じゅらい亭日記セカンド

第十話『戦場に響く音色』
冒険者> Landa
記録日> 05月25日(月)10時52分10秒


前回までのあらすじ
生命の危機に陥った焔帝を救うため、幻希のだした案とは、三人の力を一つ
にして焔帝に注ぎ込むことだった。確かに彼らの力は強力だ、その力を焔帝
の回復力に注ぎ込めば彼は助かる。しかし彼らのその最強クラスとも言える
力を一つに一人に集めるのは、あまりにもリスクが大きすぎる…その役目を
申し出たのは幻希だったが責任を感じた幻姫がそれを制止し自分が受けるこ
とにした。しかし、彼女にその役目を全うすることが出来るのか!?

第十話『戦場に響く音色』

「何も考えずに走れ!」
夢の中、奇麗な花畑を歩いていた私はそう言われ、もと来た道を走り去った。
そして再び目が覚めたのは明るい部屋の中だった…。沢山の計器などが置い
て有る、どうやら艦のブリッジらしいけど『無敵』のブリッジ?いや…違う
な…スティンに比べて武器関係の装備が多いか?
「あっ〜、レジェさん生き返ったんですね〜」
とのんびりとした声が鼓膜を揺らす。
「あぁ、ヴィシュヌさん…?…でぇぇぇぇぇぇ!!」
生き返っただって!?それって私が死んでたってこと!?た、確かにカン
タムと闘っていた時から記憶は無いし…
「あらあら元気そうですね〜」
…死んでた…死んでた…うっ、考えないでおこう。そっちの方が幸せだ…。
「そういえばここはどこなんですか?『無敵』とは違うみたいだし……」
「ここはですね〜、重装次元攻撃艦『歪光』の中ですよ〜」
『歪光』…そうか、制作が続いてたっけ、『無敵』の援護艦。この艦の制作
主任は確か…
ビィー!ビィー!!
電子的な音がブリッジに響く。どうやら何かの接近を示す警報の様だ。
聞くところによると『歪光』は、どこかの洞窟で創ってるらしいから敵には
見つかりにくいはずだと思うけど。
「どうしたんでしょ〜?」
と可愛く小首を傾げたヴィシュヌさんがパネルを操作する。
「どうやら、未確認の飛行物体がこっちに来てるみたいですね〜。画面に
表示しますね〜」
その言葉と同時にメインスクリーンに洞窟外の風景が表示される、そして
そこに写ってのは…

「二体合体『神奏歌』!」
メインスクリーンに『桜歌』と『鐘歌』が合体したMCB『神奏歌』が写る。
やっぱこれだよね〜、勇者と言えば合体!王道だよ!まぁドラクエの勇者が
合体するのは嫌だけど。さぁ〜て、悠之の説明じゃわかんなかっただろうか
ら、拙者が今度は説明して上げるよ。
『桜歌』はもともと人型タイプのMCBで、『鐘歌』は戦闘機タイプ。その
二台の合体なのだけど、もちろん真っ二つになって『乗ってる人はどうなっ
てる!?』って合体はしないよ。
『桜歌』の後ろから『鐘歌』が背中にくっ付く感じで合体するんだ、う〜ん、
マクロスZのサウンドブースターみたいな感じかな?
「このはさん、弦楽器さん一気に勝負を付けてください!」
メインスクリーンに表示された小さなこのはさんと弦楽器さんに言う。
「わかってますよ、弦楽器さんやりましょう!」
「えぇ、そうですね」
二人の答えに反応するかのように『神奏歌』を淡い光が覆う。
『ノイズプレッシャー発動!』
その腕に持った巨大なギターらしき物を軽く奏でると『神奏歌』を覆ってた
光がゆっくりと薄れ広がっていく。そして近くに居たカンタムから順に動き
が止まっていく。これが『ノイズプレッシャー』の力だよ、全てのエネル
ギーや電波を音のエネルギーで遮断するものなんだ、遠隔操作されてるカン
タムは一たまりもないね。動きの止まったカンタムからギター(謎)から抜
いた刀…仕込みギター(笑)の刀で片っ端からカンタムを撃破する。
そして、あらかた敵を倒したその時、風舞の叫び声がブリッジに響く。
「超エネルギー波来ます!」

