶりつきで朝から晩までみんなで
   もしくは一人ででも見るのがあるべき姿ですけど家族ぐるみの交際が望ましい、
   嗚呼わたしは花も恥じらう17歳…!(やんやん♪)」
じゅ「か、風舞さぁぁぁぁぁん?もしもーし?」
風舞「あ、じゅらい君の心臓に毛が…きゃっ♪(なぜ見える?)」
じゅ「………ほんとだ………(なぜ見えるぅぅぅ???)」
時音「目は心の窓って言うでしょう?(意味不明)」

じゅ「…以上のような、本編のパロディ等の映像特典も収録した、
               【劇場版「じゅらい亭日記」メイキングビデオ】!
   初回特典で看板娘のプロフィールカードが封入されてます♪ショートヘアーの
   陽滝イラストは超レアでござるな〜(^^)」
風舞「お値段は、30ファンタ(約3600YEN)です。みなさん、見てくださいね。」
じゅ「それにしても風舞…さっきの【パロディ編】ではノリノリだったなぁ。」
風舞「ふふふ(*^_^*)あ、そうそう。あの脚本はなんと時魚が書いたんですよ(笑)」

話題満載の【劇場版「じゅ亭日記」メイキングビデオ】、お求めはお近くの冒険者の店で!

CM終了
(イラスト:MCB「クイックル」&パイロット「燈爽ちゃん」のデータと立ち姿)

「なるほどね、こいつは中々…」
MCB『仙水』の取説を流し読みした私は、思わず笑みをこぼし、口の端が上がる。
この『仙水(エーテル)』の性能はその剣に主に集中している。このMCBに付いて
いる剣『六精剣』は全ての精霊を駆使出来るのだ。そうなるとあのJINNも私の思いの
まま♪…自称とは言え風の精霊なんだから…そう考えるとついつい微笑みがこぼれて
しまう。
『焔帝さん、出撃してください』
通信担当の風舞の顔が正面のスクリーンに小さく表示され出撃を伝える。
「了解しました」
少しの衝撃が『仙水』を揺らしドックからカタパルトに輸送される。
「では仙水、焔帝出撃します!」
一瞬、加速による重力が体にかかり、その後に浮遊感につつまれる。
ふむ、このMCBはどうやら風の精霊の力を駆使して飛んでいるみたいだ。幻希さん
の『紅火炎』、このはさんの『桜歌』、弦楽器さんの『鐘歌』は、バーニアの火力で
飛んでるらしいが私のMCBはそれが存在していないし。
「焔帝、一気に行くぞ!」
メイン画面に小さく表示された幻希さんの声が鼓膜に響く。
「わかってますよ、行きましょう。このMCBの力を見せて上げます」
では、行きますか…。私の意志に呼応して、仙水が敵MSに向けて空を駆る。
剣『六精剣』をそのままの速度で抜き放ち敵を一刀両断にする。幻希さんの『紅火炎』
の方も敵を好調に敵を撃破している。もちろん敵もやられてばかりではない…攻撃を
してくるがしかし…
「『氷子盾(グラシード)』!」
私の防御の意志と言葉に応え、腕の部分に取り付けられた十字の展開軸を中心に、水
の精霊によって創り出された氷子(ガラス)の盾が展開し敵の攻撃を受け止める。
しかもこの盾こんな使い道もあるんですよ…
「『壊破(ブローク)』!」
受け止めたそのままでその盾が砕け散り、そしてこの破片は敵に降り注ぐ。
決められた特殊な割れ方をしている氷子は敵を切り刻んでいく。
それからもガンガン、私は十五機ぐらい敵を倒したところ幻希さんに回線を開く。
「楽勝ですね♪」
「あぁ、確かにな」
画面に写る幻希さんは何だか物足りなそうだが。とその時、画面に写ってた
幻希さんを押しのけ風舞さんが表示される
「どうしました?」
「緊急事態です!敵MSの応援部隊が近づいて来てます」
「数はどれくらいだ?」
幻希さんが風舞さんに聞く。すると今度は悠之さんが画面に表示される。
「大体、200機ぐらいかな?」
「200機か…ちときついか…」
幻希さんがぼやき、苦笑する。
「幻希さん、焔帝さん後退して艦を護ってください、このはさんと弦楽器さんが前線
に出ます」
再び風舞さんが表示され、そう言った…この展開から考えてやっぱりアレをするのか?
「了解しました」
「わかったぜ」

「幻希さん、焔帝さん後退、弦楽器さん、このはさんが前線に出ました」
わたしはレーダーに写ったMCBの動きをじゅ兄様に伝える。う〜ん、主戦力を後ろ
にさげてどうするんだろ?
「よし、敵の増援部隊はどの辺りまで?」
えっと、レーダーには…う〜ん意外に早いな〜
「距離、1000ほどです」
「よし、時音!エネルギーフィールドとノイズフィールドを展開!エネルギーフィー
ルドは全開、ノイズフィールドは『紅火炎』と『仙水』まで!」
「了解」
メイン画面にこの辺りの略図が表示され、赤色で表示されているノイズフィールドが
展開されて、続けて現在500まで展開されていたエネルギーフィールドが1000
まで展開された。
えっと、解説が必要よね?あのMCBは、この艦から展開される特殊なエネルギーの
フィールド内でないと動けないのよ。逆に言うと、フィールド内だと好きなだけ力を
使用することが出来るんだけどね。
「じゅらいさん、何でノイズフィールドを展開するの?」
わたしはじゅ兄様に質問することにした。
「ふっふっふっ、それは更新してから…じゃなくて後のお楽しみだよ♪」
とニヤリとわたしに微笑むじゅ兄様。何をする気なんだろ?
「このはさんと弦楽器さんに通信開いて!」
じゅ兄様の声に応え風舞ちゃんが回線を開く。
「わかってますね?このはさん、弦楽器さん?」
じゅ兄様の声がメイン画面に吸い込まれると向こうもニヤリと肯く。
「では、承認!」
その言葉がきっかけとなり、メイン画面に写る『桜歌』と『鐘歌』が輝き出す。
あっ?すごーい!『桜歌』と『鐘歌』がゴーってなってグワーンって感じに交差して、
ガチーンって具合に合わさって、チャキーンと合体して、キュピーンって感じに目が
光ってグワーって様子で完成したよ…
「…二体合体『神奏歌』!」
画面の向こうで二体のMCBが一つのMCBになったんだよ…凄いね〜。
そしてじゅ兄様の声がブリッジに響いた。
「よし、一気にけりをつけよう!」



URL> CMはじゅらいさんでした、ありがとうございます。

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