(イラスト:「歪光」開発スタッフ達が、甲板上で記念写真)
CM突入

A:「こんにちは、お久しぶりで〜す♪」
B:「久しぶりですね」
A:「今回の品は…なんと!!」
B:「何なんですか!?」
A:「じゅらい亭乱闘編に続いてゲーム化第二段!!『スーパーじゅらい亭
     戦 J』!!」
B:「『スーパーじゅらい亭戦 J』!!どんなゲームなんですか?」
A:「恋愛育成クイズシュミレーションRPGノベル型借金返済ボードゲーム
     です!!」
B:「ななななな…・なんて凄い!!ちょっと内容を説明してもらえます?」
A:「いいですよ♪まずはじゅらい亭の常連さんの中からお好きなキャラを
     選んでください。すると冒険の始まりです。貴方の操作するキャラが
     じゅらい亭に寄せられた依頼を遂行して借金を返すのが最終的な目的
     です。その間にもパーティーを組んだキャラとの相性を上げていき仲良
     くなると…。もちろん対象は誰でもおっけ〜!でも設定に忠実に生きる
     のも素敵ですね。キャラごとに創られた入り乱れたストーリー。しかし
     …貴方のプレイの仕方次第では…悲しい終り方も…そう、全ては貴方に
     かかっているのです!!」
B:「むむっ…楽しそうですね。一つ例題を上げてもらえます?」
A:「そうですね。では…ゲンキさんの例でいきましょうか」
B:「わかりました」
A:「ゲンキさんは体力が無限なので依頼は沢山こなせます。異性との相性は
      …可奈さんが高いですね…」
B:「最初からある程度高い人とか低い人とかいるんですか?」
A:「もちろんそうです。幻希さんなられいろうさんや、このはさんならスウ
      さん。焔帝さんならルネアさんが高いですね、じゅらいさんなら看板娘
      さん達。低い人は…例えばレジェさんは燈爽ちゃんとの相性が悪いです
      ね…」
B:「ゲンキさんは誰狙いで行くんですか?やっぱり可奈さん?」
A:「いいえ、ここは…L様狙いで行きましょう(ニヤリ)」
B:「えっ、L様!?ちょっと無謀なのでは…?」
A:「そのくらいの方がこのゲームは楽しいんですよ♪」
B:「そ、そうなんですか…はぁ」
A:「ここをこうして…(前略)…よしここでこうだ!…(中略)…よし
     そこ!…(後略)」
B:「ほほぉう…(前略)…なるほど…(中略)…こ、これは…(後略)」
A:「どうです、『スーパーじゅらい亭戦 J』は?」
B:「いやはや…霊験あらたかですな…」
A:「さて、この『スーパーじゅらい停戦 J』500ファンタで販売です!!」
B:「特典とかはあるんですか?」
A:「もちろん有ります!!『じゅらい亭乱闘編』の体験版が入ってます」
B:「おおぅ、それは欲しいですね…これは買いなソフトですね」
A:「是非、どうぞ。ナイスなゲームです!!」
A&B:「では、またの機会に…」

CM終了
(イラスト:MCB「紅火炎」&パイロット「幻希」のデータと立ち姿)

すぐにメイン画面にディフォルメされた地図にエネルギー波が表示される。
「くっ、次元障壁展開!ミラーコーティング開始!」
「駄目です!間に合いません!」
じゅらいの声に風花の悲鳴が響く。ちょうどその時前線に出ていた『神奏歌』
がエネルギーの中に巻き込まれる。
「幻姫さん、回避!」
「やってるけど間に合わない!」
幻姫が答えた次の瞬間、衝撃が『無敵(スティン)』を襲う。みんなブリッジ
の椅子や机にしがみついている。爆音が響き艦が傾く。
「…くっ、メイン動力変換炉被弾!暴走を回避するため出力70%ダウン!」
「自己修復開始しました!でも破損がひどいので2、3時間はかかります!」
「艦の破損により次元潜航は現在出来ません!」
「敵、第二射のくる様子今のところありません」
風舞、風花、悠之、時音が次々に現状を報告する。
「神奏歌はどうなった!?」
神奏歌が光に巻き込まれるのを見ていたじゅらいは、すぐに悠之に聞く。
「神奏歌より通信です、開きます」
悠之が答えるよりも早く風舞が神奏歌の通信を伝える。
「くぅ、艦の方はどうなりました?」
画面に表示された弦楽器が顔をしかめてじゅらいに艦の現状を聞く。
「何とか、大丈夫だよ。でも動力炉の出力が低下しているから、エネルギー
フィールドを消します。フィールドが消えるのでこっちにもどってください」
「はい、了解しました」
「それはそうとよく大丈夫だったね」
「えぇ、ケヴィンが助けてくれましたから…」
とこのはは苦笑して答えた。

それから数分後、じゅらい亭の面々がブリッジに集まっていた。これからの
行動に対する緊急会議らしい。
「じゅらいさん、ひとまず退却して戦力を立て直した方がいいのでは?」
このははじゅらいに案を出す。
「それが無理なんだ、この艦は次の攻撃を食らった落ちる…そうなると防御に
回るしかないんだ。次元障壁を展開したままで逃げれるほどエネルギーは使え
ないんだよ」
「じゃ、敵を倒すしかないな…」
とニヤリと笑いながら幻希が言う。しかし、今度は鏡花が言う。
「それも無理です、知っての通りMCBはこの艦から展開される特殊なエネルギー
フィールドの中でしか動けません。しかもそれの展開にはエネルギーを使いま
すし、目標が離れすぎています。特殊フィールドは展開出来るのは1000ま
で。しかし、レーダー感知から到達までの時間から考えて目標は2000は離
れてます。それでは、MCBによる攻撃は無理です」
「じゃぁ、テレ砲台での攻撃は?」
「それも難しいですね、こっちがエネルギー充填中だとあっさりと防御も出来
ずに落とされてしまいますから」
いい案が出ずに暗くなる常連達に広瀬は静か微笑みながら言った
「…『じゅの』を使いましょう」

十話『戦場に響く音色』終了


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